話飲徒然草〜Tokyo Meanderings

話飲徒然草〜Tokyo Meanderings

2015年03月30日
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写真 1

私にとって思いいれのある銘柄のひとつです。
ほかならぬこの「スショ」の96年を、リリース後間もない時期に「割烹小田島」で飲んだことが、それ以降私が深くブルゴーニュに傾倒するきっかけとなったからです。当時の私が主に飲んでいたジャンルは、ボルドーや新世界のものでした。ブルゴーニュについては安価な裾物ばかり飲んでいたこともあり、「基本的に酸っぱくて気難しいもの」「当たりハズれが大きくリスキーなもの」という思い込みがありました。
その先入観を打ち壊してくれたのがこのアルヌーだったのです。
フローラルで華やかな芳香、甘くジューシーな味わい、リリース間もないのに美味しく飲めてしまう懐の広さ。大げさでなく「目からウロコが落ちる」ような体験でした。
それ以来、私の嗜好はブルゴーニュに大きく舵を切り、ロベール・アルヌーは大好きな生産者のひとりになりました。

当然、上の子の誕生年の2002年のワインを購入するにあたっても、まとめ買い候補の筆頭でした。しかし、現実には人気銘柄の「ヴォーヌ・ロマネ・レ・スショ」をそうそう何本も購入することはでませんでした。最終的に「ヴォーヌロマネ・レ・ショーム」、「エシェゾー」とをとりまぜて8本購入しました。
ところが、これらのボトルを飲み進めるうちに、私のアルヌーに対する心象は揺らぎ始めました。年とともに、香味の中にいわく言いがたい「クサい」ニュアンスが出るようになってきたのです。それがどうも気になって、次々と開けてしまい、気が付けば8本のうち6本を消費してしまいました。
 今まで開けた感想を改めて紐解いてみると‥(ビンテージはすべて02年)

04.12  レ・ショーム  還元的。2~3日目に開いてくる感じ。
06.2 レ・ショーム  果実味が前面に出てきて飲みやすい。美味しい。
06.10 レ・ショーム  動物的なクサいニュアンスが出てきた。
08.3 エシェゾー   同上。あまり印象よくない。
08.12 エシェゾー   同上。
09.11 エシェゾー   傾向は同じながら、熟成香が前面に出てきて飲みやすく。

一口に動物的な香りといっても、皮革系の官能的な素晴らしい芳香もあれば、いわゆる「濡れ子犬」のようなやや怪しげだけれども惹き付けられる香りもあります。
私がここで感じたのは菌の影響か酵母の影響なのか、もっとネガティブなニュアンスでした。(この部分、うまく言葉で表現できないのがもどかしいのですが‥。)熟成に伴って出てくるこの性質がアルヌーに共通のものなのか、それとも02年に特有のものなのか、あるいは私が購入したボトルたちがたまたまそうだったのかはよくわかりません。なので、あくまで一般化はできないという前提のもとで話を進めますが、これらのイヤなニュアンスは、おそらくリリース後間もないうちにはフレッシュでみずみずしい香味にマスキングされて目立たなかったものが、年とともに初期の若々しい香りが後退して相対的にネガティブな要素として目立つようになってきた。09年あたりになると、ようやく熟成香が前面に出てきて、また目立たなくなった、ということなのだと思っています。

そんな流れで開けた今回のレ・スショでした。
グラスに注ぐと、エッジを中心にオレンジのニュアンスがはっきりと見て取れます。香りはカシスやダークチェリーなど赤と黒の中間位の果実、ダージリン、スパイス、皮革、毛皮、焦げ臭など。よく熟成していますが、やはりこのボトルも陶然とするような香りというよりは、ほんの少しノイジーなニュアンスが垣間見えます。味わいはミディアムボディからフルボディといったところで、酸がしっかりしており、タンニンは溶け込んでなめらかになっています。果実味はドロンとした感じで、下草系の香りが含み香に感じられます。何杯か飲み進めるうちに「クサい」ニュアンスは影を潜め、全体のバランスも向上してきました。総じて、今まで飲んだアルヌーの延長線上の香味で、それなりに満足のいくものでしたが、10年の熟成を経てめくるめくような変貌を遂げたとか大きな付加価値が加わったわけでもなく、いくぶん物足りなさを感じたのも事実です。

ちなみに、この銘柄の飲み頃予想と点数について海外の評価を確認したところ、WA誌では、2007-2017年(94点)、Burghound.comは、2012+(92点)と、飲み頃についてかなり見解が異なっていました。今回飲んだボトルはBurghound.comのアラン・メドウ氏の予想に近い印象でした。 ロベール・アルヌーは、早めに開けたほうが真価を発揮する生産者なのでしょうか。


追記:実は最後に残った一本が行方不明になってしまって、未だ飲んでいません。見つけたら飲んでみたいと思いますが。なお、読者のみなさんもご存知と思いますが、今はアルヌー・ラショーという名でドメーヌのみならず広くネゴシアンも営んでいます。





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Last updated  2015年04月04日 22時58分42秒
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shuz1127 @ Re[1]:祝日セール情報1103 Holiday Sale Info(11/03) Echezeaux14さん、お久しぶりです。 10月…
Echezeaux14 @ Re:祝日セール情報1103 Holiday Sale Info(11/03) お久しぶりです。 ワインと関係ないです…

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