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2022年04月22日

一票の格差よりも、議席の都市部集中を抑えて




2021年10月の衆議院議員選挙、一票の格差を巡る高裁判断が2月に次々と示されました。違憲状態、合憲、半々といったところか。最大2.08倍を最高裁はどう判断するのか。それは分かりませんが、私はこの一票の格差を限りなく1倍に近付けるべきという考えに強い疑問を抱いているのです。

一票の格差問題というのは、有権者数と議員定数の比が選挙区ごとに違ってしまうと、同じ一票でも重さが違ってしまうことになり、それを問題視するものです。
例えば47都道府県からそれぞれ10人を選挙で選んで、定数470人で国会をやろうとした場合を考えます。49回衆議院議員選挙の時のデータですが、東京都にはおよそ1149万人の有権者がいます。一方、有権者数が最も少ない県は鳥取県でおよそ47万人です。24倍以上もの開きがあります。それで同じ人数の議員を選出するとしましたら、東京都の1149万票と鳥取県の47万票は同じ重さになってしまいます。もし東京都民の票の重みが鳥取県の人の24分の1しかないとなれば、不平等だと感じる人が多いと思います。
もちろん現実にはそんなことは起こっておらず、先の衆院選では、鳥取県の小選挙区の定数は2に対し、東京都は25となっていて、平均すると票の重みの差はおよそ2倍に抑えられています。県内の各選挙区の最大では、2.08倍となりました。

2倍でもおかしいとか、少なくとも2倍をわずかでも超えるような格差は論外という声は多いと思います。しかし私は、一票の格差を大きくしてでも、都市部からも過疎地からもちゃんと代表が出る方がいいと思っています。
もし1票の格差を1に近付けようとすれば、鳥取県で議員がひとり選出される時、東京都からは24〜25人選出することになります。人口比から言ったらこれが平等かもしれませんが、人口が多くない県からしてみれば、これはこれで不公平に感じないでしょうか。
南関東の1都3県、東京、千葉、埼玉、神奈川だけでおよそ30%の議席を占めることになります。これでは、関東の主張、都市部の立場ばかりが優遇されて、人口が少ない地域の声は届かなくなるのではないかと不安を覚える方もいると思います。
都市部優遇の政治になれば、益々人口は都市に集中し、人口格差は広がる一方でしょう。都市部優遇の政治になるのかですが、都市部の票が力を持っているのですから、それは強く懸念されます。農業や林業など、広い土地に比較的少ない人出で行う産業が日本から駆逐されてしまうのでは、という恐怖も感じます。

何をもって平等とするのか。完全に一票の格差をなくして有権者数がダイレクトに議員数に結び付くなら、東京都だけで中国四国9県を上回る発言力を持つことになり、私には数の暴力にすら感じられてしまいます。
何をもって平等とするのか。
第一次産業が強い地域の声も尊重されるべきだし、過疎に悩む地域の声も届くようにすべきだし、発言力のすり合わせはあるべき。
今後都市と地方との格差を広げないためにも、地域活性化のためにも、人工的に発言力が弱くなる立場の地域のそれは、意図的に強めることが急務だと感じる。
人口密集地の圧倒的票により、都会人の、都会人による、都会人のための政治にしないために。

もし、自分の一票の価値が下がるのは嫌だという方がいたら、過疎地に移住したらいいと思います。国内であれば、転居は難しくありません。
例えれば、物価とか地価が高くて嫌だとか、電車の混雑が嫌いだとかと同じだと思います。地方に行けば、同じ賃貸料でずっと広い家に住めます。山手線や東西線のようなラッシュアワーも、ありませんとは言わないけれど、程度は段違いのはずです。

それと一票の格差を一緒にすることが適切なのか、ここは抵抗ある方も多いかと思います。
しかしこの問題、日本国憲法第14条、法の下の平等を一切侵していない。
「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」
人種、信条、性別、社会的身分、家柄(門地)には一切関係ない。一方住んでいる場所によって最低賃金や物価、利便性などが違うのはやむを得ない、というかむしろ普通なこと。人口過密地域と過疎地域の発言力の調整も、同じようにやむを得ない、どころかその方が平等のように思えます。
一票の価値が欲しいという方は、過疎地に住めばいい。これは、同じ家賃で広い家に住みたければというのと同じです。

何をもって平等とするのか。
どれぐらい都市部の発言力を調整すべきなのか。その重み付けは大きな問題です。
個人的には、かつて参院選で採用されていた、まず1つの都道府県に1議席を割り当て、残りを人口比で割り当てるというのはよかったと思っています。比例代表を除くと定数150人弱。この選挙での最大の一票の格差は4.77倍。このレベルは、地方活性化の調整として認められるべきだと考えます。だって、都市部では1つの県から4人とか議員を出しているのに、ひとりも出せない県がある方がおかしい。

例えばですが。今はどんどん国際化が進んでいます。地球環境とか宇宙開発とか、世界で話しないといけない話題もどんどん出てくるでしょう。その代表として、日本の10倍以上の議員を中国とインドが出してくる、アメリカ合衆国も日本の3倍、これ、納得できますか。同じ議員数とはいかなくても、ある程度補正されるべきでしょう。

農村地の権利を守ることは、国益にもつながりますし、世界にとってもいいはず。
そのためにも都市部の、人口による議会ジャックは避けなければならない。
そのための一票の重み調整は、必要と考えます。



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