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先月の終わりの頃、コスモスの白い花の上に何か3mm位の小さな虫が居るのを見付けた。一寸見たところでは、ゾウムシの1種の様に見えた。しかし、マクロレンズで覗いてみると、何と、カメムシの幼虫であった。中々綺麗な縞模様で、これまで見たことのない種類である。 早速、カメラを持って来て撮影を始めた。虫が小さいので、テレプラス×2を挟んでの超接写である。コスモスの花に居たヒメナガカメムシの幼虫体長は3.2mmと相当に小さい(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) 写真から計測すると、体長は3.2mm。御覧の様に白っぽい地で、頭部には暗褐色の細い縦縞が3対あり、胸部にも暗褐色の複雑な模様がある。腹部も地は白っぽく、その上に茶褐色の不規則な網目状の模様がある。 全体として、中々洒落た色模様の幼虫と言える。真横から見たヒメナガカメムシの幼虫腹側にも同じ様な模様がある(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) 翅芽(翅の原基)が発達しているので終齢幼虫である。しかし、何カメムシの幼虫かは分からない。全農教の「日本原色カメムシ図鑑」を引っ張り出し、その写真を1枚ずつ2回調べたが、似た幼虫は見付からなかった。 養賢堂の「図説 カメムシの卵と幼虫」も2回調べたが、やはり該当種はない。正面上から見た図.吻にチョビ髭が生えている(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) カメムシと言っても、色々な科がある。一体何科に属すのか? 科の検索をしようとしても、検索表は成虫を対象としているので、幼虫の検索は難しい。触角や脚の節数は幼虫と成虫で同じとは限らないし、検索キー(key)の中には翅の形態もある。幼虫には翅はまだ無いのだから、こうなるともうお手上げである。 しかし、よ~く顔を眺めると、どうもナガカメムシ科(Lygaeidae)かその辺りらしい。しかし、それ以上は分からない。コスモスの種子を目当てに来たと思われるので、コスモスの萎みつつある花と一緒に飼育箱(100円ショップのパンのケース)に入れて成虫になるのを待つことにした。斜め横から.胸部側面の模様が良く見える(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) 待つこと2週間、成虫になっていないか否か虫を探すと(虫が小さいので探すのが大変)、チャンと生きており、至って元気。一安心だが、まだ幼虫の儘である。ヒョッとするとこれは幼虫越冬する種なのかも知れない。とすると、来年まで待たなくてはならないが、そんなに長く待つつもりはない。結局、カメムシBBSに御伺いを立てることと相成った。 早速、kameotaku氏から御回答を得た。「ヒメナガカメムシの仲間(この辺の種は分類を再検討中とのことです)の幼虫に見えますが、如何でしょう?」とのこと。ヒメナガカメムシ!!、これならば此処らで最も普通で、キク科の花の上なんぞに幾らでも留まっている、全く面白味のないカメムシである。この綺麗な縞模様の幼虫があの味気ないヒメナガカメムシに変態するとは!!、些か信じ難い。 ヒメナガカメムシの幼虫ならば、カメムシ図鑑に出ている可能性が大である。早速調べてみると・・・、やはりあった。写真が小さいのと色が黒っぽいので、見逃してしまったのである。天眼鏡で写真を拡大してみると、色は全体にかなり黒いが、基本的に同じ模様をしていた。どうも、コムピュータ用の老眼鏡では、図鑑を見るには度が少し低すぎる様である。同じ様な写真をもう1枚.付節は3節の様に見える(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) ヒメナガカメムシの幼虫ならば、Web上にも沢山あるだろう。「"ヒメナガカメムシ" 幼虫」で検索してみると、やはり沢山出て来た。特に、種類が分からない時に屡々お世話になる「カメムシも面白い!!」