高柳圭脚本「フィガロの結婚」

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2022年09月04日

カテゴリ： OPERA

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Photo: ©Shevaibra, courtesy of the artist

ウエストで楽しめる名作オペラフィガロの結婚

2022年9月3日（土）
開演時間14：00
プラザウエスト　さくらホール（さいたま市）

フィガロ：小林啓倫
スザンナ：森真奈美

伯爵夫人：宮地江奈
ケルビーノ：実川裕紀
バルトロ：島田恭輔
マルチェリーナ：遠藤千寿子
バジリオ：高柳圭

特別キャスト：さいたま市内の小中学校の子どもたち
ピアノ演奏：石塚幸子
サクソフォン演奏：小林瑞希

天使、おやしきガールズ、おやしきボーイズ、花娘：
さいたま市内の小中学生たちと大学生

構成・脚本・演出・音楽指導：高柳さくら　高柳圭

共催：さいたま市

#ウエストフィガロ　#ウエストオペラ

＊＊＊

さいたま市のプラザウエストで上演される子供参加型の「フィガロの結婚」はもう3回目だそうです。私はここ数年は毎年見ているのですが、この「フィガロの結婚」を見るのは初めてでした。毎年ブラッシュアップしてよりおもしろくなっているシリーズなのです。もう子供向けのレヴェルを逸脱し、おとなも楽しめるものになってきました。高柳圭さんのセンスが光る作品となっています。

コメディはやはり日本語の歌とセリフで上演されるとすごくおもしろいです。「フィガロ」がこんなにおもしろいなんて！と初めて実感しました。しかもセリフの中にダ・ポンテ脚本のオペラヴァージョンでは説明されていないボーマルシェの原作が織り込まれているのでものすごくわかりやすい！

ケルビーノを、「戦争に行け！」と突き放すフィガロ（冗談）のセリフにもドキッとさせられました。

バルバリーナが出てこないのですがバルバリーナは子供たちの合唱が兼ねていました。

クルツィオも出てこないのですがうまく台本で処理していました。

つまりきちんと元の「フィガロ」に準拠しているのです。カットしているのは主にアリアで主要アリアをばっさりカットしているのですが重唱は生かされて「フィガロ」のコミカルで音楽的に優れている部分も充分伝わりました。

ソリストの方々は皆さん歌が上手いうえに芸達者で全力でコメディを演じていました。しかし皆さんイタリア語で全部体に入っている「フィガロ」を全幕日本語で歌い演じるというのがすごいと思います。やはり一番違うのが言葉ですから。日本語で歌うと言うのはイタリア語で歌うのとはまったく違うことです。

フィガロの小林啓倫さん、ビロードのような光沢を放つ豊潤な美声に酔いしれました。小林啓倫さんのフィガロは2017年に国立音大の院オペラで拝見しています（伊語上演版）。
今回はNon piu andrai（日本語歌唱）はありましたがAprite un po'quegli occhiはカットされていました。
小林啓倫さんは今年と来年、主役のロール・デビューや準主役クラスのロール・デビューを含むすごい舞台が次々とやってきます。リゴレット、ドン・ジョヴァンニ、ピン…非常に楽しみすぎます！

東京二期会の「フィガロの結婚」でスザンナに抜擢され頭角を現したソプラノのトップランナー宮地江奈さん。コンテッサを歌うというので注目していました。コンテッサもすごい歌唱でした。彼女のコメディエンヌとしての才能もすごくわかりました。彼女の歌を聴いているとやはり感動して涙が出てきてしまいます。彼女のアリアは２つともカットされていませんでした。Dove sono（日本語歌唱）がもう圧巻！お話のクライマックスにもなっていました。Porgi, amor, qualche ristoro（日本語歌唱）も難しいですがさすがすばらしいDIVAでした。

スザンナの森真奈美さん、ダンサーとしても抜群であるのみならず歌もすばらしく、透明な美声を聴かせていました。コンテッサとの「松の木の二重唱」すばらしかったです！

コンテの大島嘉仁さん、重量感のあるバリトンでやはりすばらしく、やんちゃなコンテを熱演していました。いちばんの聴かせどころ、Hai gia vinta la causaがばっさりカットなんですがそこを「ま、いいか」とお茶目に処理するところもおもしろかったです。Crudel ! Perche Finora Farmi Languir Cosi（日本語歌唱）はありました。

ケルビーノはリリック・メゾの実川裕紀さん。美声でよかったです。

バルトロの島田恭輔さん、マルチェリーナの遠藤千寿子さんはコメディ担当として弾けていて盛り上げました。

バジーリオは今回も八面六臂の大活躍の高柳圭さんがうまく演じていました。

お疲れ様でした。

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