《 幸せのひろいかた 》  フェルトアート・カントリー木工 by WOODYPAPA

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2023年03月22日
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カテゴリ: 映画日記



ということで、前回に引き続き、『PLAN75』と『ソイレントグリーン』から、老人問題と安楽死を考えてみたいと思います。


『ソイレントグリーン』は1973年公開の、チャールトン・ヘストン主演のアメリカ映画です。

僕の映画の主題(昭和のアメリカ映画)としては、70年代はばっちりハマります。


あの頃のチャールトン・ヘストン主演の映画は数多く、僕の知っている代表作だけをあげても、

『地上最大のショー(1952年)』『十戒(1956年)』『ベン・ハー(1959年)』『エル・シド(1961年)』『北京の55日(1963年)』『猿の惑星(1965年)』『ジュリアスシーザー(1970年)』『アントニーとクレオパトラ(1972年)』『エアポート’75(1974年)』『大地震(1974年)』『パニックインスタジアム(1976年)』

というぐらい、すごい売れっ子スターでした。

『ソイレントグリーン』は1973年で、同年には『三銃士』前年には『アントニーとクレオパトラ』の他にも『ハイジャック』『野生の叫び』を撮っていて、翌年は『エアポート’75』『四銃士』『大地震』と、めちゃめちゃ撮っています。

これだけ撮れば”雑”にもなります。


『ソイレントグリーン』の設定は50年後の未来で、なんと2022年(つまり昨年)が想定されています。



むしろ1970年代より退行した、1930年代の大恐慌期のようです。

ちなみに1982年公開の『ブレードランナー』(リドリー・スコット監督ハリソン・フォード主演)は、設定が2019年ですが、かなり未来的に描いています。

こちらは未来的過ぎて、SF感満載の未来です。

(ハリソン・フォード1984年主演の『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』で、子役で出演していたキー・ホイ・クアンが、先日の第95回アカデミー賞で『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で助演男優賞を受賞しました。インディ・ジョーンズから38年後の未来にアカデミー賞。未来の夢の実現でした)

『ソイレントグリーン』と『ブレードランナー』の公開には10年の時差がありますが、『ブレードランナー』の原作フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』は1968年、『ソイレントグリーン』の原作ハリー・ハリスン『人間がいっぱい』は1966年なので、原作にはそれほど時間差はありません。

映画化にあたっての想像力の差、と考えてもいいと思います。

今回この記事を書くにあたり『ソイレントグリーン』を見直したのですが、やはりチャールトン・ヘストンの過度のスケジュールと、とにかく出せば当たるという安易な制作側の甘えからか、雑だなあという感想以外はあまりありませんでした。


それでも初見の記憶にあった安楽死のシーンは印象的で、ホーム(公営安楽死施設)で最後の映像を楽しむエドワード・G・ロビンソンの姿が一番心に残ったのでした。

ただし、その映像は、失われた様々な自然界。

花や魚や鳥や動物、山や川など自然の風景。

YouTubeを開けば、今では好きなだけ見られる風景です。



(ひょっとした、50年で一番の変化はYouTubeかもしれません。)


さらに自然映像に重ねている音楽が、ベートーベンの『田園』。

21世紀の未来でも通用する19世紀のベートーベン。

200年の時を超えてベートーベン、偉大だ。


僕だったら何をリクエストするか、なんてことも考えました。



それでも安楽死の最後のリクエストは思い浮かばない。

これが最後の一曲なんて。


『PLAN75』では、安楽死と引き換えに得られるのは、10万円でした。

『ソイレントグリーン』では、この映像と音楽。

どちらも命の値段としては安すぎ。

生命保険なら、もっと多額の金銭が入る(本人にではないが)。


『ソイレントグリーン』の安楽死を決意する老人の行動は、唐突な感じがしました。

秘密の文献を手に入れて、分析して秘密を手に入れる。

そこから何かを悟り、死を迎えることを容認します。

本来なら、その秘密を同居人のチャールトン・ヘストンと共有すべきだと思います。

しかし、老人は一人で死を選び、ホームへ向かいます。


推察するに、本来その過程は描かれていたはずが、尺の都合でカットされてしまったのではないでしょうか。

映画館側としては、一日で何回上映できるかが重要なことなのです。

一日に5回上映するか6回上映するかは大問題です。

興行成績のために、縮められていても不思議はありません。

チャールトン・ヘストンのアクションが売りの映画だから、老人の心理の葛藤は深堀りしなかったのでしょう。


ということで『PLAN75』も『ソイレントグリーン』も、安楽死に導く論理は描けていないと感じました。

社会通念上、安楽死は認めてはいけない選択なのでしょう。


イエール大学アシスタント・プロフェッサー成田悠輔先生が、次のような発言をして炎上しました。

「高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい
→最強のクールジャパン政策になる
→老人化と経済成長はあまり関係ない」

