最終的には、心の働きの脳内メカニス?ムについて述べていきます。
記憶力
記憶の想起
記憶をどうやって思い出しているのだろうか?
記憶を蓄えられているニューロンの回路に何らかのきっかけによって信号が入れば、記憶を作ったときの信号の流れが再現され、結果的に記憶を思い出すと言われている。
しかし脳はどのようにして目的の回路を探し出し、思い出すための信号を送り込んでいるのだろう?
出来事の記憶である エピソード記憶
の中には、 海馬
から 大脳皮質
に移された後で、 海馬を通じて思い出される
ものもあると考えられている。
そのような記憶について、山口センター長は「記憶を思い出すときに 手がかりとなる回路
が海馬に残されており、その手がかりに基づいて 大脳皮質から記憶の”部品”
が拾い集められ、それらがもう一度海馬に流れ込むことによって 出来事が再現
される(思い出される)のではないか」と言う仮説を考えている。
例えば、生まれた自分の子供を初めて抱いたときの記憶はどのようにして思い出されるのだろうか?
仮説に従ってみよう。
「赤ちゃんを初めて抱いた記憶」は、「赤ちゃん」という要素、「分娩室」という要素などから成り立っている。
さらに「赤ちゃん」は、「泣き顔(視覚情報ー後頭葉)」、「泣き声(聴覚情報ー側頭葉)」、「皮膚の感触(触覚情報ー頭頂葉)」
また、「分娩室」は、「分娩室の風景(視覚情報ー後頭葉)」、「分娩室のにおい(嗅覚情報ー前頭葉)」といった要素から成り立っている。
このような記憶は階層的な構造となっている。
海馬はこの階層構造の頂点に位置する。
大脳皮質は最下層に位置し、「泣き顔」や「泣き声」といった五感と直接の深い要素が蓄えられていると考えられている。
出来事の記憶を思い出すときには、海馬に残された”手がかり”の回路から海馬傍回、さらに大脳皮質へと信号が降りていく。
そして大脳皮質から「泣き顔」などの”部品”が集められ、海馬傍回で「赤ちゃん」などの概念になり、最終的には海馬まで届けられて『赤ちゃんを抱いた記憶』が再現されるという考えだ。
このような考えは、想起の仕組みを単純に理解するための仮説である。
「記憶のそうきの脳活動は調べられていますが、仕組みはまだよくわかっていません。明らかにすべきことがまだたくさんあります」(山口センター長)
海馬を通さず、同じ階層どうしの信号のやり取りもありうると考えられており、エピソード記憶の中にも、思い出すときに海馬を必要としないものもあると考えられている。
また、知識の記憶(意味記憶)を思い出すときは海馬は必要ないと考えられている。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
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2019年03月07日
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