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2015年05月12日

036.アスラズラース

アスラズ ラース



 おはようございます。あるへです。


 このゲーム、どうやら評価はあまり高くないようですね。私としてはそれは間違いで、これぞカプコンだからこそ成せる挑戦的、野心的かつハイクオリティな作品だと思っています。
 もしかしてPV演出(敵がわらわら出てきてDMCみたい)や、ブランドネーム(格ゲー、バイオ)が余計な期待を上乗せしてしまったために生み出した悲劇なんじゃないかと勘ぐってしまいます。
 たしかに、作中ではDMCのようにたくさんの敵に囲まれて戦闘するシーンが随所に出てきますが、華麗に舞うようなスタイリッシュアクションのようには到底いきませんし、かといって格闘ゲームっぽいキャラだからと思うと、それほどコンボにバラエティはありませんし、そんなシビアな駆け引きもありません。

公式サイト

 体験型連続活劇。この言葉が全てを表していると言って過言ではありません。基本的には視て楽しむものです。そしてその中にプレイヤー自らが介入していって、主人公アスラと一緒に手に汗を握ってテンションを上げていく。バトル物少年漫画を思い起こさせ、「うおおおお!」とか「ぐああああ!」とかの掛け声一つひとつに、一緒になって熱くなる、そんなゲームです。

 アスラという漢の清清しい義憤、憤りはおそらく誰にでも共感できるもので、練りこまれたストーリー、CC2を、.hack//シリーズを知るものなら誰もが好きなLieNの透き通った歌声、活劇の名に相応しい迫力満載の演出と、私はこの作品を(実績解除のためですが)何度もプレイし、そのたびに心奮わせられ、何度も感動しました。
 もうなんというか、一人でプレイするのがもったいない。誰かに一緒に見てもらいたい、そんな風にも思いました。

 これは是非ともヘッドホンを装着し、少しだけ大き目のボリュームで、この世界に浸っていただきたいですね。

 そして、好きすぎてDLC買いました。第四部「輪壊編」というやつです。
 結論から言えば、面白かったです。第三部の終わりに納得がいかない人、未だ怒りの収まらない困った人、プレイして損はありません。いつものノリで全てに決着をつけましょう。最後の最後、インターバルムービーを見て、私自身も、なんだか救われた気持ちになりました。このDLCの肝は、その最後のインターバルムービーにあるかもしれません。
 ですが、ちょっとした心残りもあるにはあります。

 このゲームは体験型「連続」活劇、と銘打つように、本編で構成されている第一部から第三部までのストーリーが、練りに練られ、連続して視聴することでプレイヤーの興奮を最高潮に引き上げられるよう、ベストなバランスに調整されています。ですので、この本編中に無駄なシーンというのは一切なく、それらは全て後の展開の伏線であり、プレイヤーの中に爆薬を溜め込む布石となっています。
 この辺の按配がものすごく上手で丁寧で、やっぱり私はカプコンが好きだな〜と、思います。
 しかしそのせいか、第三部のラストバトルで全てを出し切ってしまった感が若干感じられてしまい、DLCという、本編とはワンクッション置いた形態、あるいは私自身も本編攻略とDLC攻略の間に一月ほど時間を置いてしまったせいか、どこかDLCが本編に結びつききれずにいる感覚を受けました。
 いえ、DLCのどの話も面白いです。演出も見事です。展開もすさまじいです。ここまでやるか、と呟かずにはいられませんし、QTE演出一つとっても非常にアイデアに溢れています。なのでここはやはり、最も深い製作者たちの心の持ちようくらいにまで遡る、本当にちょっとした、けれど明確な問題なのではないでしょうか。

 本編ではきっちり終わらず、最終話はDLCで、という商法はプレイヤーにとっても評判の悪いやり方でしたが、おそらく、完全にただの妄想ですが、同じチーム、同じテンションで、本編と同じやり方考え方であっても、本編+DLCと分かれてしまったがために、製作チームの心理的にもどこか本編と第四部の間に壁が出来てしまったのではないでしょうか。
 第四部の展開は開発段階から想定していたのでしょうが、第一部から第三部まで培ってきたプレイヤーの心理やテンション、モチベーションを最後に大きく揺さぶり……DLCでそれを制御しきれず若干持て余してしまった。そんな印象を受ける第四部でした。

 .hack//いいですよね。無印(感染拡大とか)も大好きですが、アニメも好きですし特にG.U.が一番好きです。あのテーマソング「優しい両手」を愛して止まない人も多いのではないでしょうか。今作でもそのLieNは健在です。「震える心」を聴いて、是非とも心震えてください。
 アスラとともに渾身の拳を叩き込んでやりましょう。


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