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2024年11月02日
あなたの仕様書見せてください(基地防空用地対空誘導弾(改)及び新近距離地対空誘導弾(その1))
■基地防空用地対空誘導弾(改)及び新近距離地対空誘導弾(その1)の仕様書が大火力リークスで公開された
■MANPADSベースでLOALが出来るのはゲームチェンジャーに成りえる
■有人攻撃ヘリはこれで完全に終わった
https://www.mod.go.jp/j/press/news/2021/12/24b.pdf
大火力リークス 基地防空用地対空誘導弾(改)及び新近距離地対空誘導弾(その1)
https://drive.google.com/file/d/1MPEOrv0084n_-fyeb5Tx--pZ3LpZ17wj/view?usp=sharing
実は「あなたの仕様書見せてください」シリーズはこれを取り上げたかったら始めたようなものです。管理人の意見として、このミサイルは非常に画期的であり、もっと注目されて然るべきものだとと思います。
基地防空用地対空誘導弾(改)及び新近距離地対空誘導弾につきましては、防衛省から開発計画がパブリックリリースされてますので、こちらの文言を引用してみます。
令和3年度(最終公表)レビューシート 基地防空用地対空誘導弾(改)及び新近距離地対空誘導弾
https://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/rev_suishin/r02/pdf/03-0008.pdf
つまり、航空事業部の基地防空用ミサイルと地べた事業部の近SAMを統合して対CM能力を持たせることになります。従来、基地防空用ミサイルは短SAMベースのものですから、MANPADSベースのものとなりダウンサイジング化を諮ると共に数が出ることでコストダウンも意図しているのでしょう。
このミサイルの一番のトピックは 低高度で飛来する巡航ミサイルへの対処能力 を持つことでしょう。つまり、MANPADSベースのミサイルに見通し線外射撃能力を持たせるという極めて意欲的なものです。見通し線外射撃能力を持つということは、このミサイルはLOAL(Lock-On After Launch 発射後ロックオン 分かり易く言うと空中ロックオン)が出来るということです。元々、歩兵が担ぐような超小型のミサイルであるMANPADSにこのような能力を持たせることは凄く画期的と言えます。
では、LOALというか見通し線外射撃能力、低高度で飛来する巡航ミサイルへの対処能力を得るためには何が必要かですが、
?@低高度で飛しょうする目標を複雑な地表のノイズから判別して誘導出来るシーカー
?A独力で航法を行える装置(INS、IRS等)
?B目標位置のアップデートを外部から受信して更新する装置(指令受信装置等)
以上を頭に入れながら、この仕様書を拝見することといたしましょう。この仕様書ではミサイルの開発部分は誘導制御部のみとなっています。つまり、従来の91式携行SAMの誘導制御部のみを換装するかたちになっています。ASM-2やAAM-5の誘導制御部を換えてASM-2BやAAM-5Bにするのと同様な手法ですね。
?@については黒塗りだらけで、全く内容を伺えないので先ほどのレビューシートから見てみます。
ミサイルが超低高度で飛しょうする目標を狙う際は、上から下を見下ろすかたちになります。そうなると背景が地表になることから、非常に複雑な背景の中から低シグネチャの目標を識別して追跡する必要があるため、高度な目標類別機能が求められることになります。それをMANPADSベースの小さな筐体に収めるのは技術的に高度なものを求められるでしょう。
以下はAIM-9Xで低高度をフレアを撒きながら飛行するQF-4への実射映像
?Aですが、仕様書の表3-1 構成及び数量に IMU という文言が確認できます。ではIMUというのは何なのか。こちらのページを引用させていただきます。
IMU(Inertial Measurement Unit)は最近の車やオートバイにも使われているので、お聞きになった方も多いかもしれません。基本はジャイロスコープと加速度センサーを組み合わせたものです。これにより姿勢・方位を得ます。INSのように高度な自律航法をもたらすものではありませんが、ミサイルの初期誘導には充分なものでしょう。
