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「ジャガーXF」がこの秋、内外装に変更を受けた。目元をキリッと引き締めた新しいスポーツセダンの印象は? 3リッターV6モデルに試乗した。 最近、急激に進んでいるのがクルマのライトのLED化である。テールライトもそうだが、やはり目立つのはヘッドライト。主流はポジションライトがLEDというパターンだが、中にはハイビーム/ロービームまで全部LEDというモデルもある。 ヨーロッパ車の場合、もともとデイタイムランニングライトとして用意されたものだが、LEDライトがつくと顔の印象がガラッと変わるので、フルモデルチェンジはもちろん、モデルサイクル途中のフェイスリフトで追加するには格好のアイテムである。 ご覧のとおり、2012年モデルの「ジャガーXF」もしかり。プレスリリースを読むかぎり“マイナーチェンジ”という文字は見あたらないものの、2007年のフランクフルトショーでデビューしたXFは“2012年モデル”の名のもとに内外装のリフレッシュが実施されている。 クーペのようなエレガントなフォルムはそのままに、フロントバンパーからボンネット、フロントフェンダーのエアインテーク、リアコンビネーションランプなど、変更点はたくさんあるが、やはり一番のニュースはヘッドライトがすっきりとしたデザインに改められたことだろう。「J」字型のLEDランプも備わる。その“美顔効果”は絶大で、「あのヘッドライトがね」と残念がっていた人も、これなら躊躇(ちゅうちょ)せずこのクルマを選べるのではないか。 エクステリアに比べるとインテリアの変更はさほど目立たないが、ステアリングホイールやセンターコンソールのスイッチ類のデザインが微妙に変わっているのがわかる。パワートレインについては基本的には2011年モデルと変わらない。この内容で、価格は66万円安価な694万円となったのは驚きである。ちなみに、エントリーモデルの「3.0ラグジュアリー」なら600万円を切る595万円である。 購入を検討していた人にとっては興味津々に違いない2012年モデル、そのドライバーズシートに収まると、いまなお新鮮な印象だ。さすがに上級モデルの「XJ」に比べるとあっさりとしているが、心地良さというか気安さという意味ではむしろXFのほうが好ましく思えるほどだ。 赤のイルミネーションが脈打つエンジンスタートボタンを押すと、センターコンソールにある円柱型のセレクターがにゅっとせり上がる。回して操作するために、たまに乗ると、とっさにバックするような場面では慌ててしまうが、それは慣れの問題だろう。さっそく走り出すことにする。 試乗したXF 3.0プレミアムラグジュアリーに搭載されるのは最高出力243ps、最大トルク30.6kgmの3リッターV6エンジン。これに6段ATが組み合わされている。直噴ターボだの8段ATだの、目新しいところはないものの、そのぶん、このクルマの雰囲気に似合う優雅な加速を見せてくれた。 発進は滑らかで、低回転から粘りあるエンジンのおかげで、街中では実に扱いやすい。トルクコンバーター式のATも上品なシフトマナーを示している。何しろすべてが上質なのだ。エンジンを回すと、4000rpmあたりをピークにレブリミットの6800rpmに向けてなだらかにトルクが落ちていく印象。オプションのガラスサンルーフ付きで車重が1770kgに達することもあり、鋭い加速こそないが、普段街中から高速までで、使うには動力性能に不満がないのは確かだ。 一方、ほぼ理想的な前後重量バランスを手に入れたXFは、素直なハンドリングも魅力のひとつだ。乗り心地はマイルドで、フラット感も十分なのだが、今回の試乗車にはオプションの20インチホイールと255/35R20のタイヤが装着されていて、路面状況によっては快適な乗り心地がスポイルされることがあった。 webCGスタッフの運転で後席も試してみたところ、クーペのようなスタイリングにもかかわらず狭苦しさはなく、乗り心地もまずまず。4人の乗員がゆったりと心地よく移動できるクルマとして、デビューから5年目のXFはなかなか魅力的に思えたのである。
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