森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.08.05
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赤ちゃんは身体が不快な状態にさらされると泣き叫びます。
すると親が飛んできてミルクを与えたりおむつを替えたりしてくれます。
赤ちゃんは不快な状態が解消されて安心します。
その繰り返しの中で、赤ちゃんは人間の心が成長していく上で最も重要な感情を獲得してゆきます。
それは「安心感・安全感」という感情です。
親の大きな包容力のなかで「自分は生きていていいのだ」という感覚を身につけていくのです。
未熟で生まれてきた人間は多かれ少なかれそういう過程を経ているのです。

ところが幼児期になると様相が一変します。
子どもが自分の不快な感情に基づいて、怒ったり、泣いたり、ふくれたり、すねたり、暴れたり、暴言を吐いたりするようになるからです。
するとほとんどの親は叱ります。たたいたりする親もします。
「いい加減に我慢しなさい」と言い含める親もいます。
この対応は乳児期の包容力のある対応とは全く異なります。
子どものネガティブな行動や現象を見て、しつけと称して批判をしたり、修正させようとしています。

元々子どものネガティブな行動には、その原因となる感情が湧き起ったはずです。
腹が立つ、悔しい、憎らしい、嫉妬した、不安だ、恐ろしい、むしゃくしゃする、イライラする、寂しい、どうしても欲しい等です。
子どもの体の中を突き抜けていくこの不快な感情を受け止めていくということは、その後の子どもの心の成長にとってとても大切です。
ネガティブな行動面を見て我慢強い子に育てよう。
きちんとしつけをしようと考えることは極めて短絡的な考え方です。

例えば、自分の遊んでいるおもちゃを友達が勝手に横取りしたとします。
普通の子は泣き叫びます。そして親に取り返してくれとせがみます。
その時親がどういう態度で子どもに接するか。「そんなことでわんわん泣かないの」
「少し我慢してれば、また遊べるようになるから」
「こっちのおもちゃも面白いよ」このような対応はどうでしょうか。
別になんの問題もないようです。実はこの対応は大いに問題があります。

この時の子どもの感情は、悔しい、腹が立つ、憎らしいといったものです。
なんともいえない不快感が体の中を駆け巡っています。
その感情を親が認めて受け入れるということが大切なのです。
「おもちゃをとられて悔しかったんだね。怒っているんだね」
これは泣き叫ぶ子どもから、どんな感情が湧いているのかを推察して、子どもにこれは悔しさ、怒りという強い感情が自分の体の中に流れているんだよ。
この感情は台風などの自然現象だからどうすることもできないんだよ。
こういう気持ちは誰でも経験している事なんだよ。と暗に教えていることになるのです。
これが積み重なると子どもは健やかに成長してゆけると思います。
この不快な感情を親に受け止めてもらうと子どもは「安心感・安全感」を獲得することになります。
神経症のように一つの不安や恐怖にとらわれ続けるということはありません。

子どもの体の中を流れている不快な感情をきちんと受け止めるということは、感情と言葉が一致するということです。
悔しい、腹が立つという身体感覚と言葉が一致するということです。
子どもは自分の身体感覚にあった言葉がけを養育者にしてもらうと、不快な感情はぱたっとおさまったり落ち着きを取り戻すというものなのです。

ここで例えば、叱りつけられるということは、自分の身体感覚のなんともいえないイライラはおいてきぼりになるということです。
親に言われれば小さいうちは素直に従うでしょうが、不快な感情が行き場を無くして放置されてしまうのです。その感情が絶えず徘徊を始めるのです。
不快な感覚と言葉が不一致のままに取り残されるので、モヤモヤ、イライラはいつまでも解消することはできないのです。
その感情はいつまでも心の中に残るということになるのです。
そういうふうに育てられた子供が精神的に疾患を起こして苦しむようになるということは容易に想像できます。





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Last updated  2024.04.06 11:50:19
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