森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.04.20
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森田の特殊用語「純な心」の説明と活用方法についての投稿です。

「純な心」は、 素直な感情、直感、第一に湧きあがった感情 と理解しても構わないと思います。森田ではこの感情を大切に取り扱いましょうといっているのです。
どうしてこれらの感情を大切に取り扱うのか。
それは観念主導で事実を否定することがなくなり、精神的な葛藤や苦しみが消えてなくなるからだと思います。

ただし、言うは易く実行は難しいというのが実感です。
なぜ身につけることがそんなに難しいのか。

それは、何が素直な感情、直感、第一に湧きあがった感情なのかが分かりにくいことです。また、その感情はよほど意識していないと、すぐにかき消されてしまうということです。
つまりすぐに「かくあるべし」を含んだ感情に置き換わってしまうのです。
このあたりがきちんと理解できると、これからの人生に大いに活かすことが出来ます。

たとえ話でご説明しましょう。
会社で忙しく働いている管理職の男性です。
今日は子供の誕生日です。
奥さんからいつもお仕事で遅くなるけど、今日くらいは早く帰って来て子供の誕生日を祝ってあげてねとお願いされました。
そうだな、せめて今日くらいは家庭サービスをしようと決めていました。

定時で仕事を終わろうとしていたところ、部下が仕事で大きなミスをしてしまいました。
当然上司としてその対応に当たらなければなりません。
それを放置して帰宅してしまうと上司としての資質が疑われます。
その板挟みの中で、感情が高ぶり部下をきびしく叱責してしまいました。
このようなことはよく起こります。
こんな時こそ「純な心」の活用のしどころです。

この事例をもとにして「純な心」整理してみましょう。
ここでは怒りの感情が湧き上がりました。
この怒りの感情は一次的な感情でしょうか。
ここが間違いやすいところです。一次的な感情とは違うと思います。
では怒りの感情が湧き上がる前の本当の一次感情は何か。
「ええ、嘘だろう。困ったな。どうしたらいいんだ」という気持ちでしょう。
解決策が全く思い浮かばない。
切羽詰まって追いつめられた感情のことです。
この人は、この感情に身を委ねることが大切だったのです。
この感情をしっかりと味わい尽くすということです。

ところが実際には、この段階を無意識のうちにスキップしてしまったのです。
一次感情をスキップすると、「かくあるべし」を含んだ二次感情がすぐに出てきます。二次感情は先入観や決めつけと親和性があります。是非善悪の価値批判をします。そして息をつくまもなく、間違いの多い対応策を選択してしまうのです。

二次感情は、このままでは定時で帰ることはできない。
妻や子供との家庭サービスの約束が守れない。
下手をすると得意先を失うかもしれない。
自分の上司から叱責されるようなことになるかもしれない。
この原因を作った部下が憎い。
腹が立って、勢いのままひどい言葉で罵声を浴びせてしまった。
部下との信頼関係は一挙に崩れてしまいます。

一呼吸おいて一次感情を大事に取り扱った場合は、その後の展開が全く違ってきます。「ええ、嘘だろう。困ったな。どうしたらいいんだ」という気持ちです。
部下を叱りつける前に、部下が仕事で大きなミスをしたというけれどもいったいどんなミスだったの。ミスの内容を詳細に調べるだろうと思います。
ミスの内容によっては、上司である自分が動かなければならない場合もあるでしょう。得意先に出向いて謝罪が必要なのか。電話で済むのか。
製造部署に緊急対応を依頼することが必要な場合もあるでしょう。
あるいは、部下に適切な指示をして事なきを得る場合もあるでしょう。
または、他の人や他部署の人に処理を依頼する場合もあるでしょう。
場合によっては、明日の対応になるかもしれません。
最悪すぐには対応できない場合もあるでしょう。
対応策をいろいろと検討して方針を決定することができます。
場合によっては妻や子供に謝らないといけなくなるかもしれない。
なんとか処理できれば、少し遅れるかもしれないが何とか間に合うかもしれない。
少なくとも部下を罵倒することは避けられたはずです。

一次感情を大切に取り扱うことが出来る人は、森田理論を学習してその意味がよく分かっている人だと思います。ただし、これを身につけることは容易ではありません。立ちはだかる障壁が大きいからです。
これは仲間同士切磋琢磨して身に付けるものだと考えています。





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Last updated  2024.04.07 22:58:37
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