にもチャンと載っていたのには参った。完全に調べ方が足りなかった、と反省することしきり。口吻を掃除中のヒメナガカメムシの幼虫(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) ヒメナガカメムシは成虫越冬だと思っていたので、その点について更にお伺いを立ててみた。早速、鶉氏から御回答があり、「冬でも成虫と幼虫が混じって地表に見られたので、越冬態は成虫のみではないようです」とのこと。調べてみると、ヒメナガカメムシの仲間(Nysius属)は南方系の様で、越冬態と云うのが明確でないのかも知れない。とすると、今飼育中の幼虫、このまま越冬する可能性が大である。 中々綺麗だし動きも可愛い幼虫なのでどんな成虫になるか楽しみにしていたのだが、ヒメナガと聞いて飼育を続ける気持ちはすっかり無くなってしまった。丁度、一昨日、ベランダのキク科植物に同じヒメナガカメムシの幼虫を見つけたので、其処に逃がしてやった。掃除の合間.口吻が良く見える(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) 尚、kameotaku氏のコメントに「この辺りの種は分類を再検討中とのことです」とある。「検討中」と云う話は以前にも何回か聞いたことがあり、カメムシ図鑑にも「Nysius属には近似種が多く、その分類は本種を含めて全面的に再検討する必要がある」と書かれている。将来的に、ヒメナガカメムシ(Nysius plebeius、同図鑑に拠れば、種名をplebejusと綴るのは誤りとのこと)が数種に分かれる可能性もあるが、此処では単に「ヒメナガカメムシの幼虫」としておいた。
2010.12.18
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今日は、前々回に引き続き、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)の5齢幼虫を紹介する。撮影したのは10月17日の朝で、先日掲載の4齢の方は14日の夕方撮影だから、3日弱経っていることになる。コスモスの花を食害するオオタバコガの5齢幼虫中心にある筒状花の直径より長くなった尚、この幼虫は6齢で終齢に達する(写真クリックで拡大表示)(2010/10/17) 先ず、コスモスの花を含めた全体の写真を上に示す。4齢の時には全体写真の良いのがなかったので掲載しなかったが、4齢では筒状花部分の径よりもかなり小さかった。しかし、5齢では明らかに体長が径を上回ることが分かる(勿論、同じ花ではないので、筒状花部分の直径にはバラ付きがある)。背面から見たオオタバコガの5齢幼虫.細かい皺の様な筋が増えて大分オオタバコガの幼虫らしくなった(写真クリックで拡大表示)(2010/10/17) 縦に走る細かい皺の様に見える筋が増えて、よりオオタガコガの幼虫らしくなった。体色が変化して緑色を強く帯びている(写真は強く圧縮してあり、また、写真の周囲が緑色なので、実際よりも赤味が濃くなる)。成長したオオタバコガ幼虫の色は、緑色の他、茶色、赤味の強いもの、全体に色が薄いもの、濃いもの等様々だが、緑系が一番多い様な気がする。筒状花から無理矢理離されたオオタバコガの5齢幼虫(写真クリックで拡大表示)(2010/10/17) この幼虫、随分細長く見えるが、頭幅が腹幅より僅かに狭い程度なので、脱皮後余り時間が経っていないと思われる。しかし、脱皮直後と思われる4齢の写真と比較するとやや腹部の方が太くなっているから、脱皮後の経過時間は5齢の方が長いのであろう。 この5齢は2日後の19日の朝に6齢に脱皮する。4齢と5齢は同じ個体である。・・・とすると、大きくなるにつれて齢期は長くなる様なので、4齢に2日、5齢に3日要したと考えるのが適切かと思われる。オオタバコガ5齢幼虫の頭部.花粉だらけである(写真クリックでピクセル等倍)(2010/10/17) 今回も頭幅を計って5齢幼虫であることを示しておく。上の写真は、頭部を等倍接写したものでる。