PR
カレンダー
カテゴリ
コメント新着
キーワードサーチ

水曜日 お父さんが出て行った、この日からの日記が、小説として描かれていますが、基本、レンコちゃんの一人称です。
今日とうさんがお引っ越しをした。
荷物は大きな仕事机と小さなタンスとテーブルと服、ナドナド。(P4)
「あんた誰?」 という、自問は出てきませんが、読み続けていると、あの映画で印象に残った主人公の態度を代弁するかの記述が出てきます。
今日ガッコに来るの、緊張した。とうさんがいなくなって初めてのガッコ。別にだれも知らないから、関係ないけど、私は知っているから、緊張した。 映画の 朝ちゃん は両親の死で、日記の レンコちゃん は離婚、一方は中学3年生で、こっちは小6、違いはありますが、それぞれ、他の人とは違う 「私」 がいるんです。いなければ、生き延びていくことができませんでしょ。
もしかしたらガッコが全然違って見えるかもしれないって思ったから。
門まで来て、
ガッカリした。
ガッコは同じだった。ホントににくたらしくなるくらい同じだった。
ガッカリして、気づいた。私は緊張してたのじゃなくて、今日からガッコが違って見えるのを期待してたのやとわかった。(P81)
センセは私の頭に手を置いて、ゆすった。 「日記」を書く っていうことが、どういう意味を持つのか。
ワタシ。ムチウチニナルヨ。
「先生は、ウルシバさん信じてるの。元気出してね」
センセが、相原加奈子みたいな顔で笑った。
私、センセがキョーシツを出るのを待ってた。でも。センセが私を追い出した。
「お手伝いがあるでしょ」って。
上ばきをぬいで、バッシュをはいて、少しムカムカしました。
どうして、女の子は、お家の手伝いがカルイカルイなのやろうか。ミノルタッタラ、オモイオモイなのやろか。センセの言ったことだから私はどうでもいいけど。
でも、センセが話してる時、自分がマンガの主人公みたく思えて、ホントに涙が出そうやった。泣いたらもっと盛りあがったかなって、あとで少しザンネンだったの。(P118)
「あんた誰?」 という問いが、
「私」を2人称化したうえで、3人称として捉えて「書く」という軽やかさ によって、がんじがらめの関係の網を飛び越える自由を手に入れることができるんじゃないでしょうか。
「今頃なに読んでるの?私の本よ!映画も見たわよ。」 チッチキ夫人 も、ああ、これは 相米慎二 の、映画の 「お引っ越し」 の方ですが、小説も映画もおススメのようですよ。
追記
ところで、このブログをご覧いただいた皆様で 楽天ID
をお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
週刊 読書案内 ロアルド・ダール「少年… 2025.04.05 コメント(1)
週刊 読書案内 J・G・ロビンソン「思い… 2025.03.20 コメント(1)
週刊 読書案内 太宰治・ホノジロトウジ… 2025.03.18 コメント(1)