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4月30日火曜日。旅も最終日になっていた。高知城を巡ったあと、飛行機のフライトまでの時間と方向も考慮した結果、県立美術館が最適ということがわかった。土佐電鉄のごめん行に乗って美術館前で下車し、葛川を渡って美術館へ。まず美術館の建物と敷地が広大なのに驚き、次に建物の周りに水の回廊が作ってあって水が流れているのに目を見張った。折から高知の暑い陽射しを浴びて水はキラキラと輝き、まるで南仏みたいだった。(南仏に行ったことはないんだけど絵画で観た印象) 巨大な美術館では常設展がシャガールがメインで企画展はフィンランドのガラス製品を見せるイッタラ展を開催していた。飛行機の時間があるので常設展だけにした。好きなシャガールの割と小さな作品が一室に30点ほどまとめられていて素晴らしかった。シャガールの大作はマイホームミュージアム川村美術館にもあるがこれだけの数が揃っているのは珍しい。バレエ「ダフニスとクロエ」を作品にしたものでお馴染みシャガールの色使いや独特の現実空間とは異なる構図の絵が豊富にあってとても楽しめた。 1階ロビーにはフランク・ステラの大作が展示されていてちょっと親しみを感じた。ステラは川村美術館にいくつもあって馴染んでいる。美術館を後にして今度はリムジンバスで高知龍馬空港に向かった。連日のタイトなスケジュールと今日の暑さに疲労感を感じ、ロビーで大休憩。土佐の柚子ジュースや馬路村のゆずゼリーを食べまくった。 よさこい鳴子踊りの鳴子無事、四国思い出ツアーが完了しそうで大いに安堵した。再びこの地を踏む日は来ないような気がするが、行きたい所は全て訪ねたのでもう思い残すことはない。
2024年05月03日
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2月11日日曜日。田浦梅林までは快調だったが、梅林を降りて最寄り駅に行くのに手間取った。JR田浦駅と京急東逗子駅、按針駅などの関係がわからなくてJRに出ようと思っているのに逆方向に延々と歩いてバカみたいだった。ホントに方向音痴な私だ。やっとのことでJR逗子駅まで戻り、バスに乗って葉山の神奈川県立現代美術館葉山に行くことができた。 外観7ここは海がすぐ近くでとても伸び伸びして大好きな美術館だ。海が借景だ。特別展は芥川龍之介だった。古い時代の絵画や古書、書道が多くてみるからに古色蒼然としていた。一通り見た後は外に出て散策路を歩いた。色々な作品が野外にあって面白かった。 野外の作品 イサム・ノグチ こけし素敵なカフェがあったのでコーヒーとケーキでも楽しみたかったが時間の都合で諦め、再びバスに乗って葉山ヨットハーバーなど洒落た街を眺めながら逗子駅に向かった。山、海、花、美術と好きなものをのんびりと巡って私らしい過ごし方ができた一日だった。
2024年02月12日
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5月28日日曜日。今日はかねてから一日ゆったり過ごそうと日時をあけていた。どこに行くか考えた末に佐倉の川村美術館と臼井の染井野温泉にした。川村美術館は「芸術家たちの南仏」という企画展をやっていて、昨日の成田山と同じくここもすごく来館者が多かった。常設展も作品の入れ替えがあって新鮮だったが企画展が素晴らしかった。南仏に住んで活躍した沢山の画家を取り上げて項目ごとに展示してあり、大規模だった。大満足だったのはピカソ、マチス、シャガールの作品がこれまで経験したことない膨大な数が展示されていたことだ。これら3人の大巨匠の作品をこれだけ集めて展示するのは容易なことではない。すごく感激した。長い時間をかけてじっくり解説を読み、こころゆくまで作品を観た。 企画展のポスター マチスの切り絵 川村美術館外観 エントランスの作品の前で美術館で心満たされた後は臼井の澄流(すみれ)という温泉に行った。初めての場所で地元習志野市のスパリゾート「七菜の湯」よりはこじんまりしていたが温泉なのがよかった。茶色をした源泉かけ流しの染井野温泉といい、やや熱めで体が温まった。驚いたことバネ指で強ばっていた中指が軽くなって曲げ伸ばしが少し楽になっていた。やはり温泉の効果はあるのだ。いろいろな種類の温泉にゆったり浸かり、すっかり寛いで休日を過ごした。
