世の中には、艦船の装備について後から出てきた兵器を載せればもっと最強になるんじゃね?なんて発想がよく出てきます。
図1 ミサイル発射
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/yokosuka/about/img/engan2.jpg
しかしながら、実際には想定していない装備を後乗せすると船の設計的にはえらいことになります。
メタセンタがぁ〜!メタセンタがぁ〜!メタセンタがぁ〜!
おのれ、装備の後乗せ思想滅ぶべし(笑)!
(前回記事):『 【世界情勢】ロシアやべーな!トランスニストリア侵攻もあるかな? 』
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(1)三菱F-2様のツイートを見て思わず・・・
いつもコメントを寄せていただいている、三菱F-2様のとあるツイートを見てふと考えました。
どれくらいの現実性があったのか、思考実験で考えてみました。
1.1 はやぶさ型ミサイル艇に対空ミサイルを載せるとしたら?
2022年1月のツイートで興味深いものを発見しました。
図2 三菱F-2様のツイート
引用URL:https://twitter.com/heisei0fighter/status/1485863690125471745
一か月遅れのツイートのネタに全力で今更乗っかってみます。
『これ以上はやぶさ型に重量物を載せないで〜!』
『はやぶさ型の復元力はもうゼロよ〜!』
『これ以上メタセンターを上げないで〜』
ホントにこれ以上載せると、はやぶさ型ミサイル艇が転覆してしまいます。
1.2 まあCDSが対空ミサイル機能カットされているからなあ〜
まあはやぶさ型ミサイル艇については、戦闘指揮システムCDSがOYQ-8B/8Cとなっていて最初から対空ミサイル能力搭載を考慮していない設計にはなってます。
元々、魚雷艇の進化型という発想ですので対空ミサイルまでは当時の運用要求に求められなかったという部分があります。
もし対空ミサイル搭載前提だったら、もっと設計が変わっていたでしょう。
1.3 本当に搭載するとしたらどうする?
装備後乗せでパワーアップもロマンですが、船の設計における重心や浮力の変化についてあまり顧みられないという現象があります。
しかし、本当に増加要求として装備することを要求されたらどうするか?という風に考えるのも面白いでしょう。
ちょこっと思考実験をしてみましょう!
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(2)はやぶさ型ミサイル艇にどのように対空ミサイル載せる?
どのようにしたら、はやぶさ型ミサイル艇に対空ミサイルを搭載して戦闘力を発揮できるか考えてみましょう。
図3 はやぶさ型ミサイル艇
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/pg/hayabusa/#824-2
この際、かかる費用は無視してみましょう。
2.1 CDSは全部総入れ替えになるな!
番号だけ見たら、あさぎり型のOYQ-7より進化しているように見えるかもしれません。
実際のところは、むらさめ型護衛艦(03DD)と同時期に「1号型ミサイル艇(03PG)」の計画が行われ、03PGの方が早く就役したのでOYQ-8として命名されました。
図4 1号型ミサイル艇
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/oominato/gallery/ships/pg3/img/pg3-4.jpg
最初から水上戦用の能力のみを考慮したCDSとして設計されいています。
そのため、たかつき型護衛艦のように大規模改修にてCDSをOYQ-7かOYQ-9に換装してしまう必要があります。
CDSの換装にて、ようやく対空ミサイル発射のシステムを用意することができます。
2.2 ミサイル発射機はVLSではキツイ!
はやぶさ型ミサイル艇については、できるだけ重量が軽くてコンパクトなミサイル発射機が必要となります。
実のところ、MK48mod3であれば約8トンまで小型軽量化できるところがあります。
(OTOメララ76mm砲だと総重量12トン:砲塔と下部の弾薬倉込みの重量)
図5 mk48mod3
引用URL:http://www.mdc.idv.tw/mdc/navy/usanavy/mk48-mod3.jpg
しかし問題は、MK48mod3でも甲板上に出ているものが全てではなく、甲板下に1層分制御装置などを入れるスペースが必要になります。
実質約5mの高さになるものを、はやぶさ型船体中央部に埋め込むのは難問といえます。
(機関室や乗員用スペースがつぶされるため)
そのため、あさぎり型まで使用していたMK29(GMLS−3)発射機が最適でしょう。
図6 MK29(GMLS−3)
引用wiki
重量6~7トンで高さが最大でも約3m程度に収まります。
こいつを使ってどのように装備してみましょうか?
2.3 無理やり搭載するならこうする!
もしも無理やりにでも、はやぶさ型ミサイル艇に対空ミサイルを搭載するとしたらこんな感じになるかもしれません。
図7 はやぶさ型改造案
・・・かなり無理やりですが作ってみました。
?@対空ミサイルはMK29ミサイル発射機を艦首に設置する。
?A76mm砲は、船体中央部に上部構造物を新設して背負い式にする。
?B複合作業艇は、上部構造物に格納する。
どう考えても、重心とメタセンタが上がってしまう設計になります。
オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲートみたいな感じになってしまいます。
図8 オリバー・H・ペリー級
引用wiki
しかしながら、主砲を艦首に乗せなければいけないという規則はないので重量バランスから中央部に艦砲を持ってきた方がいいでしょう!
