ここ最近、護衛艦などのVLS搭載艦について洋上での再装填が話題になっています。
図1 洋上再装填
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/CsPhy51UEAAczac?format=jpg&name=360x360
一応Mk41VLSについては、洋上にて航行中でも再装填ができるけど非常に難しいところがあります。
現代では、洋上で再装填よりも最寄りの港にて再装填する方が効率的といえます。
アーセナルシップを用意するか、革新的な装填システムの出現が望まれます。
( 前回記事):『 【海上自衛隊】護衛艦「じんつう」やっちまったなぁ〜 』
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(1)VLSの洋上再装填は難しい!
イージス艦を始めとしたVLSについては、弾薬庫と発射システムを兼用した便利な装備となりました。
図2 VLS
引用URL:https://www.navyrecognition.com/images/stories/news/2017/november/UKSK_Russia_VLS.jpg
ロシアなどの東側諸国でも、VLSが主流となってきています。
1.1 垂直発射システムは革命的!
VLSが登場する前には、GMLS-3ミサイル発射機のように箱形のミサイルランチャーを使うことが多くなっていました。
図3 Mk29
引用URL:https://www.seaforces.org/wpnsys/SURFACE/Mk-29-launcher_DAT/Mk-29-missile-launcher-062.jpg
8発のミサイルを発射した後は、再装填には時間がかかっていました。
図4 シースパロー再装填
引用URL:https://www.seaforces.org/wpnsys/SURFACE/Mk-29-launcher_DAT/Mk-29-missile-launcher-021.jpg
中々大変な作業でもあり、大量のソ連軍対艦ミサイル豊和攻撃には即応性を欠くものでした。
そんなときに登場したVLSは、多数のミサイルを保管して即応射撃ができる優れものでした。
1・2 VLS装填はクレーンを使って吊り上げる!
VLSの採用によって、対空ミサイルやVLAなどについてはミサイルセルに入れて保管・装填ができるようになりました。
図5 VLS装填
引用URL:http://www.rimpeace.or.jp/jrp/umi/yokosuka/040407msdf.jpg
Mk41VLSだと、ミサイルセルが約5mの長さとなるため岸壁にてクレーンを使って吊り下げにて装填していきます。
1発1発ごとなので、結構時間がかかることが問題といえるでしょう。
装填の前には、使用済みミサイルセルを引き出すという作業もあるため非常に時間がかかります。
イージス艦では、洋上にて再補給装填を行うためのクレーンが装備されていた時期もあります。
図6 再装填クレーン
引用URL:https://www.seaforces.org/wpnsys/SURFACE/Mk-41-VLS_DAT/Mk-41-VLS-047.jpg
しかしながら、洋上にて実際に装填作業をすると非常に危険であることが判明してほとんど利用されなくなりました。
図7 米軍装填
引用URL:http://www.rimpeace.or.jp/jrp/umi/yokosuka/040407missileincg1.jpg
現在では、米海軍では洋上台船(バージ)に横付けして装填する方法を取っています。
想像以上に、洋上での再装填は困難を極めます!
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(2)洋上は波で揺れる!
洋上でのVLS再装填を困難にしているのは、自然現象ともいえる洋上の波が絶え間なく揺れることです。
図8 波揺れ
引用URL:https://www.sunflower.co.jp/cargo/safety/img/bonding-01.jpg
当たり前ですが、洋上では波の揺れの影響を受けます。
2.1 どんなに静かな海でも波で揺れる!
荒れていない海面は、時として鏡のような風景を映し出します。
図9 海面
しかしながら、海面はわずかに揺れていいるものです。
静かな海面で、錨を入れてVLSを再装填すればよいというわけではありません。
少しの揺れでも、VLSの装填部分は結構動き回ります。
2.2 わずか1度の揺れでも結構動く!
艦船の船底から、上甲板までの高さを約10mと仮定します。
図10 VLSの計算
そんな中を、精密機械であるミサイルを入れようというのはかなり厳しといえます。
ミサイルセルにてある程度強度が保たれているとはいえ、精密機械にはあまり良い環境とは言えません。
ミサイルをひん曲げようものなら、ミサイル屋さんからめちゃくちゃ怒られます。
そんな経緯もあり、洋上再装填があまり実施されなくなったといえます。
自衛艦隊後方幕僚部での演習に参加したときも、再集結地点にてミサイルの再装填を行いました。
(参考記事):『【 幕僚編?H】再補給・JTF再編成、離島奪還への作戦準備! 』
2.3 アーセナルシップなら問題がなかった!