2023年05月28日
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身曾岐神社を後にして、はるかに北岳や八ヶ岳を望みながらから広い道路まで引き返し、反対側の山方面に少し登った所にある小淵沢絵本美術館に移動した。ここはこじんまりした個人美術館で青空をバックに白樺を配した洒落た外観だった。内部は広くはないものの、レイアウトが巧みで小部屋、階段など全面を活用して膨大な絵本が展示してあった。とてもセンス良くてそこにいるだけでも居心地がよく、寛げた。ターシャ・チューダーの常設展もあった。 絵本美術館外観 内部の展示絵本だけかと思っていたのに最後の部屋には押し花作品も展示してあった。地元の押し花作家の愛らしい作品が部屋いっぱいに展示されていて、とても勉強になった。 押し花の作品 美術館の真正面に鳳凰三山が広がる全てを観終わった後、ロビーでホットリンゴジュースを頂いた。この美術館は30年前に開設されたということだが今は亡きその開設者の娘さんが温かくもてなして下さった。とても居心地よくほっとできる美術館だった。
2023年01月30日
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11月26日土曜日。伊豆の城山にクライミング予定だったが、朝からの雨で中止になり、一日暇になった。でも幸いにも午後には雨も上がったので久しぶりに佐倉市の川村美術館に出かけた。 紅葉に彩られた川村美術館 広い野原に独り佇む彫刻 ムーア ブロンズの形態企画展はマン・レイを取り上げた「マン・レイのオブジェ」が開催中で丁度ガイドスタッフの説明を聴くことができて勉強もできた。マン・レイは20世紀にアメリカとパリで活躍した芸術家で絵画・写真・オブジェ・映画なと多方面で活躍した芸術家である。難しい理論や技法など全くわからないけど、その斬新な着想や発想にはとても刺激され、熱心に観た。 マン・レイ展 ポスター セルフポートレート ソラリゼーションという特殊な写真技術で撮られている アストロラーベ(天体観測器) アングルのバイオリン(女性は彼の愛人) ミスターナイフとミスフォーク 贈り物興味を惹かれる作品が多かったので思う存分に観て回った。外にでたら午後3時半頃になっていたが、日本庭園を散歩した。紅葉が随所に美しく庭に点在して素晴らしかった。 モネの池の紅葉 池の周りで毛づくろいする白鳥 紅葉人はもう誰もいなくてゆく秋の風景を独り占めしてこころゆくまで堪能した。自然と芸術を愛する私にとってこれ以上の至福があろうか?今日も良い日だった。
2022年11月26日
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15日のブログにドライフラワーのアレンジメントをアップしているが、そのバックに写っている書を目に止めが方がいらっしゃるだろうか。以前、アメジストセージをアップした時に放浪の達人さんからその書について何と書かれているのか知りたい旨のコメントを頂いた。この書は3メートル四方もあり、大作で著名な書道家が書いたとても立派なものであることはわかるが、どなたから何時頂いたのか、なぜここにあるのかなど詳細は分かっていない。創立75年の古い中学校なので昔のことはもうほとんどわからない。なのでせめてこれが何なのか調べてみたところ、中国明代の詩人王越の作品であるということが判明した。★漢詩原文 山下夕陽 芳草路 橋辺水流 落花村★読み下し文 さんかのせきよう ほうそうのみち きょうへんの りゅうすい らっかのむら★意味 山の麓の芳草の生える道に夕日が射し、川の橋を渡ると落花の村につうじる。書を書いた人の署名もあるのでグーグルレンズで調べたが出てこなかった。検索では漢詩そのものは漢詩の分野では出てこず、書道の展覧会やお手本の分野で引っかかって出てきた。漢詩なのでとても歯切れよく読むときびきびしている。こんな立派な書が飾ってある私の職場の玄関は格調高い。
2022年11月16日
