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2016年09月13日
★バーベキューの後、突然、人生が途切れたむつ市川内町の青年に対する僕なりの弔い方
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◆【ドドドドドン!MEMO】 ◆バーベキューの後、突然、人生が途切れた青年
★〈画像〉=9月2日午後11時半ころ、むつ市川内町休所の国道338号で、10代〜20代の男女5人が乗った軽トラックが電柱に衝突。
軽トラックの荷台に乗っていたむつ市に住む会社員Nさん(19)と、高校生のKさん(18)が頭を強く打つなどして死亡。
◆ダニーとめんどりは、ぴょんぴょんかけていきました
★昨日、書棚の改装中に資料束と資料束の間に挟まった『おかあさんだいすき』が見つかった。
20歳の僕は、この本をヒントに約100枚くらいの中編小説〈註〉を書いた。
次の引用箇所が、『おかあさんだいすき』が登場する場面だ。
《「あるところに、ダニーという男の子がいました。きょうはお母さんのたんじょう日です。そこでダニーはかんがえました。『おたんじょう日のおいわいに、なにをお母さんにあげたらいいかなあ』……」
父親が童話の本を開いて読んでいる。
抑揚のない声だ。
その父親の膝の上に、ちょこんと座っている女の子のオカッパ頭が頁の上を動いていく。
「ダニーは、お母さんにあげるものを見つけに出かけました。すると、めんどりにあいました。『おはよう、めんどりさん』とダニーはいいました。『お母さんのたんじょう日に、なにかあげるものないかしら?』……」
こんどは女の子が読む番だ。
「『コッ、コッ、コッ』とめんどりはいいました」
『コッ、コッ、コッ』といいながら、女の子はくちびるを突きだして、いった。
「それじゃ、わたしが生みたてのたまごをひとつあげましょう」
女の子が頁をめくった。
うしろから女の子の顔をのぞくようにして父親がいった。
「でも、たまごなら、もうあるの」
「それじゃ、いっしょに、なにかさがしに行きましょう」
と女の子がいった。
そこで
ダニーと
めんどりは
ぴょん
ぴょん
かけて
いきました。……
二人が、かわりばんこに読んでいるのは、『熊さんにお聞き』という童話の本だ。》(小説抜粋箇所、以上)
◆僕の人生が途切れている
★この作品を書いたときから、指を折っても数えきれないほどの、茫漠とした年月が流れた。
友人たちからは「ホームドラマなんか書いたりして……」とからかわれ、某文芸雑誌では「小器用な物マネ」と酷評された。
20歳の僕は、いったい、この作品でなにが書きたかったのか?
「バーベキュー」の後で、突然、人生が途切れた19歳と18歳の青年と同じように、僕の人生もここで途切れている。
★〈註〉中編小説=小説の題名は「熊さんにお聞き——ラスト・ポーズ・ナンバー9」。
「父親」と呼ばれている男の、その存在の仕方の象徴としての「ポーズ」を9つ連ねて(もちろん、女の子を膝にのせてかわりばんこに童話を読む……というのも1つのポーズ……)、9つ目のポーズをとったとき、ちょっとしたトラブルから別原理の世界に身をなげうつハメになる、その寸前、ぎりぎりのところで反転、こちら側の世界に踏みとどまる……というストーリーだった。
反転に成功した「父親」が今の僕だ……と考えると、僕の人生も一応、筋が通る。
しかし、実際には、「反転」は不完全で、反転した「父親」と、反転しきれなかった「父親」とに分離したのではないか?
バーベキューの後、突然、人生が途切れた青年を悼みつつ、反転しきれなかった「父親」を思う。
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