写真だけ見ると4齢と大きさが余り変わらない様に見えるが、4齢と5齢の写真を撮った間の10月16日に、それまで使っていた100mmマクロが故障して、カメラ本体もレンズも変更した。新しいシステムの方がピクセル数が多く、ピクセル等倍にすれば横幅が1.2倍大きくなる。4齢の方はテレプラスで超接写、上の写真は通常の等倍接写で、何れもピクセル等倍である。 頭幅をスケールと比較すると1.7mm。前回も転載した「大豆を加害するハスモンヨトウ及びオオタバコガ各幼虫の齢期を判定するための頭幅測定ゲージ」に掲載されている、オオタバコガ幼虫の齢と頭幅の関係は以下の通りである。 幼虫の齢 頭幅最頻値(mm) 最小値-最大値 1齢 0.25 0.2 - 0.3 2齢 0.35 0.3 - 0.45 3齢 0.60 0.55-0.75 4齢 1.05 0.85-1.25 5齢 1.70 1.3 - 2.0 6齢 2.60 2.4 - 3.0 頭幅1.7mmは、丁度5齢の頭幅最頻値であった。オオタバコガ5齢幼虫の胸部.棘状の突起が無数にある(写真クリックで拡大表示)(2010/10/17) 前回、保育社の「原色日本蛾類幼虫図鑑」に拠ると、オオタバコガの属すヤガ科(Noctuidae)タバコガ亜科(Heliothinae)の幼虫は、胴部の表皮に微細な顆粒を密布する、と書いた。この粒々、或いは、棘状突起は4齢では大した事は無かったが、5齢では上の写真の様にかなりリッパに発達している。6齢(終齢)では、体ももっと大きくなるので、もっと見応えがある。どうぞお楽しみに。 ・・・しかし、我ながらもうオオタバコガの幼虫には少し飽きて来た。読者諸氏もウンザリされていると思われるが、この後更に「6齢(終齢)」、「蛹と成虫」の2回がある。しかし、6齢はかなり見映えがするし、少し違った観点からの話もあるので、どうか今暫く御辛抱の程、御願い申し上げる。[追記]以下に、以前及び以降のオオタバコガ成長記録の一覧を示しておく。 内容 掲載日 撮影日 備考 2齢幼虫 2010/11/26 2010/10/12 3齢幼虫 2010/12/01 2010/10/14 他とは別個体 4齢幼虫 2010/12/11 2010/10/14 6齢幼虫 2011/01/17 2010/10/21 蛹と成虫 2011/01/31 - 2個体
2010.12.15
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先週の日曜日、ベランダの椅子に座って朝のコーヒーを飲んでいると、目の前にあるデュランタの葉に妙な影が写っているのに気が付いた。葉裏から見た影である。 早速、葉表の方へ回ってみると、何と、サトクダマキモドキ(Holochlora japonica)の幼虫である。先の10月に「サトクダマキモドキの幼虫(初齢)」を掲載したが、今回の幼虫は一昨年の観察結果から判断すると3齢らしい。デュランタの葉上で休むサトクダマキモドキの3齢幼虫右の触角が2/3程切れて無くなっている晩秋で葉っぱが黄色くなっている(写真クリックで拡大表示)(2010/12/05) 10月に掲載した初齢幼虫は、左の触角の先端1/3位が折れていた。今日の3齢幼虫は、反対に右の触角2/3程が無くなっている。ゴキブリや直翅目の幼虫は、触角や脚が切れても、脱皮することによりある程度の再生が可能らしい。しかし、2齢を経るだけで左の触角が完全に再生出来るものだろうか。恐らく、今日の個体は10月のとは別個体であろう。もう少し近づいてみる.腹部にある1対の黒斑が目立つ(写真クリックで拡大表示)(2010/12/05) 10月の時にも書いたが、サトクダマキモドキは卵越冬で、初齢幼虫が出没するのは5月下旬、8月には成虫になる。今頃3齢幼虫がいるのは、5月に孵化すべき卵の一部が、この夏の猛暑でおかしな事になり、越冬する前に孵化してしまったのだろう。ストロボを嫌って、木の枝を伝って逃げるサトクダマキモドキの3齢幼虫(写真クリックで拡大表示)(2010/12/05) その結果として、孵化してしまった個体は冬を越せず、この3齢幼虫も、近い将来、あの世に行く運命にあると思われる。