?Bですが、同じく仕様書の表3-1 構成及び数量に コマンドアップリンク受信機 と コマンドアップリンク受信アンテナ が確認できます。即ち、このミサイルはMANPADSベースにも関わらず、UTDC(Up To Date Command)機能を有することになります。
ではこの基地防空用地対空誘導弾(改)及び新近距離地対空誘導弾は現在の戦場にどんな影響をもたらすか考えてみます。
まず、基地防の対CMの対処能力が向上することです。航空事業部は前世紀からCMを大変脅威と認識し、その対応を行ってきました。運用上の不利を承知でAIM-120ではなくAAM-4を採用したのもそのためです。このミサイルは従来の基地防SAMより安価で機動性も高いでしょうから、数を揃えることが出来て同時多数攻撃のような従来の構成では対応が難しかった事態へも対応出来ることになります。
さらに、このミサイルによって武装ヘリはもはや完全にトドメを刺されたと言えるでしょう。管理人は地べた事業部がAHを捨てる決断に至ったのは11式短距離地対空誘導弾の導入が大きかったと考えています。この優秀な眼を持つミサイルに狙われると、稜線からチラッと出たらもはやアウトです。それに匹敵するミサイルが大量に配備されれば、もはや攻撃ヘリは生き残れないでしょう。
11式短距離地対空誘導弾(発射) 陸上自衛隊
画像引用元: 衛省ホームページ https://www.flickr.com/photos/90465288@N07/39227773454/in/album-72157632230016328/
一つ期待したいのが、このミサイルのさらなる派生型が生まれることです。例えば、フランスのミストラルのように艦船へ導入したり、UAVのような無人航空機へ導入したら如何でしょうか。
■MANPADSベースでLOALが出来るのはゲームチェンジャーに成りえる
■有人攻撃ヘリはこれで完全に終わった
https://www.mod.go.jp/j/press/news/2021/12/24b.pdf
大火力リークス 基地防空用地対空誘導弾(改)及び新近距離地対空誘導弾(その1)
https://drive.google.com/file/d/1MPEOrv0084n_-fyeb5Tx--pZ3LpZ17wj/view?usp=sharing
実は「あなたの仕様書見せてください」シリーズはこれを取り上げたかったら始めたようなものです。管理人の意見として、このミサイルは非常に画期的であり、もっと注目されて然るべきものだとと思います。
基地防空用地対空誘導弾(改)及び新近距離地対空誘導弾につきましては、防衛省から開発計画がパブリックリリースされてますので、こちらの文言を引用してみます。
令和3年度(最終公表)レビューシート 基地防空用地対空誘導弾(改)及び新近距離地対空誘導弾
https://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/rev_suishin/r02/pdf/03-0008.pdf
敵の巡航ミサイルによる我が国への同時多数攻撃に有効に対処するため、既存の基地防空用地対空誘導弾の改善型として基地防空用地対空誘導弾(改)を開発する。また、島嶼等防衛における各種経空脅威を撃墜するとともに、本土における重要防護施設に飛来する各種経空脅威を撃墜し、自ら機動性を発揮して部隊等に直接対空火網を構成して部隊等の安全を確保するため、93式近距離地対空誘導弾の後継として、低高度で飛来する巡航ミサイルへの対処能力を持った新近距離地対空誘導弾を開発する。
引用元: 基地防空用地対空誘導弾(改)及び新近距離地対空誘導弾
つまり、航空事業部の基地防空用ミサイルと地べた事業部の近SAMを統合して対CM能力を持たせることになります。従来、基地防空用ミサイルは短SAMベースのものですから、MANPADSベースのものとなりダウンサイジング化を諮ると共に数が出ることでコストダウンも意図しているのでしょう。
このミサイルの一番のトピックは 低高度で飛来する巡航ミサイルへの対処能力 を持つことでしょう。つまり、MANPADSベースのミサイルに見通し線外射撃能力を持たせるという極めて意欲的なものです。見通し線外射撃能力を持つということは、このミサイルはLOAL(Lock-On After Launch 発射後ロックオン 分かり易く言うと空中ロックオン)が出来るということです。元々、歩兵が担ぐような超小型のミサイルであるMANPADSにこのような能力を持たせることは凄く画期的と言えます。
