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2022年08月26日

私だけの特捜最前線→35「判事, ラブホテル密会事件!〜桜井刑事と2人の兄との対立と絆」

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※このコラムはネタバレがあります

桜井刑事(藤岡弘、)には兄が二人います。長男(福田豊土)は裁判所の判事、二男(岸田森)は弁護士、三男の桜井も若くして警部に昇進しており、典型的なエリート一家といえます。

判事の長男が、被告人女性とホテルで密会していたというスキャンダルが発覚。事件の裏に、長男が厳しい判決を出し続けてきた暴力団の存在があると睨んだ桜井は、長男の記者会見場に単身乗り込みます。

長男に真相を言うよう厳しい口調で迫る桜井。そこに待ち受けていたのは、長男の弁護を自ら引き受けた二男の弁護士でした。二男は「その必要はない」と立ちはだかり、桜井と激しく対立するのです。

このあとのストーリーは省略しますが、何と言ってもドラマ最大の見どころは、 桜井3兄弟の絆でしょう。対立する二男と桜井ですが、二人に共通するのは「長男を助けたい」という思いであることに違いありません。

配役も絶妙で、依頼人のためには手段を選ばず、からめ手からでも攻めてくる冷徹な弁護士(二男)を 岸田森さんが見事に演じています。真っ向勝負を挑み、熱い男である桜井刑事との対比が実に素晴らしいです。

長男の判事は、温厚でありながら一本筋の通った人物として描かれ、二男や桜井を温かい目で見守る懐の深さを 福田豊土さんの名演技が支えています。まさに3人の名優あってこそのドラマだと言えます。

特捜最前線最終盤には、桜井刑事と父親の弁護士との対決という話が作られますが、岸田さんが亡くなっていたため、二男は登場しません。岸田さんがドラマに絡んでいたらと思うと残念でなりません。

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私だけの特捜最前線→34「銃弾・神代課長撃たれる!〜渡辺裕之さんが若手刑事役として大活躍」

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※このコラムにはネタバレがあります

特捜最前線は、レギュラー刑事役の俳優が不在となった時にピンチヒッターでセミレギュラーが登場することがあります。先日お亡くなりになった 渡辺裕之さんも、大滝秀治氏の不在時に出演していました。

渡辺さん扮する的場刑事初登場のドラマが「銃弾・神代課長撃たれる!」です。所轄署の的場は張り込みの最中、神代課長(二谷英明)が狙撃されるのを偶然目撃したところから始まります。

神代は、日米政府高官がからむ疑獄事件の証拠書類を入手する目的で現場を訪れていました。特命課は、書類を持っている人物を保護するために、 臨時要員として加わった的場と共に捜査に乗り出します。

やがて、人物から書類を渡す場所を指定され、そこに友人が来るから書類を受け取るよう指示。しかし、暗殺者によって人物は殺され、場所も知られてしまいました。このままでは友人の命も書類も危うくなります。

指定場所には的場が待機し、そこに友人が現れます。と同時に、爆弾を仕込んだバイクで暗殺者が乗りつけるのです。的場はとっさにバイクを奪い、人気のないところまで走り、バイクが爆発する寸前で乗り捨てました。

渡辺さんのバイクシーンは、このドラマのクライマックスとなり、アクションスターらしい体を張った演技は見ごたえ十分。また、脚本は長坂秀佳氏が手掛け、スリリングで手に汗握るドラマに仕上がっています。

若さあふれる的場刑事こと渡辺裕之さんは、短期間の出演でしたが、特捜最前線に新風を吹き込んでくれました。改めまして、渡辺さんのご冥福をお祈りいたしたいと思います。

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私だけの特捜最前線→33「プラットホーム転落死事件!〜善意から犯罪に至った青年に対する紅林の苦悩」

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※このコラムはネタバレがあります

ある重大犯罪の捜査中、容疑者のアリバイを裏付けるため、一人の青年に聞き込みをする 紅林刑事(横光克彦)。青年の証言が嘘だったと分かりましたが、なぜ嘘をつかなければならなかったのかと疑問に思ったのです。

その日、駅のホームで悪質な痴漢にからまれた女性を助けようとした男が、誤って痴漢を転落させ、痴漢は列車にはねられて死亡するという事件が起きていました。紅林は青年がその男ではないかと疑うのです。

運送会社で働く青年は、誰に聞いても真面目で誠実、一生懸命働くので社長の信頼も厚いという人物。青年について調べる紅林は、関係者から厳しい言葉を投げかけられ、自分の捜査に対して 自問自答を繰り返します。

刑事の立場とすれば、未解決の過失致死事件の容疑者を突き止めようとするのは当然です。一方で心のどこかに「情状の余地が十分ある事件なので、見逃してもいいのでは」という引っ掛かりがありました。

容疑が濃くなってきた青年を逮捕すべきかどうかの葛藤に苦しみ、無精ひげを生やし、焦燥とした顔つきで、特命課の仲間たちからも心配される紅林。そこに助け舟を出したのが神代課長(二谷英明)だったのです。

