脳の進化と成長
『神経回路の変化』
子どもの脳では、神経伝達物質の種類が変化する
これは指を動かすための神経細胞のネットワーク(神経回路)が必要以上に広くつながりあっているため。
成長とともに不要な回路がなくなって必要な回線だけが残り 、細かい指の動きができるようになる。
成長中の脳では、神経細胞のつながり方だけではなく、神経細胞自体の性質もたくみに変化する。
具体的には二つの変化が起きる。
一つは、神経伝達物質に対する反応変化だ。ある神経細胞は、 神経伝達物質 として 『GABA(γアミノ酪酸)』 という物質を放出する。
GABA を受け取った別の神経細胞は、最初のころは電気信号が発生する反応( 『興奮』 )を示す。
ところが、 成長とともに、電気信号の発生がおさえられる反応(『抑制』) を示すようになる。
成長とともに正反対の反応 になる。
この変化が起こることで、 神経細胞に余計な興奮がおきなくなり、必要以上に情報が広がるのを防げる ようになる。
もう一つの変化は、 成長にともなって、使用する神経伝達物質が変わる のだ。
生理学研究所 鍋倉淳一教授らは、マウスの聴覚に関わる神経細胞で、成長とともに神経伝達物質が 『GABA』から『グリシン』へと切り替わる 現象を発見した。 グリシンはGABAより反応時間が短い神経伝達物質 だ。「反応時間が短いグリシンを使うことで、ネットワークが活動するタイミングの精度が上がると考えられる(鍋倉教授)」。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
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