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第二五巻　癩王のテラス/LONG AFTER LOVE

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お父さまに三回叱られた思い出のひとつ目は、小学校四年生のとき。
紗「私、何を思っていたのか、火薬を集めて爆弾を作ろうとしていたんですよ。
『ねずみ花火とかの粉を集めたら爆弾が作れるらしい』と噂で聞いて
花火を買ってきて、全部粉を出して、ビンにつめて。

それがお父さんにバレて『こんなもん作ったら、指飛ぶぞ！』
『導火線をつけたら飛ばへんよ！』と言ったらお父さんは薬指が無かったんですけど
『これな、お父さんも中学校のときに爆弾を作ったら失敗して、爆発して飛んだんや！』」

美「あとの二回は？」
紗「家が土建屋なので裏に什器があって、そこでよくかくれんぼをしたりしていて。
巻き込まれたら危ないからだと思うんですけれども、
ビンタをされて『仕事場に入ったらいかん！』

あとの一回は、東京に行く前、高校一年生ぐらいで家に全く帰らなかった時期があるんです。
そのとき家に帰ったら、部屋に入れられて、いきなり入り口を板でバッテンに打ち付けられて
『ここから出るな！』って監禁されたんです」
美「座敷牢になったのね☆」

紗「窓もベニヤ板を張られて、桶を置かれてトイレに。
『何か用があったら呼べ』土建屋だからなんでもすぐ出てくるんですよ。
すごく長いコードのライトをお父さんの部屋に付けて
『ここのスイッチを押すとライトが光るから。何かあったら呼べ』って
三日くらい監禁されたんです。いきなり凄いことをするお父さんでした」

美「だってそれよりすごいことをやっていたのはあなたでしょう？」
紗「本当にそうなんです☆でも、お父さんもお母さんやお父さんの友達に
話をきいたりすると、すごいことをしているんですよ。
だから私に何も言わなかったと思うんですけれども、やっぱり女の子だから心配…」
国「それもあるんじゃないですか。自分と同じようなことをするんじゃなくてというような」
美「面白いわね☆」

国「お父さんはいま、お近くにおられますか？」
江「いえ、居たら未浄化霊になってしまうでしょう？あの世に行っていますよ。
でもちゃんと見てますよ、いつもいつも」
美「見守ってるのね」

江「紗理奈さんも基本が、とっ散らかって混乱した人だから、
自分で分析があまり出来なくて。さきほども『毎日することは嫌い』とおっしゃるけれども
お父さんのことを毎日思っていらっしゃるでしょう？それはお父さんが教えてくれたんです」
紗「毎日することって、その程度でいいんですか」
江「ほらとっ散らかってる☆」
美「片付けなくてはね☆」

国「毎日お父さんのことを思っているんですか？」
紗「考えていない日もあると思うけれども、忘れないように
お父さんの写真をすごく家に飾っているので」

江「一番尊敬する人で、一番大好きな人で。
何故かと言うと、自分にとって一番強い人でもあって。
強いものに何でも憧れたのは、お父さんに近づくことだから。
『 お父さんに認められたい 』だからやんちゃをして。

やんちゃを表現する方法が常識はずれだったり。
危ない行動をして怒られても、お父さんと同じということが嬉しかったり。
やんちゃをしたけれども、そこにもお父さんへの愛があった」

美「それとね、揺るぎがないお父さんのバックアップがあったから、やんちゃができたの。
もしお父さんが頼りなかったり、優柔不断だったら、あなたもやんちゃはしなかったのよ
揺ぎない後ろ盾がないから」
江「 最悪の時には必ず救ってくれるという安心感 。
だからそのお父さんが亡くなったときはショックだった。
『あの強い人が滅びた』という気分になってしまう」

美「いざとなったら、必ずあなたを守ってくれるという安心感があったから。
それが何にも無くなって、丸裸になってしまったの。
そうしたら自分でどうやって歩いたらいいのかわからないでしょう？」
江「それが読書時期だったんですよ。どうしていいかわからない」
美「そうね？☆」
紗「すごく読んでました、本を…」

江「はっきり言うと、素に戻ったんですよ。それが本当なんです」
紗「それまでの人生は違っていたんですか？」
江「お父さんのおかげ。例えが悪いけれども
『 虎の威を借りる狐 （有力者の力を借りて威張る者のたとえ）』
お父さんの後ろ盾のおかげで強い自分でいられた
そういう妄想を抱いていられた憧れだったし。