神代は、同じような犯罪の容疑をかけた男を逮捕できなかったことで、男が自殺に追い込まれてしまったという過去を告白。 「青年も同じように悩んでいるはずだ」と、紅林を励ましました。

紅林が出した結論は青年に自首させること。青年と相対した紅林は、自分の思いを真正面からぶつけます。犯した罪に苦しんでいた青年は、自らの心を解き放つかのように事件の容疑者であることを認めたのでした。

特捜最前線の中でも、刑事の苦悩をここまで描いたドラマは珍しく、紅林役の横光さんの迫真の演技もあって印象深い作品に仕上がっています。 人間ドラマの真骨頂とも言える名作の一つです。

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私だけの特捜最前線→32「雪国から来た逃亡者!〜事件の真相を通して人の心を描いた名作」

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※このコラムはネタバレがあります。

この回の主役は 叶刑事(夏夕介)。行きつけのラーメン店従業員が、子供を守ろうとして暴走バイクにはねられ即死。彼の家族に連絡しようと、履歴書を確認したらでたらめで、本当の身元は分からない・・・。

捜査の結果、彼が東北地方出身で、しかも出身地で起きた殺人と誘拐事件の容疑者だったことが判明。叶は現地へ飛び、彼の母親や、退職後も彼を追っていた元刑事の男性と出会うことになる、というストーリーです。

ドラマの見どころは 母親と元刑事の心情です。母親は、容疑者となってしまった息子を憎み、蒸発した息子を「死んだ」と割り切って位牌まで作っていました。叶から消息を聞かされても、無表情のままです。

元刑事は、従業員の男を逮捕するため、退職後も全国各地を飛び歩く執念の捜査を続けますが、ついに私財を使い果たしてしまいます。元刑事の娘は、そんな父親の姿を心配そうに見つめているのです。

やがて事件は、特命課の手によって真実が突き止められ、従業員の男は殺人も誘拐も起こしていなかったと分かります。元刑事は悔しがりますが、娘からは後日、父親がこの事件からようやく解放されたと感謝されます。

叶は母親にも事件の真実を知らせます。その時は冷淡に応対していた母親でしたが、叶の車を見送りながら、膝を崩して 「ありがとう」と涙しました。最後の最後に、息子を信じていた母親の本心が明かされたのです。

ドラマとしては、元刑事と娘だけ、あるいは母親だけにスポットを置いても、十分見ごたえのあるストーリーが作れたでしょう。しかし、元刑事と母親の両方の心情を描いたことで、さらに深みが増していったのです。

ここでは紹介しませんが、事件にかかわる他の登場人物の心情にも触れていますし、捜査する叶刑事の思いも丁寧に描かれており、特捜最前線の中でも 名作の一つに数えられるドラマに仕上がったのだと思います。

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私だけの特捜最前線→31「乙種蹄状指紋の謎!〜なぜ、おやっさんは特命課に復帰したのか?」

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※このコラムはネタバレがあります。

おやっさんこと船村刑事(大滝秀治)が特命課に復帰して間もなく、連続強盗事件が発生しました。事件の遺留品だった手提げ金庫から一つの指紋が見つかり、それがこの回のタイトルになっています。

指紋は、おやっさんが以前、窃盗犯で逮捕したことがある男のものと判明。しかし男は出所後、セールスマンとして真面目に働いており、おやっさんは「男が犯人ではない」と潔白を信じ、証明するため奔走します。

このドラマでは、若手刑事(紅林、吉野、叶)と、おやっさんが対立するシーンが見どころです。指紋という決定的な証拠があるとして、男を疑う刑事たちにすれば、おやっさんの行動は不可解に見えたのでしょう。

捜査の方向性を巡って、若手刑事たちとおやっさんは激論を戦わせます。おやっさんの意固地とも思えるような脱線ぶりを、何とか諫めようとする刑事たち。それに対し、おやっさんは彼らにこう言います。

「能力において頭脳において、議論でも腕力でも君らには負けるだろう。だが、 心では私は決して負けない」。さらに「私はバカかもしれん。だが、私はそのバカになるために特命課に戻って来た」と続けます。

犯人ではないと信じた男の無実を証明するため、指紋という証拠を覆すという困難な捜査に立ち向かうおやっさん。自らを「バカ」と言いつつも、 信念をとことん貫き通すという姿勢を彼らに見せつけたのです。

ドラマの終盤は、指紋の謎解きに向かってスピーディーな展開となり、ついに男の無実が証明されるのです。詳しいストーリーは書きませんので、機会があればDVD等でぜひご覧いただきたいと思います。

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マイケルオズ@フリーランスライター
「特捜最前線」がマイブームになっているオヤジです。リアルタイムの頃は津上刑事より若かったのに、今はおやっさんよりも年長者になりました(苦笑)
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