眼の疲れ、老化を抑えるため食生活で気を付けたいこと
ビタミン類や一部のミネラルを除く抗酸化物質はカロテノイドとポリフェノールに大きく分かれる。
●カロテノイド
βカロテン(果物、野菜、卵黄)、リコペン(トマト)、アスタキサンチン(サケ、イクラ)、ルテイン(ほうれん草、卵黄)、ゼアキサンチン(トウモロコシ)、フコキサンチン(海藻類)、βクリプトキサンチン(ミカン)など
●ポリフェノール
カテキン(茶)、タンニン(茶、柿)、アントシアニン(ブドウ、ベリー類)、ルチン(そば)、イソフラボン(大豆)、クロロゲン酸(コーヒー)、レスベラトロール(ブドウ)など
目の疲労回復に「カロテノイド」、イライラ改善も
抗酸化物質の中で、北市病院長は アスタキサンチンに注目しているという。
「サケは海から川へ遡上する前に体がオレンジ色に変わり、産み付ける卵もオレンジ色となる。これは浅瀬に降り注ぐ紫外線から自分自身や卵のDNAを守るために獲得した機能。
この色素がアスタキサンチンで、ビタミンCや他のカロテノイドと比較して抗酸化作用が格段に強く、“キング・オブ・カロテノイド”ともいわれる」(北市病院長)。
紅ザケの刺し身に換算すると、1日あたり2人前程度。食事でサケなどを積極的にとることでも効果はある程度期待できる」(北市病院長)。
キンメダイも紅ザケとほぼ同量のアスタキサンチンを含む。毛ガニや甘エビ、イクラ、筋子などにも多い。
一方、カロテノイドの仲間で、目の網膜の中心部、黄斑部分に蓄積するのがルテインとゼアキサンチン。
ほうれん草やケールなどの濃い緑の野菜に含まれる。
「ルテインとゼアキサンチンは、紫外線やIT機器から発されるブルーライトを吸収するフィルター作用と、活性酸素を消去する抗酸化作用によって黄斑部を守っている」(北市病院長)。
20年、30年といったスパンで目の健康を考えるときに日々の食事内容を意識することは意義がある。
また、眼精疲労改善効果がある色素を摂取する臨床試験では、ほぼ毎回、頭痛や首、肩の凝りも改善する傾向がみられる。
現代人の頭痛や肩凝りのかなりの部分は目の疲れに起因するため、QOL(生活の質)改善にもつながるはず」と北市病院長。
北市病院長は目の健康を守る食事と生活習慣として、次の3つを薦める。これらは全身の健康維持にも役立つので、ぜひ実践してほしい。
●抗酸化色素をとる(アスタキサンチン、アントシアニンなどの抗酸化物質を含む色の濃い食材をとる。ブドウなどのフルーツは皮ごと食べる。飲み物なら緑茶がお薦め)
●禁煙する(タバコは直接の毒性に加え、酸化ストレスを促進し、加齢黄斑変性や白内障のリスクも高める)
北市伸義病院長
北海道医療大学病院病院長
北海道大学病院客員臨床教授。日本眼炎症学会評議員。北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院博士課程、ハーバード大学医学部眼疾患分子基礎プログラム研究員、日本学術振興会特別研究員、北海道大学眼科助教、外来医長、北海道医療大学病院眼科准教授、教授を経て2017年より現職。専門はベーチェット病などの炎症性眼疾患。アスタキサンチンやビルベリーなどの眼精疲労に対する効果の基礎研究、臨床研究を行う。
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