見ていても、動きに元気さが感じられない。葉の重なった部分に逃げ込んだ(写真クリックで拡大表示)(2010/12/05) ストロボの光を嫌って逃げるが、跳んで逃げることはせず、枝を伝ってカメラから離れようとする。尤も、サトクダマキモドキの幼虫は、木のテッペンにいることが多いので、枝を伝って歩くのは極く普通の行動なのであろう(幼虫は前方に跳ぶだけだから、木のテッペンへ飛び上がるのは無理)。 写真を撮り終わると、サトクダマキモドキは安心したらしく、その後は一日中同じ所に留まっていた。しかし、次の日にはもうその場所には見当たらなかった。夜行性らしいので、まァ、当然であろう。腹部の黒斑と胸部に見られるかすかな模様が3齢の特徴(写真クリックで拡大表示)(2010/12/05) この近々天に召される運命にあるサトクダマキモドキの幼虫を飼育して冬を越させる手もある。しかし、餌として何を与えれば良いのかがサッパリ分からない。 サトクダマキモドキが普段何を食べているのか不明である。「木の葉を食べる」としてあるサイトもあるが、何を根拠にしているのかが書かれていない。以前に書いた様に、サトクダマキモドキの幼虫は、カマキリの幼虫と同じく、木のテッペンの様な目立つ場所に、同じ様な下向きの格好で、ジッとして居る。こう云うのは、捕食者のすることである。 サトクダマキモドキは捕食性の強いキリギリス科(Tettigoniidae)に属す。キリギリスを飼育する話はWeb上に沢山あるから、それらを参考にすれば良いのかも知れない。しかし、飼育に失敗して死なせてしまうのは何としても避けたい。それよりは、自然の摂理に任せる方が良いと思うのである。
2010.12.13
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今日は、前々回の「オオタバコガの幼虫(3齢)」に引き続いて、その4齢幼虫を紹介する。 体長は約9.5mm、3齢の写真では約9mmであったから大差なく、脱皮後間もないものと思われる。尚、今日の4齢幼虫は、前々回掲載の3齢幼虫とは別個体で、3齢と同じ日に撮影したものである。オオタバコガの4齢幼虫.脱皮直後らしく頭と胴の幅がほぼ同じ3齢とは異なり、オオタガコガの幼虫らしくなった(写真クリックで拡大表示)(2010/10/14) 上の写真に示した姿を見た途端に、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)の幼虫だと思った。理由は我ながら良く分からないが、多分、この横から見た形と、何となく表皮がザラザラした感じがしたからだと思う。3齢までは、表皮はすべすべして光沢があったが、この4齢にはそれがない。上から見たオオタバコガの4齢幼虫.花弁が邪魔して少し斜めになっている.花弁を避けるのが面倒だったらしい(写真クリックで拡大表示)(2010/10/14) この個体は、3齢幼虫のところで書いた様に、最初に掲載した2齢幼虫(10月12日撮影)が成長したものと思われる。僅か2日半で2齢が4齢になるとは信じがたいが、この個体は3日後の17日には5齢(何時5齢に脱皮したかは不明)で、19日には6齢に脱皮し、23日には土に潜ってしまった。2齢から前蛹化まで僅か11日、6齢期が長く、2齢から6齢に脱皮するまではたったの7日である。若齢ほど齢期が短い様なので、3齢位までは1齢を1日で終わるとしてもおかしくはない。上の状態を横から見た図.かなり体が伸びている(写真クリックで拡大表示)(2010/10/14) この4齢幼虫、3齢とは随分外見が異なる。3齢までは赤っぽい色をしていたのが、濃い焦げ茶色(もう少し緑がかっていた様な気がするが、白いコスモスの花を白になる様に現像するとこう云う色になる。赤味がかるか緑を帯びるかは非常に微妙で、極く僅かの調整で色が違ってしまう)になっているし、硬皮板や頭部の黒っぽい部分が殆どなくなり、頭部には褐色の斑がやや筋状に残っているだけである。 その他に、表皮の構造に大きな違いが生じている。オオタバコガ4齢幼虫の胴部.