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貞子が帰ると、家の中には誰もいなかった。長女 貞子二十四歳 、正月の二日目、毎年恒例になっている、 母八重子 の誕生パーティーのために帰宅したのですが、残りの家族は、なぜか留守だというシーンです。
「明けまして、おめでとうございまあす・・・・」
人の気配は全然しなかったけれど、一応、挨拶しなながら入っていった。コートを脱ぎ、荷物と一緒に応接間のソファに放り出し、台所の方をチラッと見たが、やはり無人である。
「ふん・・・・・」
貞子はため息をついた。
もはやいちどきに全員が応接間に収まることはできない。子どもたちは年齢に差もあるし、そうしょっちゅう顔を合わせているわけでもない。男の方が多いからお互いへのけん制もあるかもしれないが、それでも応接間から食堂、奥の間や浴室に向かう廊下を、みんなで甲高い声を上げて走りまくっている。 ついでなので、 最終章 「楽しき終へめ」 も引用してみます。(ちなみに、ぼくはこの題が読めませんでした。) 日付はご覧の通り、 2020年 の 1月2日 です。30年余りの年月が立ちました。写っているのは 1988年 の写真と同じ6人。ただし撮っている人が余分に一人います。場所は埼玉県のURの賃貸住宅です。
乗り慣れない電車の乗り換えに手間取って、各駅停車だけが止まる小駅にたどり着いた時には、電話で告げた予定の時間よりも一時間以上遅れていた。 まあ、こんなふうに、さほど手間もかからず読みえたわけです。読み終えると、さっそく チッチキ夫人 が聞いてきました。
「電話しとこうか?今来たって」という梶本に、
「いいよ」貞子は答えた。「あと五分だもん」
駅からの道は、迷いようもない。駅を背にして広々とした歩道を、ただまっすぐに歩いていくと、十字路の先に巨大な白い集合住宅が、二、三百メートル先の行き止まりまで並んでいるのが見える。
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