ドイツのショイブレ財務相が、とうとうギリシャの財政破たんに言及する事態となりました。
EUとギリシャのギリギリの交渉はまだ継続していますが、市場の一部からは、
ギリシャのユーロ圏離脱もやむなしとの声も聞こえてきます。ただ、リーマンショック以前とは異なり、
一つの国の経済破たんが連鎖的に危機を引き起こすことがないよう、いくつもの対策が取られています。
仮にギリシャが破たんすることになっても、市場への影響は小さいでしょう。
ショイブレ財務相は、メディアとのインタビューにおいて「経験上、ある国が突然破たんする可能性はある」と発言し、
間接的にギリシャの財政破たんの可能性について言及しました。現在、ギリシャとEUは、
ギリシャの財政再建策と支援の条件をめぐって交渉を続けています。ショイブレ氏の発言は、
ギリシャ側に譲歩を促すためのものではありますが、間接的とはいえ、破たんに言及するというのはこれまでになかったことです。
こうした発言にもかかわらず市場は冷静さを保っています。欧州危機の発生後、
EUは金融危機を防ぐための措置をいくつも講じており、仮にギリシャが破たんすることになっても、
欧州全体への影響は限定的となる可能性が高いからです。
しかしながらギリシャ国内の混乱を回避することは難しいでしょう。ギリシャでは、
ユーロの入手が困難になりつつあり、政府は公務員の給与や発注に対する支払いに苦慮しているそうです。
報道によると、こうした事態に対処するため、IOUと呼ばれる約束手形の発行が検討されています。
約束手形とは、いつまでにいくらのお金を払うということを約束した証文のことで、
現金を支払う代わりに政府が相手にこれを手渡すことになります。
このままでは手形をもらった人はお金が手に入りませんから、これを両替商に持って行き、
手数料を支払って、現金化することになります。手形が大量に発行されるようになれば、
一定の値段であたかも通貨のように流通することになるかもしれません。つまり、これはユーロではない、
ギリシャの独自通貨が通用し始めることを意味しています。
しかし、ギリシャが破たんすることになると、この手形は紙切れ同然になりますから、
場合によっては手が付けられないインフレに陥る可能性もあります。これはEUからの支援が得られるまでの暫定措置としていますが、
どうなるかは分かりません。
ちなみに、太平洋戦争末期、資金に窮した旧日本軍も軍票と呼ばれる約束手形を大量に発行しましたが、
当然のことながら終戦と同時にこれらはすべて紙切れとなっています。
為替市場ではユーロ売りの合図か・・・。はたまたブラフか・・。
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