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7月26日火曜日。登山は終わったが旅は続く。山形駅に早く到着したのでかねてより訪ねてみたいと思っていた山形美術館を訪ねた。山形駅から近く徒歩15分ほどで到着。正面に重厚な和風の建物が見えた。案内パンフによると山形美術館は「幅広い県民の美術館」という理念の下、まだ地方に美術館の少なかった1964年に開館し、現在の建物は地域性と近代様式をマッチさせた多層民家風3階建で1985年に完成したものである。日本及び東洋美術、フランス近代美術、そして山形の美術を3本の柱として調査研究・収集展示を行っている。 山縣美術館外観 戸外の展示作品中に入ってまず高レベルな収集作品に驚いた。「巨匠の広場」と題された中央にはロダン、ブールデルなどの彫刻作品がすぐ目の前手が届きそうな近くに惜しげもなく展示され、ルオーの「告発されたピエロ」がそのうす暗い色調と意味ありげなまなざしでこちらを見つめていた。もう惹きつけられてしまい、近づいて見入った。魅せられた。 モネ 睡蓮 ルオー 告発されたピエロ (画像は2点ともパンフレットのコピー)吉野石膏会社が寄贈した吉野石膏コレクションと呼ばれているコレクションでモネ、ピサロ、ルノワールら印象派の作品と服部コレクションと呼ばれるピカソ、ルオー、シャガールなど好きな作品が次々と登場してきたので私は大興奮してしまった。山形でこんな上質の名画にたくさん会えるとは予想もしてなかったのでとにかく喜びに満たされた。更に驚いたのは日本及び東洋美術を集めた長谷川コレクションだ。与謝野蕪村の「奥の細道図屏風」渡辺崋山、谷 文晁、松尾芭蕉など江戸期の狩野派・文人画・丸山四条派の日本画が揃っていたことだ。いずれも歴史や美術史に登場する人物でその作品が現実の目の前に並んでいるのだ。紅花豪商で山縣銀行の長谷川家から寄贈されたものだという。とにかくその歴史的・美術的価値の高さとそれを300点も寄贈した長谷川家に尊敬の念を覚えずにはいられなかった。要するにこの美術館はほとんどが寄贈作品なのだ。これが山形県人の魂なのだろうか。 与謝野蕪村 奥の細道図屏風最後に2階に上がっておまけにみた「ますむらひろし」展もこれまた素晴らしかった。以前、両国のすみだ北斎美術館で葛飾北斎の絵におかしな猫を登場させてパロディっている失礼な人という印象だったが、その人が米沢市出身のますむらひろしとは知らなかった。彼の全容を把握すると北斎のパロディと思っていた作品が全く異なる作品に見えてきたから不思議だ。北斎以外にも宮沢賢二の作品を題材にした作品もあり、「銀河鉄道の夜」の作品は幻想的でイメージが銀河に広がり目を見張った。作品がどれもすごくていちいち感心してみているうちに予想外に時間が過ぎてしまっていた。最後に「ブローニュの森」と言う洒落た名前のカフェで寛いで美術館を後にした。
2022年07月30日
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7月18日三連休最後の日は朝からそこそこ晴れて暑い時間もあった。午後、娘と両国のすみだ北斎美術館を訪ねた。Jr両国駅から近いので割と気軽に行けるのが有難い。 すみだ北斎美術館 外観 展覧会ポスター 近くにはスカイツリー展示は3階と4階に分かれ「鬼とは何か」「鬼となった人、鬼にあった人」「神話・物語の中の鬼」「親しまれる鬼」の4章構成で145点の作品が展示されていた。怖い鬼、哀しい鬼、ユーモラスな鬼など鬼を多面的に掘り下げていて、これまで一律に「おに」だったのが分類されてすごく理解が深まり、整理された。どの作品も北斎らしい精密さと大胆さに溢れて魅力的だったが、特に初公開された肉筆画「道成寺絵図」と鋭いデッサンとすっきりした構成の「角大師と蝸牛図」が心に残った。 百物語「笑いはんにゃ」 琵琶に白蛇図(原画フリーア美術館蔵)
2022年07月19日
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ほとんど毎日ウォーキングをしている。登山の翌日は全身の筋肉が強張っているのでそれをほぐすため、普段はデスクワークで肩や首回りに腰も硬くなりがちなのでほぐすため、そして自然の中を一人でのんびり歩くのは気分転換もできて最高のリラックスタイムになる。花や植物が好きなのでずっと花ばかりを撮り続けてきたが、玄関周り・門などに可愛い動物や奇怪な動物や素敵な飾りがかなりあることに気がつき、最近はその写真も撮っている。今日は撮りためたものの中からいくつかを紹介します。 可愛い犬や子猫 このお家の住人は愛犬家・愛猫家にちがいない 7人の小人に少女や天使 きっと和やかなご家庭に違いない ちょっと東南アジア系(?) こんな怖い怪獣ならどんな悪物も悪霊も侵入不可能
