森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.03.10
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20数年にわたり家庭裁判所で非行少年の事件を担当してきた経験を持つ赤羽忠之氏は、日本の親子関係のなかには対等で健全な葛藤(要求のぶっつけあい)が欠落していることを指摘されている。

「親たちは子どもが幼少のころから親子関係のコミュニケーションを省略し、金や物を与えることによって、その代替えをさせようとする傾向が強い。
親子げんかを上手にすることは親子の要求がぶつかり合う格好の機会であり、相互理解を促す場面であるが、子どもたちはそのような貴重な経験を保障されていない。
子どもたちは発達途上にある存在であるが、一人の人間としては親たちとは対等の関係にあり、相互に言い分を出し合い、一方が屈服させられたり、泣き寝入りをするといった間柄であってはならず、いわば親子がむきあって生活することが重要なのであるが、日本の子どもたちにこのような親子関係が存在していないことが多いように思われる」
「教育」誌 1989年6月号

親に柔順だった子供も中学生ぐらいになると、何かと反発するようになる。
第2次反抗期の到来である。親としては反抗的な態度に驚きを隠せない。
どう対応していったらよいのか戸惑う。
反抗的な態度を見て、なんとか抑えつけて、以前の柔順な子どもに戻そうとする。
でもこれから大人になり、自立していくためにどんな人にでも訪れる通過点である。
なんとか無難に通過させることが重要である。

この時期、親の対応としてはどんなものがあるだろうか。
一つには、親に対して反抗的な言動は決して許さないという「かくあるべし」で、子どもを抑圧する。
こうなると絶えず争いが絶えなくなる。子どもも親も家にいることが苦痛になる。

もう一つは、子どもの要求をそのまま飲んでしまう。
子どもが欲しいというものはなんでも買い与えてしまう。
子どもと対立することを極力避けようとする態度である。
わがままし放題である。でも限界がある。
その限界での親子の対立は悲惨な結果となることが多い。

こうならないためにはどうすればよいのか。
まずは子どもの第2反抗期は子どもが成長するために必ず訪れるものであり、冷静に対応するという覚悟を持つことだ。

次にそのような場面では、子どもの言い分をよく聞いてみる。
最初から頭ごなしに否定してはならない。
子どもの言葉、行動から子どもの気持ちや要望をよく聞いてみる。
でもそのまま子どものいいなりになってはならない。

次に親としての自分の気持ち、要望を整理してみる。
そしてそれを「私メッセージ」で伝える。
子どもと親の思いや意見の違いをはっきりさせて、あぶり出していくことだ。
そして妥協点を見つけていく対話を積み重ねていくことである。

するとある時は子どもの意見を通す。また別の時は親の意見を通す。
というふうに臨機応変に対応できるようになるのではないか。

これは子どもが大人になって、他の人との衝突や葛藤が生じたとき、この親子の対話、問題解決力が生きてくるのだと思う。
そういう経験を積んでいないと、対人折衝力は身についてこない。
このような親子の対話、けんかを避けているとすると、子どもは対人関係の距離の持ち方が分からず、容易に対人恐怖症に陥ってしまうだろう。





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