神道に「中今」という言葉があります 。 今を生き切ることこそ大切という意味を持つ言葉ですが、マインドフルネスは中今そのものであり、私たちは古来、マインドフルネスを知っているのです。
残心 、という言葉をご存じでしょうか? 弓道、剣道、柔道などの武道、さらに伝統芸能の世界でもよく使われる言葉です。 意味としては「 それを終えた後、力をゆるめる、あるいはくつろぎながらも、まだしっかりと注意を払っている状態 」です。 気持ちが途切れていない状態、とも言えるでしょうか。 日常生活でも、残心を生かしてみたらいかがでしょう。 ドアや襖は、静かに、最後まで閉める。湯飲み、コップ、食器は、静かに置く。静かに歩く。無用な音を立てない。
信頼はしても、期待はしない。 そして、求めない。 どんなことだろうと、結果を求めない。 求めると、相手や状況への「依存」が必ず生まれます。 この依存が、ちょっと厄介です。 自分の人生を狂わせ、相手の人生を侵食します 。 「何かをしてくれたらありがとう、してくれなくてもそれが当然」 「約束を守ってくれたら感謝、守ってくれなかったら忘れよう」
やわらかな心を取り戻すための、最も簡単な方法があります。 それは、「褒める」ということ。 褒めは最強です。 まず、自分を褒める。 今を生きている自分、嫌なことも、つらいことも、すべてを受け止める自分。 笑ったり、泣いたり、怒ったり、寂しがったり、喜んだり。 小さなことから大きなことまで感情を向ける自分。 そんな自分を「よくやっている」と褒めてください。労ってください 。 次に、親しい人、近しい人を褒める。 いつもありがとうという感謝の気持ちを込め、ちょっとしたことで構わないので、その人を褒めてください。 一緒のときがいいでしょう。相手がその場にいないのなら、心で念じること。 込めた思いは通じます。
私たちが口に出していることは、その前に顔に出ているし、さらにその前に心で思っていること。だから自分の顔を毎朝、しっかりと見ることが大事なのです。
人間の五感には「抽出力」があります。 抽出力とは、五感を通じて入ってくるたくさんの情報の中から、ある音、ある映像、ある匂い、ある温度、そんな特定のものだけを、自分が選び取る能力です。 この能力を、誰もが無意識のうちに生活の中で使っています 。
では抽出力を磨くことのメリットは何かと言えば、自分が「不快だ」と感じるものを、自然と自分に取り込まなくなる点です。 抽出力が高まる状態とは、自分が気になるもの、好きなものへの興味の感度が、無意識のうちに高まっている状態です。するとどうでもいいもの、嫌なものは、どんどん削ぎ落とされます。
気になる場所があるのなら、行きたいなと思ったときに、なるべく時間を置かずにパッと行動してみましょう。
人生の主役は自分です。 私の人生の主役は私であり、あなたの人生の主役はあなたです。それ以外のすべての人は、家族だろうと親友だろうと脇役です 。 そういう意識で暮らすこと。 この意識が薄れて、家族や友人など周囲の言動に依存するようになると、途端にストレスが増します。からだが不調になります。 本来の自分が消えてしまうからです。
【感想】
東大病院救急医療の現場で15年、人間の生と死に向き合ってきた医師が、ストレスを抱えながら生きる現代人のために書いた1冊。医者の立場から、少しでもストレスを少なく生きるための心の持ち方のコツなどを伝授してくれている。残心、という武道の世界で使われている考え方はこの本を読んでからすぐに自分の考えの中に組み込んだ。
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