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未成年者(当時14歳)が自転車を運転中歩行者(当時85歳)と衝突し、転倒・負傷させた交通事故につき、当該未成年者の不法行為責任が認められた事例上記事例で未成年者の両親につき、指導監督義務に基づく不法行為責任が否定された事例(大阪高裁 平成23年8月26日判決)「事案の概要」Xは、自宅周辺の路上で佇立していたところ、Y1の運転する自転車と衝突して転倒した。Xは、本件事故による胸椎及び腰椎の圧迫骨折等の傷害により自賠法施行令所定の後遺障害等級併合11級の後遺障害を負ったとして、Y1につき自転車運転上の過失、その両親であるY2及びY3につきY1に対する安全運転に関する指導監督義務違反の過失をそれぞれ根拠に、いずれも民法709条に基づき損害賠償を請求した。「判旨」本件事故当時、Y1は、中学2年生(14歳)であり、XはY1の体が大きいので、Y1を大学生と間違えた程であるところ、Y1は、その1年数ヶ月後に高等学校に進学しており、心身ともに平均以上の成長を見せていたものであることが認められる。したがって、Y1の責任能力が優に認められる。本件事故は、Y1の重大な過失によるものではあるが、所詮は、Y1が、本件事故当時、非常に危険で無謀な自転車の運転方法をしていたというに留まる。そして、Y2及びY3から見て、本件事故当時、Y1が、(1)社会通念上許されない程度の危険行為を行っていることを知り、又は容易に知ることができたことや、(2)他人に損害を負わせる違法行為を行ったことを知り、そのような行為を繰り返すおそれが予想可能であることについて、Xは、具体的な主張、立証をしていない。したがって、Y2及びY3について、Y1の自転車運転に関する危険防止のための具体的な指導監督義務を認めることができないから、本件事故の発生について、Y2及びY3の責任は認められない。判例タイムズ1387号257頁
2013.05.31
面談強要等禁止仮処分命令申立事件の執行力ある決定正本につき執行文の付与が肯定された事例(東京地裁 平成24年10月12日判決)「事案の概要」Yは、Xが理事長を務めるAがYを不当解雇したと主張してその撤回を求めて争っていたが、Xの住居前で情宣活動を行ったことに関し、Xを債権者、Yを債務者とする面談強要等禁止仮処分命令を受けた。更に、同仮処分命令の執行力ある決定正本に基づくXの申立により、東京地方裁判所は、(1)Yまたはその支援団体の会員等の第三者をして、Xの自宅に赴いてXに対して面談を要求するなどしてXの住居の平穏を害する行為をし、若しくはさせてはならないこと及び(2)Yが(1)の義務に違反する行為を行ったときは、Xに対し、違反行為をした日一日につき金30万円の割合による金員を支払うことを内容とする間接強制条項を含む決定をした。本件は、Yが本件決定の(1)の義務に違反する行為をしたとして、Xが本件決定につき執行文付与の訴えを提起した事案である。「判旨」本件決定がYに送達された日以降の時期である4日について、Yまたはその支援団体の会員等がXの自宅周辺においてプラカードを掲示したこと、ビラを配布したこと等の行為があったことを認定し、これらは本件決定の(1)の義務に違反していると認められる。また、これらのプラカードを掲示する行為やビラを配布する行為そのものがXの住居の平穏を害しており、また、Yと支援団体の会員らは約7名から13名もの人数で、Xの住居前で約1時間半もの間情宣活動を行っており、たとえ大声を上げておらず、Xやその家族に直接働きかけていないとしても、Xやその家族に相当の心理的圧迫を与えていることは容易に推認でき、この点からもXの住居の平穏を害している。本判決は、以上に基づき、Xの請求を認容し、東京地方裁判所書記官が執行金額合計120万円についてXに執行文を付与することを命じた。判例時報2179号81頁
2013.05.17
債務名義を有していても、権利保護の必要性があるとして、仮差押命令の申立を許容した事例(東京高裁 平成24年11月29日決定)「事案の概要」AはYに対し金銭債権を有しており、これについて公正証書を作成し、執行力を有する債務名義を有していた。Aは破産し、Xが破産管財人に選任された。Xは、YがBに対し債権を有しているとの情報をつかみ、上記執行力を有する債務名義に基づき、YのBに対する債権の仮差押えの申立をした。原審裁判所は、Xは執行力ある債務名義を有しており、仮差押申立は、権利保護の必要性を欠くとして申立を却下した。これを不服とするXが抗告した。「判旨」債権者が被保全債権について確定判決等の債務名義を有している場合には、債権者は、遅滞なくこの債務名義をもって強制執行の手続をとれば、特別の事情がない限り、速やかに強制執行に着手できるのが通常であるから、原則として、民事保全制度を利用する権利保護の必要性は認められないというべきである。他方、債権者が被保全債権について債務名義を有している場合であっても、債権者が強制執行を行うことを望んだとしても速やかにこれを行うことができないような特別の事情があり、債務者が強制執行が行われるまでの間に財産を隠匿又は処分するなどして強制執行が不能又は困難となるおそれがあるときには、権利保護の必要性を認め、仮差押えを許すのが相当である。抗告人は、Aの破産管財人であり、破産者の有する執行力のある債務名義(公正証書)により本件仮差押債権に対し債権執行を行うには、抗告人への承継執行文を得て、かつ、これを公証役場から相手方に送達し、その送達証明書を添付して債権執行の申立を行わなければならない。そうすると、承継執行文付きの公正証書が相手方に送達されることにより、相手方は、抗告人が強制執行の準備をしていることを予想することが可能となり、相手方において、本件仮差押債権を譲渡したり、また、本件仮差押債権の弁済期限が平成24年12月10日であることから、第三債務者から弁済を受けるまで送達を受領しない等するおそれがあるというべきであるから、債権者において、債権執行を速やかに行うことができず、これが不能又は困難となるおそれがあり、上記特別な事情がある場合に当たると認めるのが相当である。判例タイムズ1386号349頁
2013.05.02
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