イージス艦が洋上配備となったころから、洋上再装填の問題が取り上げられていました。
洋上再装填の問題に対して、米軍がか考えていたのがアーセナルシップです。
図11 アーセナルシップ
引用URL:https://i3.read01.com/9-z73_IarAfC7DjvXM4NJus/0.jpg
VLSを大量に搭載した、アーセナルシップが配備されていれば洋上再補給の問題も解決していたでしょう。
しかしながら、非現実的なアイデアとして不採用となりました。
何か革新的なアイデアが登場しない限り、VLSの洋上再装填という問題は続くでしょう。
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(3)外付けVLSもアリかな?
Mk41VLSのように、艦内にVLSを搭載することが洋上再装填を難しくしているところがあります。
図12 スラヴァ級
引用wiki
スラヴァ級のように、艦の側面に搭載するという手法もあります。
3.1 Mk48VLSを上甲板に搭載する手法もある!
Mk41VLSが、洋上再装填を難しくしているのあればMk48VLSを上甲板に張り付ける手法もあります。
図13 オランダ海軍カレルドル—マン級
引用URL:https://www.seaforces.org/wpnsys/SURFACE/Mk-48-VLS_DAT/Mk-48-VLS-Karel-Doorman-class-04.jpg
オランダ海軍カレルドル—マン級フリゲートなどで見られた、ヘリコプター格納庫の側面にVLSを搭載する方法もあります。
重量バランスは厳しくなりますが、上甲板にVLSを設置するというのも一つの手段でしょう。
なかなか、すぐには解決しない問題です。
3.2 技術革新を待つしかない!
補給艦が横付けして、大型クレーンにて一気に引き抜くという手法も考えられますがなかなか難しいでしょう。
VLSの洋上再装填には、革命的な技術革新と発想の転換を待つしかありませんよ〜!
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潜水艦からの対空ミサイルについてはいくつか、開発が進んでおり実地試験まで進んでいます。
VLSを水中に沈めて安定性を確保しながら装填というのも、一つの考えとしてかなり良い方法です。
(なお水密性の問題が・・・)
対空ミサイルについては、どんな船などにつけてもある程度は機能しますが完全能力発揮には厳しいです。
ネットワークとセンサーさえ完備できれば、タンカーにVLSテンコ盛りでも戦力として活躍できます。
水中なら安全に、且つ波の揺れもなく大型で重たいミサイルを挿入できるでしょう。
問題は暗すぎること、サメや潜水兵に作業員が襲われることでですかね。
タンカーやおおすみ型輸送艦から撃つ榴弾砲やmlrsみたいに全通甲板やヘリ甲板にpac3を乗せるだけでも良いですし。何か似たような物がすでにあった気がします。船の数を揃えれば戦力にはなるんでしょうか。
なかなかきわどい話を書いていただきありがとうございます。
立場上かけない話について、色々推察していただいているのでなんとなく「任務艦」の技術面での話が分かるかと思います。
ペンギンが、なぜ突然某国製装備をしたのか拝命もよくわかると思います。
今後ともよろしくお願いします。
>ペンギン先生、
ご紹介ありがとうございます。
筆が滑って余り公にできない話も書いてしましました。
差支えがあるようでしたら、すぐに修正いたします。
海自の情報員は何故イスラエルへ研修に行けるのか?
https://fanblogs.jp/keenedge1999/archive/2/0
keenedge1999さまの知識経験は非常に貴重なものであるので、今後ともよろしくお願いいたします。
主にミサイル関連の話題を書く予定です。ご指導のほどよろしくお願いします。
https://fanblogs.jp/keenedge1999/
海上自衛隊演習での硫黄島での再補給については、当時の考えでは米海軍横須賀にあるバージ船を借りて補給することを考えていました。
輸送艇2号や輸送機を使って、クレーンやらの関連機材を運び込み足りないものは米海軍から借り受けるつもりでした。
MLP(ESD)の発想が、米軍では登場していましたが当時はまだまだ未知数のものでした。
なかなか再補給地点の確保には苦心していた時期でしたね〜。
以前投稿されていた「【幕僚編】反撃作戦立案!幕僚達の闘いは敵意図看破!!」にて
硫黄島に物資を集結、対艦対空ミサイルの補給を実施する。との記事がありましたが
この時は再装填の際に輸送艇2号やバージ等を持ち込み補給を実施していた……という事なのでしょうか
確認されている範囲では硫黄島ではクレーンなどの補給関連設備が整っているとは言い難い状態と見受けられているようですけども