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先日走っていたわけでもない歩行者同士の接触転倒事故で、過失相殺なしの賠償判決の疑問を書きました。
そのニュースを見た時、過去にも同様な大きな違和感を感じた判決を想起しました。
2004年に、小学校の校庭から小学生が蹴ったボールが道路に出て、これを避けるためにハンドルを切ったバイクが転倒。バイクの運転手は転倒し骨折。このケガで寝たきりになり、直後に認知症の症状が出た。その後誤嚥性肺炎で亡くなっています。
小学生の親への5,000万円の請求に対して、一審で1,500万円の支払い命令となっているので、かなり小学生の原因の割合を考えたのではないかと思います。どのような考慮がなされたのか、具体的には分かりませんが、想像するに、骨折→寝たきり→認知症→誤嚥性肺炎の因果割合、小学校の校庭でボールを蹴るという行動に対して一緒にいたわけでもなかった親の監督者責任はどこまで問われるか、バイク運転者の不注意などがあったのではないかと思います。
けど、違和感というか判決に対する憤り。小学生が小学校の校庭でボールを蹴って遊ぶ、普通の行為ではないか。逆に、小学校の脇を通るならば、子どもが飛び出してくるかもしれないという危険予知を行い、いざという時は回避できるような運転をするのが当たり前の注意義務。資格を持った人がハンドルを握っているのだから、回避に失敗して転びましたで相手に責任を取らせようとするなんてお門違い。
通常の注意義務では回避できないような事例、例えば死角からいきなり飛び出したとか、少年がわざと公道に強くボールを蹴り出したなら、その立証ができなければならない。が、この場合、わざと道路に蹴りだしたなどの行為はないとされている。
フェンスの向こうは見えるのだし、子どもがボール遊びしているのが分かっていながら、その注意が不足していたから転んだ。
まとめると、一方は危険予知能力が未熟な子ども、一方は危険な乗り物を扱う教習を修了した有資格者。場所は子どもが通常遊ぶ場所の脇。
これで小学生の過失割合が30%以上なんてことはあり得ない。
子どもが飛び出して跳ねられた場合の過失割合と、子どもを避けるために転倒した場合の過失割合は変わらないと思われます。過失割合は、けがの程度や内容は考慮されず、発生原因の割合なのですから。そして、飛び出したのが子どもかボールかによっても、道路に向けてボールを蹴りだしたなどではないのだから、流れ弾であるのだから、割合は変わらないと思います。故意ではなく流れで飛び出たことは、最高裁で、蹴った方向とフェンスなどの位置からボールが常に外に出るということではなく、解放された校庭の通常の利用だったと認められるとされています。
これで考えられる割合から、更に骨折から誤嚥性肺炎へ至る因果関係を考慮した際に、悪化しないための措置に不十分な点があったなら、小学生側の賠償すべき部分からは除かれるわけで、これで1,500万円も認められてしまうとはねぇ。
それでも、バイク運転者の過失がゼロではないのだから、遺族も損害分を受け取れるべきだろう。しかしその相手は、校庭の管理者ではないのか。
休み時間、放課後、校庭で児童が球技ができるように開放するなら、隣接する道路を通行する人に危険が及ぼさないように、監督指導したり、ネットを設置するなどの措置をするのは、学校側の役割である。親の監督責任というのは筋が違う。児童は、学校が認めている範囲内で通常に校庭を使っているだけなのですから。
学校の安全責任を問い出したら裁判に時間がかかる、組織相手に裁判するのは負担が大きい、それはあるかもしれません。だからといって、普通に遊んでいた子どもの親だけに責任を負わせる、この判決は大いに疑問でした。原告と被告の間の割合だけでなく、どちらのせいでもない対象まで言及するのが、法律のプロではないのか。
事故は2004年で、バイク運転者の死亡後遺族が2007年に提訴。大阪地裁判決は2011年。
前回歩行者同士の接触事故の判決を扱ったけれど、10年を経ても変わっていなかった。過失判定が無茶苦茶、児童生徒が集まるで、個人責任のみを追及する姿勢が許される。
ただ、救いはある。バイクで転倒骨折した運転手は、ボールを蹴った小学生を、こんなんでくじけちゃいかんと元気付けていたという。損害賠償を求めるつもりはなかったであろう。遺族によって起こされたこの裁判も、最高裁が下級審での判断を破棄し、原告の請求を退けた。
歩行者同士の接触のケースは、加害者が12歳以上であり、監督責任が争点ではないので、そこは話が違う。けれど、普通に生活していたら、個人がいきなり多額の賠償を負うというのは息苦しい。
言いたいこと。
過失割合の判断は変わっていくべき。
通学路や子どもが通常遊ぶ場においては、子どもたちに温かくあるべき。
私の自宅のすぐ近くの高校の話です。登校時間はPTAが学校周辺に立ち、道幅いっぱいに広がったりしないよう注意したりしていますし、校庭はこれでもかというぐらい高くネットを張り、校門側にボールなどが出ないように、ついたてのような感じでネットがあります。校庭は防音シートにも囲まれています。
エネルギーある年頃の生徒児童が思い切り生活できる環境、そちらを求めるのが、大人の役割ではないでしょうか。
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