森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.02.01
XML
我慢できる子どもに育てることは大事なことである。
それは大人になっても我慢ができずに、欲望の暴走が止まらないからである。
社会に迷惑をかけ、自分の将来がめちゃくちゃになるからです。
我慢できない子は、窃盗、薬物、性犯罪、暴力等で補導され、「もう決してやりません」といっても、何度でも非行を繰り返すという。
歯止めが効かないから自分でもどうしようもないのです。
その子のせいではありません。親の育て方の問題です。
我慢のできない大人になった時点ではほぼ修正は不可能です。
出来ることは、欲望の暴走が起きそうな場所、他人とは一線をおくしかないのです。
でもそれはとても不自由なことです。
出来ればなんとか幼児、子ども時代にきちんと我慢できる子に育てることが大切です。

泣けばすぐにミルクを与える。抱っこをする。呼ばれればすぐに飛んでいく。
何でも子どもの言うとおりにしている。子どもが駄々をこねればすぐに応えてあげる。
あれが欲しいといえば、欲しい理由を考えることもなくすぐに買い与える。
かわいい子どもだからといって、甘やかせて過保護に育てたつけは、遅かれ早かれ必ずやってきます。

どうすれば我慢できる子どもに育てられるのか。大平光代さんの本から紹介してみよう。
おなかがすいて泣いた時、あわててミルクは作りません。
「ミルクを作ってくるからちょっと待っててね」と声をかけて、台所に引っ込みます。
激しく泣き続けてもそのままにしておき、ころあいを見はからって「お待たせ」とミルクを持っていくのです。そしてその待たせる時間を少しずつ長くしていきました。

抱っこをせがまれた時も同じ。
「お母さんは今、お片づけをしているからちょっと待っててね」と声をかけてから、台所に入ってしまいます。泣けどわめけどそのままにして、10分ほどたってから出て行って「はるちゃん、お待たせ」と両手を差し出します。
でも敵もさるもの、すねて寄ってこない。
「じゃあ、いいのね」私が台所に戻りかけると、ギャーギャー大泣き。
そこで手を差し伸べると、飛びついてきました。
こうしたことを繰返していくうちに「待っててね」と声をかけると、ちゃんと待っていられるようになりました。

長時間ワーワーギャーギャー泣き叫ぶのを聞いていると、抱いてやるほうがどんなに楽かと、何度思ったかしれません。でも負けてしまうと、「泣いたり、ごねたりすれば、なんでもいうことを聞いてもらえる」と親をなめるようになってしまいます。

スーパーへ買い物に行った時もそうです。
買い物中に「ジュースが欲しい」と泣き叫ぶことがあります。
その場で買い与えれば泣きやむわけですが、私は「お買い物がすんでからね」と言い聞かせるだけで、泣かせぱなしにしていました。
とにかく、「あなたのいいなりにはなりません」ということを教えないといけないのですから。
すると子どもはしだいに、泣いても言うことを聞いてもらえないということを自覚するようになりました。

ミルクを飲まないときは、「次はお昼まで飲めないよ、それでいいの」と言い聞かせ、間で「おなかがすいた」といっても飲ませません。はじめは目に涙をいっぱいためて抗議をしていましたが、泣いても無駄だと分かってから、口元に少し力を入れてモグモグ。ミルクを吸うまねなんです。
そうやって、けなげに耐えている様子を見ていると、子供心にも我慢することを理解してくれたようで、嬉しくなります。

私はダメという場合は、ちゃんとその理由を言葉で説明するようにしています。
そして約束したことはどんな小さなことでもきちんと守ります。
「ミルクを作ってくるから少し待っててね」と事前に説明し、その通りにすることで、最初泣き叫んでいた子どもも「お母さんはミルクを持って必ず私のところに来てくれる」ことを学習します。
我慢することと同時に、人を信頼する基礎が培われるわけです。

自分の思い通りにならないことがあるということを自覚できることは大変重要なことです。
我慢することができるようになった子どもは、一つの能力を獲得したのだと思います。
この能力を持って大人になった子どもは柔軟性があります。
人との調和、調整能力としていきてきます。
こういう人がリーダーとして活躍できるのだと思います。
そして現実、現状、事実を受け入れることにつながります。
それは神経症とは無縁の世界に身をおくことにつながります。
(今日を生きる 大平光代 中公文庫より引用)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.04.07 09:51:50
コメント(0) | コメントを書く
[子育て、しつけ、教育] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

森田生涯

森田生涯

Calendar

Comments

森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

© Rakuten Group, Inc.

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: