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「アンナ、出てきてる人らな、ホンモノや思うねんな。もうな、ちょっとボケてはる様子とかもやけど、顔の表情とか皺とか、なんというか立ち居振る舞いが演技チャウで、あれは!ほんでな、スパイ役のジーさんが、その皺くちゃやったり、『ちょっと太めデンナ』のオバーチャンらの人気モンになんねん。それが、なんか、リアルやねん。作りごととは思われへんで。」 まあ、とか、何とかを帰宅して早速、 チッチキ夫人 相手にまくしたてた映画でした。
「まあ、そういう手法もあるよな」 とか思って、ドラマとして何の不自然も感じませんでした。
「リアル」な様子! だったわけですから、気づきそうなものですが、疑いもしませんでした。
「スゴイ!」 と思ったのは、この 探偵さん 相手に オバーチャンたち が実によくしゃべらはって、なんか、とても素直に心を許していらっしゃったことでした。
「ところで、あなたは大丈夫なの?」 と尋ねたいような人が、シーン、シーンでそれぞれの人の隣にすわって話を聞いていたり、心配げにベッドをのぞき込んで話しかける姿を一緒に撮ることで、カメラが持ってしまいがちな 「上から目線」 というか、テレビなんかで見かける 「潜入ルポ」的な興味本位の感覚 とは少し違う、自由な映像をつくりだしていると思いました。
「自分がいろんなことを、すぐに忘れていっている.」 といって悔やむ女性がいます。数日後、 セルヒオさん は、エージェント力を発揮して取り寄せた家族の写真を彼女に見せて、
「我慢しないで、泣いてもいいんですよ。」 とか、なんとか、話しかけるのですが、その セルヒオさん の前で、彼女が声を上げて泣きはじめるシーンがありました。とても他人事とは思えない印象を持ちましたが、そう感じさせたのは、ぼく自身の年齢のせいだけではなく、映画の作り方の工夫に理由の一つがあったと思うのです。
「やっぱり、もう、家族のところに帰りたい!」 と訴えて、仕事を終え、施設を去っていくシーンで映画は終わりました。
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