森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.06.11
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最近は勉強で子供を追い詰めてしまう親がいるという。
代表的な言葉は、 「どうしてできないの」である。
周りの子供たちができているのに、自分の子供ができないと「こんな問題ができないあなたはバカだ」に直結する。
「この問題がこの子にとってどこが難しいのだろう。なぜこんな簡単な問題が解けないのだろう。
どうやったらこの子にもこの問題の解き方がわかるようになるだろうか」という風には考えられないのである。
子供の「今の段階ではできない」という子供の現状を受け入れることができないのだ。
子供を今すぐに、この瞬間に変えてやろうと思ってしまう。

森田理論学習をしていると、これは親が子供を自分の思い通りにコントロールしようとしていることがわかるようになる。
つまり、親の「かくあるべし」を子供に押し付けて、子供を否定して無理やり子供を自分の考えに合わせようとしているのだ。
子供にとっては、 「どうしてできないの」と言われてもどうすることもできない。
それどころか、問い詰められれば問い詰められるほど頭の中は真っ白になる。
そして投げやりになって親に反発をするようになる。
これは、大人の私たちが、日常生活で他人を見て、 「どうしてこんな簡単なことができないの」と言って軽蔑し、批判することと同じことである。

次に子供は、テストで悪い点に取ってしまったとき、親に約束をさせられる。
その成績を見ながら親は、 「どうしてこうなったと思う」 「これからはどうするの」と詰問する。
蛇に睨まれた蛙のような状態の子供は、今までの反省点と改善策を出す。
例えば、 「これからはTVゲームをやる時間を減らして、毎日3時間勉強する」
こうやって子供たちは無理やり約束させられるのである。
その約束を破ると親は容赦なく子供叱りつける。
「あなたは約束を破った」 「やるって言ったじゃない」「それは人間としてやってはいけないことなのよ」約束を破るのは、人の道に反することだと言って、親はそれを厳しく叱る。
子供は言い逃れができない。追い詰められてしまう。

親でも、いったん決めたことなのに三日坊主で終わることがよくある。
毎日の運動が持続できない。つい間食をしてしまう。
禁酒しようと思ってもすぐに破ってしまう。日記をつけようと決めたのに、すぐにやめてしまう。
それなのに自分のことを棚に上げて、子供には完全、完璧を要求してしまうのだ。

親になると、子供のために、こうなってもらいたい。ああなってもらいたいといろいろと手を尽くす。
しかし現実は親の期待通りの成果をもたらす事は稀である。
子供に親の期待通りの結果を望むのは親のエゴではないだろうか。
子供は親のために生きているわけではないし、親の望む人生を生きるわけでもない。
子供は自分の力で自分の人生を切り開いてこそ、生きている実感を味わえる。
親が出来る事は、近くにいて子供を励まし、見守ることだけだ。

親は子供を見ているとつい口や手を出してしまいやすい。
求められていないのに、親が子供のやることに勝手に手を出すことは、子供に「あなたは私がいないと何もできない」というメッセージを伝えていることに他ならない。
それではいつまでたっても精神的に自立できない。自分の人生を生きている実感を味わえない。
代わりに生きづらさを感じながら生きることになる。
自分ではない誰かのせいにしながら、誰の人生だかわからない人生を歩むことになる。

こう考えると、森田理論学習は子育てに活かすためにもぜひ学習する必要があると思う。
森田理論には、人間が生きるということは何か、自立することは何か、人間関係の持ち方はどうあるべきなのか等そのヒントが数多くちりばめられている。
私は学校教育の中に、森田の考え方を取り入れるべきではないかと考えている。
(追いつめる親 おおたとしまさ 毎日新聞出版より引用)





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