「あなたの夢はなんですか?」
本の題名である。
初めは“自己啓発”本かと思った。
しかし、本の題名にはまだ続きがあった。
「そのとき少女はこう答えた。私の夢は大人になるまで生きることです。」
全く解らなかった、いったい何の本なのか。
その答えを探るべく開いた第一章が、
〔ゴミの山で一生懸命に生きる子どもたち―フィリピン〕
―フィリピンの
スモーキーマウンテンで
出会った少女は
「あなたの夢はなんですか?」
と聞いた私に
ニコニコと明るい笑顔を浮かべながら
答えました
「私の夢は大人になるまで生きることです」―
ゴミの中で生計を立てる、大人になるまで生きられないかもしれない、貧しい子供達の話だった。
著者は池間哲郎、NGO沖縄アジアチャイルドサポート代表理事。
アジアの貧困地域の支援活動をしている。
第2章以下の表題を並べると
〔親のために売られていく娘たち―タイ〕
〔スラム街に学校をつくる―カンボジア〕
〔僕たちはマンホールの中で生きている―モンゴル〕
貧困のどん底で、生死の境に生きているアジアの子どもたちの記録である。
この子達のことをまったく知らなかったわけではない。
が、改めて現実のルポルタージュとして目にすると、逃げていた自分といやおうも無く向かわざるを得なくなる。
昨年、フィリピン人の不法滞在家族の強制送還が話題になっていたが、この過酷なフィリピンの国情を知れば、むげに追い返したのも“情”がなさ過ぎた気がする。
正義をかざし、一家を非難していた人の薄っぺらなこころ。
こっそり、戻って来れたらいいのにと思う。
モンゴルの話は、首都ウランバートルのことだ。
親が子供をここに捨てに来る。
ひどい話だが子供は言う。
「お父さん、僕を捨ててくれてありがとう」
ホームレスになって残飯漁りをするほうが、マイナス30度の大草原より、生きていく確率が高いと言う。
『ホームレス中学生』とは次元が違う。
ソ連崩壊の余波は、こんなところに響いていた。
モンゴル力士の強さは、後がない国情を背負っているところにある。
品格がどうこう偉そうに言う文化人は、一度このマンホールを覗いたらいい。
人間の格付けなんて、瀬戸際の世界では全く意味がない。
日本における、すべての問題が、この子達の問題に比べると、なんと空々しく軽薄なものよ。
“子供手当て”目当てに民主党に投票したのにと、支払いが怪しくなったニュースを見て怒っている子供二人の家族がテレビに映っていたが、この家族が受け取ることになる年額62万4千円で、いったいどれだけの子供の生命が救えるか。
鳩山さん、やっぱり“子供手当て”はやめたほうがいい。
財源がないから無理と言うことだけでなく、この政策は精神が間違っている。
「命をまもりたい」と言うのなら、正しい危機とうわべの危機を見極めるべきだ。
日本人の精神が“漂流”している。
この子供達が直面しているのは“絶対貧困”であり、格差社会などと批判喧しい日本の問題は“比較貧困”なのである。
“比較貧困”はよってたつ精神性に起因する。
せっかく政権交代をしたのだから、堂々と価値観が変わったことを宣言すればいい。
経済成長だけが国の目標ではない。
“子供手当て”を世界の貧困地域に配れと言うのではない。
日本人一人ひとりの、心の置き所を考え直す必要があると思う。
池間氏が言う、ボランティアに大事なこと3つ。
{一つ目は「理解する」こと。
二つ目は「少しだけ分けてください」ということ。
三つ目は、誰かのためとか、人のためとか、世の中のため、社会のために何かをすることではない、ということです。
一番大事なボランティアは、自分自身がまず一生懸命に生きること。
一生懸命生きる人じゃないと、本当の命の尊さはわかりません。
真剣に生きる人じゃないと、人の悲しみは伝わってこないと思うのです。}
この本の帯に「いま子どもに読ませたい本NO1」と書いてある。
ぼくもそう思って息子に読ませた。
反応は、―ない。
高2の彼は今、色んな情報が流れ込んでいる時期である。
整理がつくまで時間は掛かるのは致し方ない。
近藤誠著『「健康不安」に殺されるな』 2023年04月15日
ダニエル社長著『コロナと金』 2022年09月27日
ジェフリー・ケイン著『AI監獄ウイグル』 2022年02月05日
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