放射性物質に汚染された牛肉が全国へ流通してしまった。都によると、南相馬市の農家は6頭を5〜6月に出荷。1頭は都内や横浜市などの計9業者に。さらに、北海道、東京、神奈川、静岡、愛知、徳島、高知各県の小売業者や飲食店に販売され、一部が消費された。ほかの2頭は東京都、大阪府の2業者に販売されたが、一般には出回っていない。
残る3頭は東京都、神奈川県、大阪府の3業者に販売され、その後の販売先は調査中。該当する牛肉が秋田、千葉両県にも流通した。このうち静岡市の飲食店と、東京都の卸売業者が保管していた牛肉から基準値を超えるセシウムが検出された。神奈川県藤沢市は、1頭の肉から国の暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)の6倍を超える同3240ベクレルを、高知市などは同市内で販売された牛肉から基準の5・4倍超の同2710ベクレルを検出したとそれぞれ発表した。
愛知県では、県内の焼き肉店1店にばら肉5・9キログラムが2日に搬入され、3・15キログラムが既に消費された。北海道では千歳市の飲食店で1頭分が消費。大阪府では流通した2頭中1頭が卸業者から別の業者に販売済みだった。四国では松山市に本社があるスーパーを通じて徳島、高知両県の店舗へ流通、完売したが愛媛県内では販売されていない。
セシウムを検出した11頭を7日に出荷した同農家は緊急時避難準備区域にある。昨秋に自分の水田で刈り取り屋外で保管したわらから、基準の約56倍の同7万5000ベクレルのセシウムを検出した。
問題を受け、横浜市は12日、市立小学校344校で15日まで提供する1学期の給食で牛肉の使用を控えると発表した。市立保育園96か所には、福島など7県の牛肉に限って8月以降、使用を自粛する方針。市内の民間保育所や幼稚園にも同様の対応を周知する。
細野豪志消費者・食品安全担当相は「大きな健康への影響が出るということではない」。厚労省などは出荷時の全頭検査など管理強化の方針を示したが「処理場では1日約400頭を処理しており、すべてを調べるのは無理」(都担当者)と難航は必至だ。
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