(射撃の人に怒られそう・・・)
やはり装備の後乗せは、いろいろなところに影響を与えます。
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(3)やはり新設計のFFMの方がいいかも・・・
色々と思考実験として、はやぶさ型に対空ミサイルを搭載してみるという考えをやってみました。
結論としては、 新規に設計した艦に換装するのが一番!です。
3.1 やっぱり哨戒艦に76mm砲搭載しようぜ!
新規設計にて、はやぶさ型ミサイル艇の代替えとしても使えるものとして哨戒艦が使えるでしょう。
本ブログでは、哨戒艦に76mm砲を!と主張してきました。
(関連記事)『【 海自】哨戒艦(OPV)の主砲にはOTOメララが最適だ! 』
可能であれば、対空ミサイルの搭載を最初から考えた設計にて行ってほしいものです。
小型艦船でも、設計次第では対空ミサイルは搭載できますよ〜!
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昨今のトマホーク取得と装について色々すぐにできるかのような報道がされるのは、なかなか実情が知られていないからでしょう。
イージスにトマホークを装備するには、VLSに入れたらすぐに発射できるわけでなく周辺システムも搭載して、根本のイージスシステムプログラムも変更する必要があります。
(日本向けイージス艦は、最初からトマホーク発射関連のプログラムが搭載されていないため)
発射統制も米側がコントロールするため、あんまりよくない気がします。
対艦型トマホークを要求してた2004ごろに導入できていれば、こんなことにならなかったでしょう。
イージスの場合は、SM-2とSM-3・VLA搭載でいっぱいとなっているので余裕がなくて、ESSMのクアドパックもなかなか厳しいでしょう。
(そもその弾薬整備補給所の整備能力と弾薬庫の増設が進まないと・・・)
某国の場合も、ほんとにどうやってバランスを取っているのか不思議な搭載をしていることがあります。
船底にバラストを入れているとは思いますが、もしかすると荒天航行に制限をかけているかもしれませんね。
哨戒艦については、あまり多くの装備は搭載しないかと思います。
ひうち型多用途支援艦のように大型クレーン搭載するでしょう。
しかし掃海業務や海賊対処は「もがみ型護衛艦」が対応する範囲となります。
日帰り〜数日の航海でおさまるように、乗員に優しい艦艇という感じが「哨戒艦」のコンセプトとなります。
1号型ミサイル艇の近接SAM搭載計画は、計画が持ち上がった当時の時代背景にあります。
当時はソ連の北海道侵攻を阻止する考えが最初にありました。
魚雷艇の老朽化と対艦ミサイルの進化によりミサイル艇が経過うされましたが、「大挙して襲い掛かるソ連空軍機」にどれだけの効果がある?てな感じで、とりあえず後日装備としておこうという部分がありました。
部内研究開発が進んでいた「91式携SAM」「93式近SAM」の開発が成功したら搭載を考慮しようという程度です。
しかし、就役した1号型ミサイル艇の運用上の問題(水中翼未使用時の航行不安定・冬の日本海での船の動揺の激しさ)から、就役早々に運用計画が吹っ飛んでしまったところがあります。
(ミサイル艇艇長をしていた教官も、増加搭載は無理だったな!と感想を言っていました。)
1980年代から2000年までの「何でもミサイル搭載時代」は、結果として冬の日本海に耐えられるかどうかで淘汰されたといえます。
はやぶさには無理ですが、次期哨戒艦には76mm砲と12.7mmRWSと共に、お古でいいので高性能20mm機関砲も追加で搭載して欲しいです。
これがあれば、掃海業務(機雷処理)ができ、小型高速の不審船対策もでき、万が一のCIWSにもなり、人手もいらないので。
1,900tなら搭載できますよね?