”集団自決・集団切腹”にスポットが当たり過ぎて、それこそ高齢者の文化人から一斉に攻撃を受けました。

元となったホリエモンとのYouTubeを見ると、ここに至る文脈は老害化を防ぐ”世代交代”を促す発言でした。

成田先生独特のシニカルな言い方で、こういう発言になりました。

僕は炎上する前にこのYouTubeを見てましたけど、特に異常な発言には聞こえませんでした。

司会者も「20年前に堀江さんを取材したときまったく同じことを言っていました」と引き取っています。

(125) 【成田悠輔×堀江貴文】高齢者は老害化する前に集団切腹すればいい?成田氏の衝撃発言の真意とは - YouTube


話しがとっ散らかってしまいましたので、整理します。

たしかに世代交代は必要なことで、老害問題も確かにあるでしょう。

しかし『PLAN75』も『ソイレントグリーン』も、世代交代や老害問題とは関係ありません。

老人自身の問題です。

老人問題を、はなから悲劇として描くことは、問題提起としてどうかなぁ、と思います。

生きがいを失くした老人に、死をプレゼントすることに正義はあるのか。


少なくとも、安楽死を望む人には、それを合法的に選べる権利があってもいい。

ただしそれを認めると、経済的な理由から、周りの圧力で安楽死に進まざるを得ない人も出てきてしまう。

それは良くないよね、ということだと思います。


以前介護していた義父(享年85歳)は、「俺なんかもういつ死んでもいいんだ」といつも言っていました。

ある時肺炎を発症し、入院することになりました。

内心もうだめかと思っていましたが、治療が効して退院することが出来ました。

その義父に向かって「治ってよかったね」というと、涙を浮かべて「よかったー」と素直に答えました。

人はやっぱり死にたくないんだ、と思った1シーンです。


スウェーデンでは、80歳以上の老人は、延命治療をしないそうです。

北欧諸国の考え方は、基本的に自分の口で飲んだり食べたりできなくなったら、自然な形で看取る、らしい。

(125) 寝たきりがいないスウェーデン、高齢社会なのになぜ?| 北欧在住ゆるトーク - YouTube

それでいいと思います。


安楽死を考えるつもりでしたが、安楽死を望む人は、不治の病に日々苦しんでいる人が想像できます。

現実に、安楽死を認めている国に、日本人が安楽死を求めてゆくのは、病気であることがほとんどです。

人口爆発で食糧危機になったので、生産性の低い老人は死んでくださいということは、まず起きないでしょう。

日本は少子高齢化の危機、などと騒いでますが、人口比は急に変わるものではなく、年ごとの統計で分かるので対策ができるものです。

食糧問題も、コオロギを食べずとも、飽食をやめれば何とかなります。

地球温暖化対策や太陽光発電の補助金をやめて、農地改革など食料確保の政策を重視すれば、騒ぐほどの問題ではないように思えます。

とにかく左翼の妄想に振り回されるのはやめましょう。


今ある危機は、専制国家の侵略です。

戦争になれば、老人問題もへったくれもありません。

『PLAN75』のような映画ができるもの、日本が平和だということです。

『ソイレントグリーン』公開時の1973年も、ベトナム戦争からアメリカ軍が撤退した年なので、平和といえば平和。

平和でなければ生じない問題に悩んでいる、のかもしれません。

戦争中に自殺者が少ないのは、ある意味”真実の証し”といえます。

「東日本大震災」によって、日本人の(少なくとも僕の)人生観が変わったように、「ウクライナ戦争」(あるいは「台湾戦争」)によって、日本人の(そして欧米の脱カーボン派の)価値観が変わるのだろうと思います。





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最終更新日  2023年03月22日 00時00分12秒
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