$\mathscr{C}$ の射の集まり $\mathrm{Ar}({\mathscr{C}})$ に対して次のように定める.
(i) $\mathscr{C}$ の射を対象とする;
(ii) $f : X \to Y$, $g : X' \to Y'$ を $\mathscr{C}$ の 2 つの射とする. $f$ から $g$ への射を, $\mathscr{C}$ の射 $h : X \to X'$, $k : Y \to Y'$ の対 $(h, k)$ で図式
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
X \ar[d]_{f} \ar[r]^{h} & X' \ar[d]^{g} \\
Y \ar[r]_{k} & Y'
}
\end{xy}
\end{equation*}
を可換図式にするものと定義する.
このとき $\mathrm{Ar}({\mathscr{C}})$ は圏となる. これを圏 $\mathscr{C}$ の射圏 (arrow category) と呼ぶ.
$\mathscr{C}$ の対象 $\mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ において, 対象が同型であることは $\mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ における同値関係となる. $\mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ をこの同値関係で割った商空間を $\hat{O}$ とおく.
同様に, $\mathrm{Ar}({\mathscr{C}})$ の対象 $\mathrm{Ob}(\mathrm{Ar}({\mathscr{C}}))$ (つまり $\mathscr{C}$ の射の集まり) において, 対象が同型であることは $\mathrm{Ob}(\mathrm{Ar}({\mathscr{C}}))$ における同値関係となる. $\mathrm{Ob}(\mathrm{Ar}({\mathscr{C}}))$ をこの同値関係で割った商空間を $\hat{A}$ とおく.
$\hat{O}$ と $\hat{A}$ に対して次の操作を行う.
・ $\hat{O}$ の各同値類から $\mathscr{C}$ の対象を 1 個ずつ選ぶ. 結果の集まりを $O$ とおく;
・ $\hat{A}$ の各同値類から $\mathrm{Ar}({\mathscr{C}})$ の対象を 1 個ずつ選ぶ. 結果の集まりを $A$ とおく.
この $O$ と $A$ を適切に定め, 以下の 4 つの関数を適切に定義することより, $O$ を対象, $A$ を射とする圏を構成することができる.
このために,
(1) $d^0, d^1 : A \to O$. ── $A$ に属する任意の射に対して, それぞれ射のソースとターゲットになる $O$ の対象を与える;
(2) $u : O \to A$. ── $O$ に属する任意の対象に対して, その上の恒等射 (identity) を与える;
(3) $m : P \to A$. ここで
\begin{equation*}
P = \left\{\, (f, g) \mid f, g \in A. \, d^0(f) = d^1(g) \,\right\}
\end{equation*}
である ── $A$ の 2 つの射 $f$ と $g$ に対して $f$ のソース $d^0(f) \in O$ と $g$ のターゲット $d^1(g) \in O$ が等しいとき, $f$ と $g$ の射の合成を与える.
このように構成された圏を
\begin{equation*}
\mathrm{sk}(\mathscr{C}) = (A, O, d^0, d^1, u, m)
\end{equation*}
と表わし, 圏 $\mathscr{C}$ の骨格 (skeleton) と呼ぶ.
今やっているのは, $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ の構成と, それが圏であることの証明. ひとまずできたと思うので証明を一から書いている.
$A$ の定義と関数 $m : P \to A$ の定義にかなり苦労した.
こういった苦労は自分としてはいつものことで, 非常に基礎的なところで大きく躓くのである.
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