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2024.10.18
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​​ 山下澄人「月の客」(集英社)
​​​​​  山下澄人 「月の客」(集英社) を読みました。 2020年 に出たときに買って、もう、何度目かです。   
 最初に読むときに ​​​​
​​ 「月の客」やし!
​  とか思って、​
米くるる友を今宵の月の客  芭蕉
此の秋は膝に子のない月見かな  鬼貫
岩鼻やここにもひとり月の客  去来
​​  ​ こんな句を思い浮かべました。まあ、それぞれ 江戸時代 の有名な句ですが、今更でボクがいうまでもありません。どれも、イイ句ですね(笑)。ことばが描いている世界を 月の光 がほのかに照らしていて、ほんのり明るい、さすがです。​​
​​​​ で、 山下さん 「月の客」 ですが、何度読んでも、まあ、これらの句が関係あるような、ないような、でも、作品世界を 月の光 が照らしていることは、確かなのですが、だからどうだといわれれば困りますが、まあ、そういう小説です。​​​​
​​ ネットでよめる 集英社 作品紹介 に​​
「小説の自由」を求める山下澄人による、「通読」の呪いを解く書。​
​とあって、まあ、大変なのですが、続けて登場人物と物語の展開につて
 父はおらず、口のきけない母に育てられたトシは、5歳で親戚にもらい子にやられた。
だがその養親に放置され、実家に戻ってきたのちトシは、10歳で犬と共にほら穴住まいを始める。
 そこにやってきたのは、足が少し不自由な同じ歳の少女サナ。サナも、親の元を飛び出した子どもだった―。
 親からも社会からも助けの手を差し伸べられず、暴力と死に取り囲まれ、しかし犬にはつねに寄り添われ、未曽有の災害を生き抜いたすえに、老い、やがていのちの外に出た<犬少年>が体験した、生の時間とは。
 ​ ​という、エライ詳しい紹介までついています。​
​​ なんで、こういう、ネタバレともいえる紹介が? ​​
​ ​ですが、お読みになればすぐにわかります。読み終えて、この紹介を読みなおして、 問題は、それで、わかったのかどうかということなのですが、
​ああ、そうだったのか !?​​
​  と、ようやくわかる作品だからです(笑)。​
​  土手へ出て、下りる、草がはえている、草を踏んで下りる、砂利の道を横切り、再び草地、そしてかたい土、これは確かグラウンド、子どもが野球をする、子どもの声が聞こえて来る、聞こえてくるようだ、聞こえてはいない、足跡がいくつも、小さい足跡、いぬがにいをかいでいる、空は晴れて相変わらず大きな月が出ていて
 月はな十五夜かけて満月になんねん
 その反対は真っ暗、新月、真っ暗
 かぐや姫も、手ぇ伸ばして、見えへん見えへん、言うて
 み、み、水―、や、
 ヘレンケラーやん
 知らんの?
 あんた何にも知らんな
      (P4~P5)
​ 最初に、空に が出ているシーンです。​
穴の前でトシが寝ている、死んでいる、横にいぬがいる、いぬはトシのにおいをかいで、横になる。腹が減ればいぬはトシを食べる
大きな月
 月から見えている星は、止まったりしない、音もない、時々何かが白く走っては消える、生きものは、もう見えない、見えないが、いる、たくさんの、しかし、それは、いつまで、続く、
 もうしばらくは
 このまま、続く
(P189)
 ​ ​​​​​​​​​​ 最後の最後 、実は、 は作品の中でくりかえし描写されますが、これが 最後の最後の月 です。解説によれば、 主人公 で、ひょっとしたら 語り手 だったかもしれない トシと呼ばれる少年 、ひょっとしたら、最後は オジサン は、このシーンでは、もう、死んでいて、隣に いぬ 、ひょっとしたら主人公だったかもしれない、 いぬ 、がいて、 が出ています。​​​​​​​​​​
​​ ここまでやってきた 小説世界のこのシーン には、ここまで、 どのシーン にも、ずっと、あったのに、なくなっているものがあります。​​
「声の響き」 ですね。​
み、み、水―、や、
ヘレンケラーやん
知らんの?
あんた何にも知らんな
​  ​​​​ 最初の引用 のシーンで、誰が誰に語りかけているのかは定かでないのですが、 神戸暮らし のボクには異様にリアルな、そう、 神戸弁 なんですね、 が響き始めて、180ページの作品中、ずっと、響き続けています。​​​​
​​​​  紹介 「犬少年」 とありますが、最後まで、主人公であるらしい トシ 犬少年 と呼ばれていたことに、ボクは気付きませんでした。​​​​
​​​ あるのは、誰かが、作品中の誰かになのか、読み手のボクになのか、
​​ 「知らんの?あんた何にも知らんな」 ​​
​  という声だけでした。
 で、最後は、 は空にあるようで、誰の声なのか、もちろん、わからない、 静かな声 が響きます。​​
もうしばらくは
このまま、続く
​​​​​ 文字で書きつけるほかに方法がない 小説
​「声」を響かせん!​​
​  とする荒業です。大したものです。
 山下澄人 が、お芝居の 演出家 であることは知っていましたが、どんなお芝居をやっていらっしゃるのか?ちょっと見てみたいものですね。​​​​​




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​​​​​​​​​​​​​​ ​​​  追記
 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で 楽天ID をお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)​​​​

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最終更新日  2025.06.02 00:02:51
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