テレプラスで超接写したもの背中やその他の表皮に突起状の構造が認められる(写真クリックでピクセル等倍)(2010/10/14) 最初の方で、何となく表皮がザラザラした感じがすると書いた。保育社の「原色日本蛾類幼虫図鑑」に拠ると、オオタバコガの属すタバコガ亜科(Heliothinae)の幼虫は、胴部の表皮に微細な顆粒を密布する、とある。 胴部を超接写した写真を上に示した。露出不足を増感しているのとピクセル等倍なので酷い写真だが、背中に白い棘状の突起が認められ、他の部分にも、写真自体のザラツキで見難いが、突起状の構造があるのが分かる。これが故に、ザラザラした感じがするのである。 この細かい突起は3齢幼虫には見られないもので、終齢になると見事に発達する(大きくなるので撮り易いせいもある)。テレプラスで超接写したオオタバコガの頭部.頭幅は1.1mm(写真クリックでピクセル等倍)(2010/10/14) 尚、始めから4齢幼虫と書いているが、一応、その根拠を示しておく必要があろう。上の写真は、頭部をテレプラスで超接写したもので、スケールと比較すると頭幅は1.1mm。先日紹介した「大豆を加害するハスモンヨトウ及びオオタバコガ各幼虫の齢期を判定するための頭幅測定ゲージ」に掲載されている、齢と頭幅の一覧表を以下に転載する。 幼虫の齢 頭幅最頻値(mm) 最小値-最大値 1齢 0.25 0.2 - 0.3 2齢 0.35 0.3 - 0.45 3齢 0.60 0.55-0.75 4齢 1.05 0.85-1.25 5齢 1.70 1.3 - 2.0 6齢 2.60 2.4 - 3.0 頭幅1.1mmは4齢の範囲にあることが分かる。頭と胴体の幅に大きな違いがないのは、脱皮して間もないからであろう。3齢では体長9mm、この4齢では9.5mmと大差ないが、頭幅は3齢では0.72~0.73mmだったから、4齢は3齢よりかなり大きくなっていると言える。[追記]以下に、以前及び以降のオオタバコガ成長記録の一覧を示しておく。 内容 掲載日 撮影日 備考 2齢幼虫 2010/11/26 2010/10/12 3齢幼虫 2010/12/01 2010/10/14 他とは別個体 5齢幼虫 2010/12/15 2010/10/17 6齢幼虫 2011/01/17 2010/10/21 蛹と成虫 2011/01/31 - 2個体
2010.12.11
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此処暫く非常に忙しく、更新を1週間以上怠ってしまった。 今年は猛暑だったそうで、そのせいか、テントウムシ、特にダンダラテントウが少ない。御蔭で、我が家の外庭に植えられているコナラの葉裏にはアブラムシがビッシリと付いて甘露を排泄し、その下のスレートは毎日洗ってもベトベトの状態が続いている。 殆ど毎日、何か居ないかコナラの葉裏を調べていたのだが、漸く見つけたのが、今日紹介するクロツヤテントウ(Serangium japonicum)である。背側から見たクロツヤテントウ.テレプラスによる超接写(以下同じ)深度を深くする為に少し絞ったので、解像力が低い(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) 体長は2.1mmと小さい。体は、背側から見ると真っ黒で、胸部には長めの毛が疎らに生えており、上翅(鞘翅)にも胸部に近い側に僅かだが同様の毛が認められる(下の写真)。 しかし、後で見る様に、顔、脚は腿節から付節に至るまで、赤みを帯びた褐色である。横から見たクロツヤテントウ.胸部だけでなく上翅の前半にもかなり長い毛がまばらに生えている(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) このテントウムシ、背側に毛があるので、始めはヒメテントウの仲間かと思った。しかし、「背面被毛あり」として文教出版の「テントウムシの調べ方」に載っている検索表を辿って行くと、迷子になってしまう。 細かい話になるが、ヒメテントウ類では、前胸腹板(4番目の写真で矢印「A」で示した部分)が基本的にTの字形である。しかし、このテントウムシでは富士山の様な上部の平らな三角形をしている。