すい工房 -ブログー

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2013年09月23日
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カテゴリ: ラ・ヴェンダー



 両親から「何度目だ」と呆れられた。

 同じ経緯で家にはすでに、二匹の犬と一匹の猫がいたから。

 あの時は「飼い主が見つかるまで」、家で面倒を見ていた。

 子犬だったこともあって、里親はすんなり見つかった。

 最初は子犬を警戒していた先の住人の犬二匹と猫一匹が、子犬に慣れてきたころだった。

 引き取られた時は、事情をわかっていなかった二匹と一匹だったけれど、子犬の姿が見当たらないのに気づくと、子犬を探すように鳴いたりもしていた。

「わかるんだね」

 と、家族で話してのを覚えている。



 思い出すというのか……よみがえるというのか。

 意図していないのに、勝手に脳裏に光景が浮かんでくる。

 ……これが。

(世にいう……走馬灯って……やつ……?)

 霞がかった意識の中、ぼんやりと考えつつ、苦笑が口の端に浮かんだ。

 じくじくと痛む脇腹を抑えながら――抑える手に、体内からとくとくと染み出す自身の体液を感じながら。

 植木の茂みに体を隠し、杉の木の根本に腰をおろし、幹に背を預けて自然と空を仰いでいた。

 薄く開いた瞼の向こうから、木の葉をすり抜ける薄い光が見える。

 雨粒を受けとめる葉から、容量を越えた雫が大粒となってバタバタと地面を叩いていた。

 時折、粒の大きな雨に打たれながら、ああ、だからか。ともぼんやりと考えていた。

 あの時の子犬は、雨の中拾った。











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最終更新日  2013年09月23日 11時16分53秒
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