「猫は死ぬ前に姿を消す」説の真相
猫はエジプト時代以前から人類のそばで暮らしてきた動物ですが、いまだに「謎」とされる部分が
死ぬ前に姿を消す」説について考えてみたいと思います。
■猫が姿を消す理由
過去に外出自由にして飼っていた猫が帰宅しなくなった、という経験をお持ちの方はいませんか?
□帰宅したくても、できなくなった
一番考えられるのは交通事故のような、何かの事故に巻き込まれて……というケース。外の猫の
死亡原因第一位が、交通事故です。
□本能の誘惑に負けた
去勢していないオスであれば、魅力的なメス猫のニオイに誘われてそのまま放浪の旅に出るという
ケースも考えられます。
□テリトリー争いに負けた
自分のテリトリーによその猫が流れてきてケンカになり、追い出されてしまい帰れなくなる、ということも
あります。性格にもよりますが、一度怖い経験をしたり、痛い目に遭うとその場所自体に不安感を持って
しまい、自分の家が見えているにもかかわらず、道路1本すらを渡ることができなくなってしまう猫もいます。
■猫は体調の悪さを隠そうとする動物
このようなケース以外では、猫が姿を消す前に何かしらの体調不安をみせていなかったでしょうか?
猫はぎりぎりまで自分の体調の悪さを上手に隠す、または気づかないふりができる動物。私の猫自身、
朝ご飯は完食、晩ご飯は少し残したけれども、たいしたことじゃないと思っていたら、夜中に急変したという
経験があります。この子は、膿胸(胸の中に膿がたまる)で、次の日の朝一番で診察を受けましたが、
診察中に亡くなってしまいました。
では本当に、猫は死ぬ姿を飼い主に見せないために姿を隠すのでしょうか?
■具合が悪くなったら、猫はどうする?
まず、猫に「死」という観念があるかどうか? 私はないと思っています。どんなにつらい境遇であっても、
死んで楽になりたいと自殺する猫、いませんよね。よって、死ぬという観念がなければ、死ぬ前に姿を消す
という方程式が成り立ちません。
具合が悪いと感じた猫は、どうするでしょうか? 弱肉強食の自然界では、身体が弱っている動物が
真っ先に狙われます。自然の本能が強く残っている猫は、ケガや病気で体力が落ちた状態で、他の動物の
攻撃対象にならないために、落ち着ける安全な場所に身を潜めます。
特に暗くて気温の低い場所に行く確率が高いです。…
そして、動かずに体力の回復を図る。そこで回復することができず、隠れ家でそのまま……。
室内で飼われている猫も、かなり体調が悪くなると、人目につかない静かで気温の低い場所に身を潜め
ようとします。寒いところに行きたがるのは、自分の体温を下げて身体を半冬眠状態にし、余分な体力を
使わないためです。
猫を外出自由にしている飼い主にとってみたら、猫が自分の死ぬ姿を見せないために、姿を消したと思う
かもしれません。でも、実際は猫は生きるために姿を隠すのです。
もし、同居中の猫がひと目のつかないような場所に身を潜めるようになったら。何かしら潜在的な病が
進行中かもしれませんので、早急に診察を受けることをお勧めします。
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