正面から見ると、眼は黒いが顔は赤味を帯びた褐色(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) また、5番目の写真の矢印「B」で示した大きな凹みを後基節窩と呼ぶが、これが腹部第1腹板を越えて上翅(鞘翅)の側片まで達している。ヒメテントウらしくない。 更に、矢印「C」で示した基節窩の縁を腿節線と呼び、これが腹節の端まで連続している。検索表で行き当たった種では何れも途中で消えている。クロツヤテントウの腹側.矢印「A」は前胸腹板富士山の様な略三角形をしている(写真クリックで拡大表示)(2010/11/30) ・・・と云うことで、検索を最初からやり直し。「背面被毛なし」で検索表を辿ると、小腮鬚の形で少し迷ったが、最終的にクロツヤテントウ(Serangium japonicum)に行き当たった。 Web上で検索してみると、外見的にもクロツヤテントウで間違いない様である。保育社の甲虫図鑑の図や記載とも一致する。テントウムシ科(Coccinellidae)メツブテントウムシ亜科(Sticholotidinae)ツヤテントウ族(Serangiini)に属す。 なお、同図鑑に拠れば、このテントウムシは、アブラムシではなく、コナジラミ類を捕食するとのこと。コナラの葉裏にはアブラムシの他にかなりのコナジラミが寄生している。3年前に掲載した「ヨモギヒョウタンカスミカメ(捕食と幼虫)」の彼方此方に写っている中央の白い黒い楕円形のものはコナジラミの蛹殻である。矢印「B」は後基節窩、「C」は後腿節線を示す触角が何とも奇妙な形をしているが、これはツヤテントウ族(Serangiini)の特徴(写真クリックで拡大表示)(2010/11/30) ところで、上2枚の写真、どうやって撮影したのか? 勿論、生きた個体である。しかし、テントウムシ、亀の子の様にひっくり返されて大人しくしている虫ではない。 実は、入れ物(シャーレ)ごと冷蔵庫に入れ、暫く冷やして寒さで動けなくしてから撮影したのである。ところが、テントウムシは成虫越冬、寒さに強い。ものの30秒もすると動き出す。上(5番目)の写真では、その上の写真と違って脚が焦点を外れているが、これは脚をバタバタさせている最中に撮影したからである。翅を開いて起き上がるクロツヤテントウ付節が3節からなることが分かる(写真クリックで拡大表示)(2010/11/30) 脚をバタバタさせてもガラスのシャーレでは脚が滑って起き上がれない。すると、今度は翅を開き、その開く力で起き上がる。上の写真は丁度その起き上がった瞬間。お尻も前翅もボケているが、幸い後翅に焦点が合っているので掲載することにした。 一寸した「芸術作品」風を気取ったつもりである。
2010.12.09
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今日は、前々回に引き続いて、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)の幼虫を紹介する。 先日の2齢幼虫は10月12日撮影、今日のは3齢幼虫で、僅か2日後の14日である。12日にはコスモスの花に1頭しか居なかった筈の幼虫が、14日には3頭に増えていた(何れも別々の花上)。しかも、その内の1頭は大きくて色も濃く、姿も少し異なって別種ではないかと思われた。 その色の濃い大きい個体を拡大してみると、これはどうもオオタバコガの幼虫らしい。12日に撮影した個体が成長してこの色の濃い個体となり、他の2頭は新たに後から孵化した様に見える。しかし、たった2日でそれ程急激に成長するものだろうか。しかも、その色の濃い幼虫は4齢らしい。 一寸考え難い成長速度である。しかし、コスモスの花弁(舌状花)の上に落ちている黒い糞は遠目にもハッキリ分かるほど明瞭で、糞の落ちていた花は12日には1個のみで、其処に居た幼虫は1頭だけであったのは確かである。