あと、リバー級みたいなクレーンもあったらいいな。
地方隊の隻数に余裕ができたら、ジブチの海賊対策にはこれ十分だと思います。イタリアみたいな入れ子ハンガーがあれば、ヘリも搭載できそうですしね。
勝手な願望ですが。
しかしそれでも、CDSの機能面の問題は避けられませんね。
『海上自衛隊50年史』では、1号型ミサイル艇に近接SAM(仮称)を将来装備することも検討された旨書かれておりましたが、他にあまり聞いたことがなく、どの程度具体的に検討されたのかは気になるところです。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A8%E3%83%AA550%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%83%E3%83%88
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/1%E5%8F%B7%E5%9E%8B%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB%E8%89%87
Twitterの発言に、全力で乗っかってみましたが検討してみると「やっぱ無理だなコレ・・・」てな感じになりました。
意外とこのような発想が、思わぬところで現実化することもあったりします。
いずも型になってようやくSeaRAMの搭載が実現して、個艦防御の手段が増えたのが何よりの救いとなるでしょう。
CIWSでの20mm砲だけだと対艦ミサイル防御に不安が出ていたのでようやく海幕も重い腰を上げたといえます。
真面目にはやぶさ型ミサイル艇に対空ミサイルを載せる方法を考えてくださってありがとうございます
そんな事情があったんですね。予算に関する苦労をお察しします。しかし対空能力ならRAMの方が適しているのに輸送艦に76mm砲を搭載しようと思ったのかが不思議です。
最近ではいずも型やもがみ型などSeaRAMを装備する例が増えてますけど次期輸送艦でもSeaRAMが装備されれば対空能力が強化されて「大国」と戦うことになってもとりあえず安心ですね。「後日装備」になったら最悪ですけど(笑)
海上自衛隊だと、「後日装備=装備予定は未定」てな感じでほとんど後日装備を実行したことはほとんどありません。
大抵は財務省との予算折衝で船価低減よる削減を「後日装備」てな感じで後回しになります。
一応装備計画はあったけど、数年たったら担当者が異動して優優先度が下がってしまう感じです。
おおすみ型の76mm砲装備計画もどこに行ったのやら・・・
(計画はほんとにあったんですよ!退役予定のはつゆき型から引っこ抜いて装備する計画が進んでいたけど海幕での予算原案編成段階で落選したと聞いています)
計画通りに後日装備が実現したのは、試験艦「あすか」のVLSぐらいなののです。
(XRIM−4試験のため装備予定だったけど、建造優先のため後日装備になった)
まあプロジェクト管理のような一貫したものが、あまり重視されていないことが影響したといえます。
エラーが起きてしまって時間をおいて再送信したので似た文面のコメントを二度してしまってすみません。
そういえばあぶくま型護衛艦もRAM後日装備の話がありましたけど結局装備されませんでした。ましゅうのCIWSなど海自では後日装備のはずが結局装備されない話が結構ある気がしますけどやはり後日装備というのは後乗せではなく予定されていたことでも難しいんですかね?
RAMという手法もありだと思います。
Mk49の21連装ランチャーバージョンや、SeaRAMのようにCIWSを流用したものを搭載する方法もありですね。
主砲を元の位置に戻して、RAMを船体中央部に搭載する感じになるかもしれません。
思ったんですけどRAMはどうですかね。ドイツのゲパルト級ミサイル艇はRAMを搭載してるからなんとかイケるのでは?
81式短SAMや91式携SAMという手法もありますが、船との連接でひどいことになりそうです。
せめて81式近SAMがロシアの9K330 トールみたいに射撃指揮装置とランチャーが一体化していたらワンチャンスあったかもしれません。
哨戒艦の艦砲は今後どうなるか、射撃マークがどれだけ粘るかでしょうね。
何とか76mm砲には、頑張ってほしいものです。
イタリア派が粘るか、MK45至上主義者がまた大暴れするかの抗争の結果になります。
(あたご型の主砲決定プロセスがそんな感じで混乱しました。)
SIMBADやNAVY Stingerなど、携帯型対空ミサイルの連装マウントという手がありましたか!
ただシースパローに比べると射程の問題が出てきますね。
長距離で仕留めるか、短距離で近接水上目標対処も行うかという発想になりそうです。
また、随契リストの情報ありがとうございます。
いきなりトライトンMQ−4Cの随意契約とは驚きの部分があり、何でもかんでも一般競争入札をしてきた時代から変化してきた実感があります。
元ネタのTwitterではスパローのような本格的な対空ミサイル搭載となっているのが原因でしょうが
ここで何故にそこで艦載スティンガーや短SAMのような独立性の高い機材が選択肢にならないのかという突っ込みをひとつ
最早前世紀の話となりますが両者ともに大湊の防空陸警隊で装備してたので在庫は海自にもあった筈なのですが(廃止時に廃棄したか陸自に移管したという噂なのはハイ
哨戒艦に関しては今後の米海軍との弾薬共通化を考えると3インチより5インチ積むのが選択肢に出て来そうなのが何ともはや……
ぼちぼちでてるJMUやMHIのポンチ絵見てる限り船のサイズは相当余裕がありそうですし
https://www.mod.go.jp/atla/souhon/supply/kouji/jouzoku/03-kouji-076.pdf
https://www.seaforces.org/wpnsys/SURFACE/MBDA-SIMBAD-SADRAL.htm
ただ、この手のSAMを使わざるを得ない状況は既に相手に相当間合いを詰められちゃっているわけで、better than nothingにしかなり得ませんが(w