世界史を学んだことがある人なら
気になったことがあるはずです。
世界史の教科書でイスラム文化の話になると、
「イブン・何とか」さんが妙に多く登場するのです。
しかし現代では、
イブン〜という名前はあまり耳にしない・・・。
これはいったい、どういうことなのか。
昔はイブンがおしゃれな名前だったのか。
今回は、「イブンだらけなのはなぜか」がテーマです。
では、年代順に見ていきましょう。
イブン=シーナー(980〜1037)
(画像引用 Wikipedia)
(いまいちパッとしない絵ですが・・・)
・若くして医学を習得。
・17歳のときサーマン朝の君主の病気を治療
・医学・数学・哲学・神学・天文学を習得
・著作はゆうに100以上を誇る知の巨人
・ 「医学典範」 はアラビア医学の集大成
イブン=ルシュド(1126〜1198)
(画像引用 Wikipedia)
(見るからに賢そうな顔ですね)
・ラテン名アヴェロエス。
・中世欧州におけるアリストテレス哲学研究に多大な影響
・著作はキリスト教のスコラ学者によってラテン語に翻訳
・ ラテン・アヴェロエス派 を形成
・医学者でもあり、「医学大全」を著した万能人。
イブン=バットゥータ(1304〜1368?1369?)
(画像引用 Wikipedia)
史上最も偉大な旅行家。
まあ、ご覧ください、その道程を。
(出典 2004年センター試験 世界史A)
・モロッコに生まれ、22才の時にメッカへ巡礼の旅に
・その後エジプト・シリアを経て南ロシアに至る
・中央アジアを南下してインドに到達
・トゥグルク朝で法官となり約8年間デリーに滞在
・元朝への使節団に加わり、海路中国へ
・大都(北京)を訪れてモロッコに帰国
・その後もサハラ砂漠を越えてマリ王国を訪問
・口述筆記 「三大陸周遊記」 は傑出した旅行記として有名
イブン=ハルドゥーン(1332〜1406)
(画像引用 Wikipedia)
(うむ、威厳を感じます)
・イスラム世界最高の学者とされる
・哲学、法学に通じ、いくつもの王朝で高官として活躍
・政界を引退したのち、歴史書の編纂を開始
・王朝の盛衰には規則性があることを見出す
・大著 「世界史序説」 を残す
やはり「イブンなんとか」さんが多いようです。
では、そろそろ核心に迫りましょう。
イブンとは何なのか。
[ イブン ]とは、名前ではありません。
ibn ( ??? ?) というのは、「〜の息子」 という単語。
つまり、サザエさんちの「磯野カツオ」は
イブン・波平、つまり「波平の息子」ということになります。
豊臣秀頼は「イブン・秀吉」ですし、
長嶋一茂は「イブン・茂雄」です。
当時のイスラム教社会では
「本名を呼ぶのは失礼」 という感覚があったので
「〜の息子」という父系重視の呼び名が一般的だったようです。
上に挙げた4人の偉人のように、優れた業績を残しても
本名がよくわからないのはもったいないような気もしますが
それも含めてイスラムの文化というわけですね。
ということで、
「 息子 」 「イブン」 で語呂合わせしておきましょう。
「 息子 の いい文 」
「ぼくは、おとうさんが、大好きです」
ううっ。息子よ・・・・。
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