でも、お父さんを失った途端に、素の自分を見てしまって『どうしよう？』
最初に『元気いっぱいに見える人は意外に繊細で…』というお話をしたでしょう？
それから『ノーメイクは絶対に駄目』とおっしゃっていたけれども、それはどこかで
『仮面レスラー』と同じ☆」

紗「違うんですよ、それはあまり可愛くないからなんですよ☆」
江「だからそれも、自信のなさでしょう？本当は、弱い。メイクをすることによって
『仮面レスラーのように、強いあたしに、鈴木紗理奈に変わった！変身！』
みたいな感じでもあるし…」
紗「そう…かも…。すっぴんだと、ちょっと気が弱いです」

美「でも、江原さんがおっしゃるように、あなたの本当の姿は、実はそこなのよ」
紗「じゃあ、めっちゃ弱虫やん…」
美「弱いからこそ悩んでいたんでしょう？本当にあなたが強いんだったら
お父さまが亡くなろうと何をしようと、自分でどんどん歩いていっていますよ。
引っ込んで本を読んだりしませんよ。そうでしょう？」

お父さまのメッセージによると、生まれたときから本当に元気でやんちゃさんだったよう。
紗「思い通りにいかないと、自分で壁に頭を血が出るまでぶつけたり☆
『こんなに出てるねん、これでも言うことをきかへんか？』というようなことを
平気でしてたんですって。昔の写真で見ると、絶対どこかに怪我をしているんです。
『何で？』『あんた、自分でやっていたんや』って。可愛い写真が全然ない…」

江「典型的な 天邪鬼 （あまのじゃく　わざと人の言うことに逆らい、意地を張る人）。
小さいときから感性が豊かで、何でもできる子なのに、そういうことを否定したり。
わざと反対の方にいって、褒められると、また褒められない方へいくし
そういった意味で大変だったとお父さんはおっしゃって…」
紗「まさに、本当にその通りです」

江「英語も好きだと言ったでしょう？勉強も何でもできるじゃないですか。
でも、できる自分というのが嫌なんです。どちらかというと、できない仲間の方にいたい。
革命児でもないし、本当に…」
美「革命家が好きだとおっしゃったでしょう？」

江「本当に、そういうことばかり今までの魂の歴史でもやってきたから。前から…」
紗「…これ、怒られる流れ？☆」
鈴木さん、なぜかとても嬉しそうに太一くんに訊ねます。

国「紗理奈さんの、前の人（前世）もそうだったってことですよ」
紗「天邪鬼はまさにその通りです」
江「あなたは本当にすごく出来る人なんですよ。聡明な人だから…」
紗「それはそう言ったら、私がいい方に向かうと思って言ってるんですよね？」
江「違う違う」

紗「本当にそうやって、いいと言われることが…」
江「そう思われることも嫌なんですね。面白い人だなあと思うんだけれども
『ワル』とか『駄目だ』とか言われる方が好き」
紗「そうです☆それは何かきっかけがあったのではなくて、昔からだと思うんですけど…」
美「生まれる前からよ☆」

紗「少数の方に惹かれるんですよね」
美「反権力派、反権力志向なのよね」
紗「例えば、ＡチームとＢチームがいて、Ｂチームの方が明らかに人数が少なくて
闘志を感じたら『行け！Ｂチーム！』」

美「日本人というのはそういうところがあるのよ。 判官びいき （はんがんびいき
弱者や敗者に同情し、応援すること）っていうの。義経がそう。
お兄さんの頼朝の方が権力者で鎌倉幕府を引き継いだくらいにまともで正統。
でも、みんなあっちの方は好きじゃないの。

九郎判官義経といって、義経の方がどちらかというと落ちこぼれの方よね。
そっちの方が好きで、判官びいきというのは日本人の特質なの。
だから、日本人の典型じゃない？☆」

☆　「仮面」という言葉は、美輪さんもお好きでご覧になっているという「格付け」番組に
鈴木さんと同じくご出演の青木さやかさんのときにも。
こちらも親御さんとの関係が鍵のひとつのようでした。
「オーラの泉・仮面の理由１・青木さやかさん」

明日に続きます。

***
フリーページにこれまでの「オーラの泉の日記」リンクを作りました。よろしかったらどうぞ。

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