自分と自転車がペダルで直付け(ぢかづけ)されてるような感覚、それが固定ギアピストのダイレクト感すか、
クランクの回転に合わせて強制的にペダリングさせられる固定ギアのピストバイクは、ペダルから足が離れるとクランクの回転に巻き込まれて危険なので、いろんな方法でペダルと足が離れないようにしといたほうがむしろ安全で動力もロスなく伝えやすい、
ダイレクト感と人車一体感は同じ意味すか、
そうとらえてもだいじょうぶ・・・けっきょく良くも悪くも自分が自転車に乗せられてる感がゼロの状態で、カラダと車両の間に遊びがいっさい無く、自分と車両が休みなく掛かりっ切り状態になるわけで、
この傾向は、自転車の構造がシンプルになるほど強まると、
そのとおり、Eバイクより変速付き自転車、変速付き自転車よりフリーギアのシングルスピード、フリーギアより固定ギアのピストバイク、この順にダイレクト感、人車一体感はより強まって、車両に乗せてもらってる感が無くなって来る、
いっぽうで人車一体感やダイレクト感が強まるほど移動効率も悪くなると、
確かにそうやけど、移動効率と自転車の魅力とは直接関係無いんで、ピストバイク・シングルスピード・変速付自転車・Eバイク、それぞれに独自の魅力があって、さらに言うと自転車よりも他の車両、あるいは車両以外に魅力を感じることも大いにあるわけで、
じゃあなんで最も移動効率の悪い固定ギアのピストバイクに現在ハマってるんすか、
子供のころから自転車は好きやけど、60過ぎまで経験できなかった固定ギア特有の駆動方式に目が覚めるような新鮮味を感じてるからとちゃうか、
固定ギアといえば、自転車の長い歴史でもいちばん古いメカニズムですが、そういう古めかしさは感じないすか、
それは無いけど、究極にシンプルな構造から来る乗りづらさはかなりなもんで、
それがむしろ乗りこなす楽しさにもつながってると、
せっかく乗る以上、固定ギアの特性をカラダで覚えこむまで乗りこなしたいのは当然で、
固定ギアといえば、ペダリングの足で加速と同時に減速もできる点が画期的特長ですが、他にはどんな魅力が、
全車両中、ダイレクト感・人車一体感がいちばん感じ取れるのが自転車、そのなかでも固定ギアが究極のダイレクト感・人車一体感が味わえるから、そこが最大の魅力かな、
ダイレクト感・人車一体感をもっと具体的に言ったらどんな感じなんすか、
プラスイメージで言うと自分と車両の境目が無くなってひとつの有機体として動いてる感覚、マイナスイメージで言うと全身が常に自転車の動きに拘束(こうそく)され続けるような息詰まるような感じ、
このダイレクト感のおかげで、平地やゆるやかな下り坂ではブレーキを使わないでもクランクの回転力をペダルで微調整するだけで加速減速できるので、かつて無いほどコーナリングが楽しくなりましたが、その反面、ブレーキを使わないと即落車の危険がある急な下り坂についてはどうすか、
フリーギアならブレーキをうっすらかけながらペダルを休めて滑走(かっそう)空走(くうそう)できる快適な下り坂も、固定ギアになるとスピードも出せないつらい坂に一変(いっぺん)するもんな、
固定ギアの下り坂って正直つまらない、というか危険な香りすらしますが、
たしかに、快適な足の回転にあわせて慎重にブレーキをかけながらそろそろとゆっくり降りてくしか方法無いもんな、
スピードも出せませんし、足は回り続けますし、何が楽しいんすか、
感覚的にいちばん近いのは、マウンテンバイクで岩や落ち葉の危なっかしい激坂をがっつりブレーキングしながらゆっくり降りてくあの緊迫した人車一体感、これを少し薄めた感じかな、
なめらかな路面でも、しっかりブレーキングしてやらないと、足の回転が追いつかなくなって落車・大ケガしますし、
なもんでプラスイメージで言うと、ありふれた町中の坂であっても、落車の危険から身を守りながら自転車を器用に操る(あやつる)充実感があるし、これとの対比で平地のペダリングも今までに無いほど快適に感じられるし、そういう緊張と緩和(かんわ)の対比が楽しかったり、そんな魅力とちゃうかな、
車両をあやつる楽しさって、ケガの危険性と常に背中合わせですし、
たしかにテレビゲームで車両に乗ってもすぐ飽きるのは、どんなひどい乗り方してもケガひとつしないからで、
フリーギアなら安全快適でしか無い下り坂が、固定ギアだと危険な坂に激変するから、爽快感とはまた別の生きてる実感が味わえると、
それもあるし、シングルスピードで登れそうもない坂をムリせず歩くように、下り坂もムリせんとピストから降りて、景色をゆっくり楽しみながら歩いて下るのもなかなかに乙な(おつな=趣味性の高い)選択だったりするわけで、
変速をシングルスピードにかえて登れない坂が増えてくると歩く楽しさがどんどん湧(わ)き出してきたように、固定ギアがきっかけになって下り坂も歩いて楽しめるようになったら、これもこれで新たな世界が見えて来て素晴らしいすね、
自転車とセットで歩くと、スピード感や使う筋肉の違いが驚くほど体感できるし、カメラ的にも発見が増えるし、互(たが)いが互いの魅力を引き立てあってメチャ楽しい・・・ありきたり過ぎて誰も指摘せえへんけど、ホンマこれは鳥肌(とりはだ)モンの大発見で、
全車両中驚異的に軽量で静かな自転車という乗りもの、そのなかでもさらに軽量で坂に弱いシングルスピードやピストバイクだからこそ発見できた歩きとコラボする(=セットで楽しむ)至福のひと時すか、
ここまで来たら平地であってもときおり歩きを混ぜたくなってくる、
『車両と二足歩行が同時に楽しめるぜいたく』というビックリするほど当たり前でビックリするほど楽しい発見すね、
シングルスピードやピストバイクには、変速付自転車や最先端のEバイクとは全くちがう楽しみがあるってことやな、
筆者の愛車「ジオス ビンテージ ピスタ」。購入当時のリアハブは両側ともフリーギア規格だったので固定ギアで乗るためにはさらにホイールが必要でした。
こちらはピストバイクで有名なフジから独立して自身のブランドROCKBIKESを立ち上げた西山氏によるピストバイクの紹介動画。品質面でけっして妥協はせず、しかもより求めやすい価格を常に意識されているメーカーさんです。ちなみに登場して間もないUNIZE(ユナイズ)シリーズではさらにお求めやすいピストバイクも用意されています。