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フェアレディZ、こういう呼び方をするのは日本国内だけだと思いますが。数えて6代目となるZ34カー、やはり日本を代表するスポーツカーです。 これはオートック・ワンに載った、小沢コージの試乗記です。
見方にもよるが、最近フェアレディZの販売がイマイチらしい。聞けば国内では月販300~400台、最大市場の北米でも月1500台前後。ざっと計算して、久々の復活で人気を博した旧Z33に比べて、半分ぐらいのペースだ。
が、個人的にはこれをどう見るかだと思う。同じコップ半分の水でも「多い」か「少ない」か、見方によってどちらにでも取れるように。
確かに現行Z34は、旧型Z33と同じくその時代のスカイラインをベースにし、Z33よりエンジン排気量を200cc増やしつつ、逆にホイールベースを100mmも縮める手法を採った。言わばサイズを縮めて味を濃くするストイックな凝縮路線だ。
スタイルも旧型の様に伸びやかではなく、よりお尻を縮めてマッチョにするトランジスタグラマー路線でセクシー度を強調。個人的にはよりZっぽくエロくて良いと思う。
実際、販売店でも「前のは良かった」なんて声はないが、この辺りの判断は難しく、ストイック方向が災いした可能性はある。時代は新型ポルシェ911などを見るまでもなくゴージャス方面で、特に新興の中国などでは露骨に硬派さよりも豪華さを好むからだ。
しかし、トヨタ86なんかは重心を極端に低くし、リアシートサイズを割り切ったピュア方向。欧州でもウケそうだし、価格層でも判断は違うし、エンジニアが好きなように作る…というのは間違いじゃないはずなのだ。
というわけで今回デビューから約4年後の2012年7月に行われたマイナーチェンジは、なんとも正常進化かつ時代を反映させた結果となった。
一番大切な見た目だが、正直大変更ってほどのものはないが、ズバリ!よりエグくて味濃いめな方向へと進化した。くの字型の独特のヘッドライトに変更はなく、フロントバンパーのエアインテークがスクエアな長方形となり、両サイドに縦スリット風のLEDが付くと同時にエラっぽい造形になった。実はコレ、旧型Z33にもあったデザインで、ある意味、原点回帰かもしれない。
侮れないところではアルミホイールがまるで「ジャックと豆の木」の枝みたいに、にょろにょろ伸びる大胆デザインとなり、ブレーキキャリパーがレッドに塗られた。ボディカラーにもハデなメタリック系オレンジが選べるようになった。
一方、インテリアはほぼ変わらず、情報ディスプレイのベースカラーがシルバーからメタリックグレーになったのみ。Z34になった時に、全体的な質感が飛躍的に高くなって、300万円後半から買えるスポーツカーとしては満足できるものになっただけに文句はないのだろう。
そして一番違うのは走りである。といっても336psの3.7リッターV6DOHCと7ATか6MTのパワートレインにもまったく変化はない。注目は足回りで、それもバネ&スタビライザーは変わらず、ダンパーを締め上げる方向の「ユーロチューンドサスペンション」になった。同時に耐ブレーキ性を向上させたブレーキパッドも採用。
要は、これまたストイックな方向に進化したのだ。
実際の走りだが、走り始めから分かり易く締まっており、一瞬「おお、メチャクチャ硬派方向のマイチェンか?」と思いきや全然違う。確かに締まっているが不快さはない。快適性は逆に高まっているくらいだ。バネは旧型より倍程度ぐらいのスペックになっているが、入念にチューニングを重ねたらしい。
それと良いのはハンドリング。そ
れも峠をギンギンに飛ばすのではなく、普通に街を走ってても無駄な動きが減ったのが分かり、切ったら切った分曲がる。言葉にすると当たり前過ぎるが、ピタっと決まり、恐さもない。
これは特に高速で恩恵があり、前よりも一体感が高まって安心して走れる。全体としてストイックになりつつも、高級感も高めている。結構、美味しいとこ取りのチューニングなのである。
Version NISMOにも試乗したが、そもそもスパルタンなこのモデル、タイヤがBSのRE050からレーシーなRE-11に変わり、ボディ補強とブッシュ&ダンパーチューンとエンジンの中低速トルクアップがなされ、より硬派になったのかと言うと、これまた単純には言いきれない。乗り心地は悪くないし、なによりステアリングフィールがナチュラルでゴリゴリさがない。洗練を加えつつ速くなっているのだ。
とは言え新型ポルシェ911のように高級サルーン方向の柔らかさはなく、そういう意味では、やっぱり硬派過ぎるほど硬派だ。見た目も繰り返しだが、もうちょっと変えても良かったかもしれない。
それより驚きは燃費だろう。イマドキとしては(意外にも)、カタログ燃費は前とほぼ変わらず、全モデルを通じてJC08モードは9kmL台前半。流行りのアイドルストップもなく、これだけでも全体の姿勢が伺える。
そう、マイチェンZにはほとんど世間に対して、媚びる姿が見られない。実際、買う人は必要以上に燃費を気にしないだろうし、あくまでも正常進化にこだわっている。これはイマドキの日本メーカーとしてはかなり大胆だし、逆に割り切りなのかもしれない。
販売台数に関してだが、日本はある意味厳しすぎる。
例えば86に関しては、200万円台から買える今までに無い本格スポーツ、ついでにギリギリ4人乗れる。これはデカい。一方、ポルシェはもはや女子高生でも知る世界の一流ブランド。ステイタスとして買う人の幅が広い。
その点Zは、やはり一部の好きモノアイテムであり、日本でその存在がどんどん小さくなっている。本来スポーツカーは、スペックではなく、記憶や思い入れで買うモノ。そもそもそれを生み出す社会現象やレース活動に乏しい今の日本では、いくらハードの良さで頑張っても無理があるのだ。
本来的にはEVフェアレディZや、フェアレディZハイブリッドでも出ないと状況の打開は無理な気がする。特別安くもなく、超ブランドでもない2人乗りスポーツカー。せいぜい好き者が長く、深~く愛してやらねば…と思った不肖小沢なのでありました。
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