最終的には、心の働きの脳内メカニス?ムについて述べていきます。
記憶力
睡眠と記憶力
学習した直後に睡眠をとると、記憶が定着するという実験結果がある
記憶力の増強に関連の深いものには、睡眠もある。
睡眠の主な役割は、脳の疲労回復だ
。
肉体的な疲労は多くの場合、横になって休めば、起きていても回復する。
一方、脳の疲労は、眠らなければ絶対に回復しないという。
睡眠の重要な役割は、『脳の機能の回復』なのである。
成人男性の場合、脳の重さのわずか『2%』ほどだが、エネルギー消費量の割合は全体のおよそ『18%』に達する。
脳はそれほど活発に活動している器官であり、正しく機能を発揮するには十分な”整備”が必要なのだ。
睡眠をとって脳を休息させないと脳の細胞がダメージを受けることが、イヌの断眠実験で確認されている。
長時間の断民を行ったイヌは、脳内の神経細胞が傷ついたり死んだりしていた。
『睡眠をとらない』と脳の機能が低下するだけでなく、脳が傷つき、いずれ個体の『死』に至る
のだ。
さらに睡眠は、疲れた脳を休ませたり、修復したりするという”受け身”なものだけではなく、胎児や新生児の頃には脳を作り、育てる重要な役割も担う。
ところで、脳を休ませ、作り育てることの他にも、 睡眠には重要な役割
がある。3月6日『海馬と記憶?A』でも紹介した 『記憶の固定』
だ。
実は、学習後すぐに眠ると、記憶の固定に効果があるという実験結果が報告されている。
単語を覚えるようないわゆる 勉強の記憶
だけでなく、体の動かし方など 運動の記憶
も、
眠ることで記憶に残りやすくなるという。
62 人がキーボード入力の課題に取り組んだ。
練習を「朝→昼→(睡眠)→朝」に行った群(グループ1)と、
「夜→(睡眠)→朝→夜」に行った群(グループ2)で、
入力技能の上達度を比較したところ、
後者の方が技能向上効果が表れるのが早く、睡眠後に技能が著しく改善した。
(出典:Matthew P. Walker,et al. Neuron, Vol.35, 1-20, 3 July, 2002)
「私たちは起きている限り、様々な情報を脳に入力させています。
記憶を定着させたいのなら、余分な情報を入力させず、 学習で得た記憶が新鮮なうちに眠る
ことが特に効果的だと考えられています」と
睡眠のメカニズムや役割を研究する滋賀医科大学睡眠学講座の宮崎総一郎(みやざき そういちろう)教授は話す。
記憶の固定には、『レム睡眠(第5章)』が重要な役割を果たすと考える研究者もいるが、否定的な実験結果もある。
睡眠中の脳で記憶が固定される仕組みは、まだ十分には解明されていない。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
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2019年03月11日
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