コスモスの花とそれを食害するオオタバコガの3齢幼虫2齢幼虫との大きさの違いを示す為に原画全体を示す虫だけを撮る為に撮影したので、構図が宜しくない2齢よりもずっと大きいことが分かるであろう(写真クリックで拡大表示)(2010/10/14) 何れにせよ、先日紹介した2齢幼虫や、それとよく似た今日の3齢幼虫が、外見の著しく異なるオオタバコガの4齢幼虫(次回に掲載予定)に姿を変えるものか、それぞれ個体を分けて飼育してみることにした。上の写真と同一個体.体長約9mm2齢とよく似ているが硬皮板と頭の色がかなり薄くなっている(写真クリックで拡大表示)(2010/10/14) 今日の幼虫は2頭だが、何れも体長は約9mm、先日のは5mmで2齢であった。今日の個体が3齢であると判断したのは、先日紹介した、福岡県のHPの下にぶら下がっている「大豆を加害するハスモンヨトウ及びオオタバコガ各幼虫の齢期を判定するための頭幅測定ゲージ」に掲載されている齢と頭幅の一覧表による。以下に再度、転載する。 幼虫の齢 頭幅最頻値(mm) 最小値-最大値 1齢 0.25 0.2 - 0.3 2齢 0.35 0.3 - 0.45 3齢 0.60 0.55-0.75 4齢 1.05 0.85-1.25 5齢 1.70 1.3 - 2.0 6齢 2.60 2.4 - 3.0同一個体.横から見た図.腹節第6節の腹脚が見えないのは、歩いている最中を撮影した為(写真クリックで拡大表示)(2010/10/14) 頭幅の測定は、等倍で撮影した2番目の写真と、テレプラスでもっと拡大した5番目の写真をスケールと比較することで行った。何れも頭が少し斜めになっているが、頭幅は前者では約0.73mm、後者では0.72mmであった(有効数字は1桁半位)。 表と比較すると、少し大きめだが、3齢幼虫であることが分かる。 2齢幼虫と較べると、大きさの違いばかりでなく、2齢では真っ黒であった頭と前胸(胸部第1節)背面の硬皮板の部分が薄くなり、また、お尻の硬皮板(肛上板)の紋も薄くなって不明瞭になっている。オオタバコガの3齢幼虫.上とは別個体少し太っているが、体長はほぼ同じ(写真クリックで拡大表示)(2010/10/14) しかし、この3齢幼虫、何処かで見た記憶がある。よく考えてみると、2年前に新しく買って来た「北米原産シオンの1種」の花に付いていた幼虫である(最後の写真)。従って、これも恐らく「我が家の庭の生き物」ではなく、花と一緒にやって来た「お客様」だが、前にも書いた様にオオタバコガはこの辺りでは極く普通種なので、敢えてよしとして掲載することにした。 このシオンの1種を買って来た園芸店は、今回のコスモスの花を買ったのと同じ店だったと思う。余り農薬を使っていないのか、或いは、これらのオオタバコガが薬剤耐性を獲得しているのかは不明であるが、「お客様」を招くには良い店かも知れない。尤も、毎回オオタバコガでは困るが・・・。テレプラスで超接写したオオタバコガ3齢幼虫の頭部(写真クリックで拡大表示)(2010/10/14) 下の写真の個体、その前に示した今年のものと比較して、全体の姿や模様ばかりでなく、頭や前胸の硬皮板の形、硬皮板に生えている毛の位置まで全て一致する。オオタバコガの3齢幼虫だったのだ。撮影当時、「ノメイガの幼虫?」として掲載しようとも思ったが、全く別の若齢幼虫かも知れないと考えて掲載しなかったのは幸いであった。一昨年に購入した「北米原産シオンの1種」に居た蛾の幼虫今まで正体不明であったが、オオタバコガの3齢幼虫であることが判明した。(写真クリックで拡大表示)(2008/10/05) 次は4齢幼虫である。2齢と3齢では余り変化はなかったが、4齢になると劇的?に変容する。どう変化するかは、次に掲載する時のお楽しみ。[追記]以下に、以前及び以降のオオタバコガ成長記録の一覧を示しておく。 内容 掲載日 撮影日 備考 2齢幼虫 2010/11/26 2010/10/12 4齢幼虫 2010/12/11 2010/10/14 5齢幼虫 2010/12/15 2010/10/17 6齢幼虫 2011/01/17 2010/10/21 蛹と成虫 2011/01/31 - 2個体
2010.12.01
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