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「月の客」やし! とか思って、
米くるる友を今宵の月の客 芭蕉 こんな句を思い浮かべました。まあ、それぞれ 江戸時代 の有名な句ですが、今更でボクがいうまでもありません。どれも、イイ句ですね(笑)。ことばが描いている世界を 月の光 がほのかに照らしていて、ほんのり明るい、さすがです。
此の秋は膝に子のない月見かな 鬼貫
岩鼻やここにもひとり月の客 去来
「小説の自由」を求める山下澄人による、「通読」の呪いを解く書。とあって、まあ、大変なのですが、続けて登場人物と物語の展開につて
父はおらず、口のきけない母に育てられたトシは、5歳で親戚にもらい子にやられた。 という、エライ詳しい紹介までついています。
だがその養親に放置され、実家に戻ってきたのちトシは、10歳で犬と共にほら穴住まいを始める。
そこにやってきたのは、足が少し不自由な同じ歳の少女サナ。サナも、親の元を飛び出した子どもだった―。
親からも社会からも助けの手を差し伸べられず、暴力と死に取り囲まれ、しかし犬にはつねに寄り添われ、未曽有の災害を生き抜いたすえに、老い、やがていのちの外に出た<犬少年>が体験した、生の時間とは。
なんで、こういう、ネタバレともいえる紹介が? ですが、お読みになればすぐにわかります。読み終えて、この紹介を読みなおして、 問題は、それで、わかったのかどうかということなのですが、
ああ、そうだったのか !? と、ようやくわかる作品だからです(笑)。
土手へ出て、下りる、草がはえている、草を踏んで下りる、砂利の道を横切り、再び草地、そしてかたい土、これは確かグラウンド、子どもが野球をする、子どもの声が聞こえて来る、聞こえてくるようだ、聞こえてはいない、足跡がいくつも、小さい足跡、いぬがにいをかいでいる、空は晴れて相変わらず大きな月が出ていて 最初に、空に 月 が出ているシーンです。
月はな十五夜かけて満月になんねん
その反対は真っ暗、新月、真っ暗
かぐや姫も、手ぇ伸ばして、見えへん見えへん、言うて
み、み、水―、や、
ヘレンケラーやん
知らんの?
あんた何にも知らんな
(P4~P5)
穴の前でトシが寝ている、死んでいる、横にいぬがいる、いぬはトシのにおいをかいで、横になる。腹が減ればいぬはトシを食べる 最後の最後 、実は、 月 は作品の中でくりかえし描写されますが、これが 最後の最後の月 です。解説によれば、 主人公 で、ひょっとしたら 語り手 だったかもしれない トシと呼ばれる少年 、ひょっとしたら、最後は オジサン は、このシーンでは、もう、死んでいて、隣に いぬ 、ひょっとしたら主人公だったかもしれない、 いぬ 、がいて、 月 が出ています。
大きな月
月から見えている星は、止まったりしない、音もない、時々何かが白く走っては消える、生きものは、もう見えない、見えないが、いる、たくさんの、しかし、それは、いつまで、続く、
もうしばらくは
このまま、続く
(P189)
み、み、水―、や、 最初の引用 のシーンで、誰が誰に語りかけているのかは定かでないのですが、 神戸暮らし のボクには異様にリアルな、そう、 神戸弁 なんですね、 声 が響き始めて、180ページの作品中、ずっと、響き続けています。
ヘレンケラーやん
知らんの?
あんた何にも知らんな
「知らんの?あんた何にも知らんな」 という声だけでした。
もうしばらくは 文字で書きつけるほかに方法がない 小説 に
このまま、続く
「声」を響かせん! とする荒業です。大したものです。
追記
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