上下水道事業は、国民生活に不可欠なライフラインであるため、国や地方自治体が行なうケースが多い。しかし、自治体の財政面での制約などで、民間活力導入への期待も大きく、世界的に見れば欧州を中心に民営化が進んできた。そして世界の民営化された水道事業市場は、給水人口ベースで見ると1999年の3.5億人から2009年には8億人に拡大している。
世界の水ビジネス市場の主要企業を見ると、水メジャーと呼ばれるスエズ社(仏)、ヴェオリア社(仏)をはじめ、SAUR社(仏)、Agbar社(スペイン)、RWE社(独)、テムズ社(英)など、欧州系の総合水道事業会社が上位を占めている。特に、早くから水道事業が民営化した仏では、水メジャーが自国における水道事業の運営・管理を通じて、設備設計・調達・建設から事業運営・管理まで、一貫して受託するノウハウを蓄積したことが強みとされている。
ただし最近では、GE社(米)やシーメンス(独)などが事業を強化していることに加えて、ハイフラックス社(シンガポール)や斗山社(韓国)なども政府の支援を得て、中国、中東、北アフリカなどで受注攻勢を強めている。そして市場拡大とともに、技術面での差別化が困難になってきたことや、新興国の現地企業の台頭などもあり、欧州系水メジャーの世界シェアは2001年の73%をピークとして、2009年には34%に低下しているという。
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