では、LOALというか見通し線外射撃能力、低高度で飛来する巡航ミサイルへの対処能力を得るためには何が必要かですが、
?@低高度で飛しょうする目標を複雑な地表のノイズから判別して誘導出来るシーカー
?A独力で航法を行える装置(INS、IRS等)
?B目標位置のアップデートを外部から受信して更新する装置(指令受信装置等)
以上を頭に入れながら、この仕様書を拝見することといたしましょう。この仕様書ではミサイルの開発部分は誘導制御部のみとなっています。つまり、従来の91式携行SAMの誘導制御部のみを換装するかたちになっています。ASM-2やAAM-5の誘導制御部を換えてASM-2BやAAM-5Bにするのと同様な手法ですね。
?@については黒塗りだらけで、全く内容を伺えないので先ほどのレビューシートから見てみます。
小型・低熱源目標抽出技術
誘導弾及び目標の双方が動的な環境下において、複雑背景下から小型・低熱源目標をシーカで抽出するための画像処理技術の確立
引用元: 令和3年度(最終公開レビューシート
ミサイルが超低高度で飛しょうする目標を狙う際は、上から下を見下ろすかたちになります。そうなると背景が地表になることから、非常に複雑な背景の中から低シグネチャの目標を識別して追跡する必要があるため、高度な目標類別機能が求められることになります。それをMANPADSベースの小さな筐体に収めるのは技術的に高度なものを求められるでしょう。
以下はAIM-9Xで低高度をフレアを撒きながら飛行するQF-4への実射映像
?Aですが、仕様書の表3-1 構成及び数量に IMU という文言が確認できます。ではIMUというのは何なのか。こちらのページを引用させていただきます。
慣性計測ユニット(IMU)とは?
IMUとは慣性計測ユニット加速度、方位、角速度、その他の重力を測定し、報告する電子機器である。3つの加速度計、3つのジャイロスコープ、そして方位の要件によっては3つの磁力計で構成される。車両の3つの軸(ロール、ピッチ、ヨー)それぞれについて、1軸につき1つ。
引用元: SBG Systems https://www.sbg-systems.com/ja/inertial-measurement-unit-imu-sensor/
IMU(Inertial Measurement Unit)は最近の車やオートバイにも使われているので、お聞きになった方も多いかもしれません。基本はジャイロスコープと加速度センサーを組み合わせたものです。これにより姿勢・方位を得ます。INSのように高度な自律航法をもたらすものではありませんが、ミサイルの初期誘導には充分なものでしょう。
?Bですが、同じく仕様書の表3-1 構成及び数量に コマンドアップリンク受信機 と コマンドアップリンク受信アンテナ が確認できます。即ち、このミサイルはMANPADSベースにも関わらず、UTDC(Up To Date Command)機能を有することになります。
ではこの基地防空用地対空誘導弾(改)及び新近距離地対空誘導弾は現在の戦場にどんな影響をもたらすか考えてみます。
まず、基地防の対CMの対処能力が向上することです。航空事業部は前世紀からCMを大変脅威と認識し、その対応を行ってきました。運用上の不利を承知でAIM-120ではなくAAM-4を採用したのもそのためです。このミサイルは従来の基地防SAMより安価で機動性も高いでしょうから、数を揃えることが出来て同時多数攻撃のような従来の構成では対応が難しかった事態へも対応出来ることになります。
さらに、このミサイルによって武装ヘリはもはや完全にトドメを刺されたと言えるでしょう。管理人は地べた事業部がAHを捨てる決断に至ったのは11式短距離地対空誘導弾の導入が大きかったと考えています。この優秀な眼を持つミサイルに狙われると、稜線からチラッと出たらもはやアウトです。それに匹敵するミサイルが大量に配備されれば、もはや攻撃ヘリは生き残れないでしょう。
11式短距離地対空誘導弾(発射) 陸上自衛隊
画像引用元: 衛省ホームページ https://www.flickr.com/photos/90465288@N07/39227773454/in/album-72157632230016328/
一つ期待したいのが、このミサイルのさらなる派生型が生まれることです。例えば、フランスのミストラルのように艦船へ導入したり、UAVのような無人航空機へ導入したら如何でしょうか。
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