2022年06月11日
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5月13日金曜日。本来なら13日から14日は小川山にクライミング予定だったが、この二日連続の雨で中止になった。朝は夫を病院に連れていき、午後は雨も激しくはないので東京都現代美術館へ出かけた。この美術館は長く休館していて入れなかったので久しぶり。最寄り駅は地下鉄清澄白河駅なので自宅から1時間程度で行けるのが手軽でよい。13日の金曜日の上、雨も降り続いて入館者は少なくてひっそりしていた。贅沢に広がった空間をのんびりのんびり作品を観て回った。「光みつる庭」「途切れないささやき」というテーマで様々な作品が展示されていた。いつも行く川村美術館とは大きく異なった美術館だ。 超モダンな現代美術館エントランス ポモドーロ 太陽のジャイロスコープ マルタ・パン 裂けた球体 テーマに沿って様々な作品があったのだが、この超大型で立体的作品がすごく面白かった。小豆島の海と空を題材にした作品で外観は青い球体で下が開いていてそこから球体の中に入って鑑賞する。中には小豆島の青い海と島の自然が描かれている。とても新鮮だった。私自身小豆島は訪ねたことがあるので納得した。 巨大な球体の外観 中に入って上を見あげるとこんな風景が広がっていた展示の終わりには映像作品も登場した。そのうちの一つはかって瀬戸内海の現代アートの聖地・直島で見た電光作品だった。数字の1から順番に永久に電気がともるユニークな作品ではっきり記憶がある。他にも直島で見たリー・ウーファンの作品も何点かあって馴染みがあった。美術はやはり頭や知識ではなく何度も見て作品に親しむことが理解を深めることに繋がると感じた。 1から順番に電気がついて赤くなった字が永久に連続する・・・何を示唆しているのか?一通り見た後はカフェに入って寛いだ。広々した室内に人はまばらで快適な空間が広がり、眼前にはアートの巨大な白い壁が広がっている。日頃あくせくと暮らしているので、たまにこうして美味しいランチや自分じゃ作らない洒落たドリンクで優雅な午後を過ごすささやかな贅沢があってもよい。
2022年05月13日
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4月12日火曜日。本来なら今日は篠原ガイド・歌子ガイドとスーパータコやんというマルチルートに行く予定だった。彼が急逝してしまい、こんな最高のクライミング日和にも関わらず岩登りに案内してくれる彼は永遠に不在だ。午前中グズグズしていたが思い切って佐倉の川村美術館を訪ねた。結果的に良かった。この美術館は長い間改装中でクローズされていたのがこの4月から開館されたばかりだ。ここで新しい企画展「Color Field 色の海を泳ぐ」を見てすごく刺激され、好奇心と興味が湧いてきて夢中になり、しばし哀しみを忘れていたからだ。 美術館と池 ケネス ノーランド あれ フリーデル ズーバス 捕らわれたフェニックス 野外の彫刻 フランクステラ リュネビル 佐藤忠良 緑近現代の新しい作品をみているとあんなに好きだったシャガールやマチスなど旧来の作品が色あせてみえるから全く不思議だ。この感覚は何なのだろう。
2022年04月12日
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7月7日水曜日。昨日から降り続いていた雨が小やみになり、陽ざしも出てきたので娘と佐倉市のDIC川村美術館を訪ねた。この美術館は施設工事で半年ほど休館していたのでホントに久しぶりだ。これまでは一人で電車で行っていたが、今回はナビを調べて車で行ってみた。京葉道路を使って何とか行くことができた。せっかくナビ付の車なんだから少しづつ出かけて慣れて使いこなしたい。 美術館はコロナ対策万全で入場も予約制なので13時からの予約を取って13時過ぎに入館した。リニューアルと言っても施設工事らしくて展示会場は以前とほとんど変化なかった。展示作品が多少入れ替えされていて、見たことのない作品を何点か見れてよかた。 川村美術館外観 エントランスのステンドグラス 入り口にある像 のんびりと全館を見て回った。ロスコルームはじめ20世紀の現代アート作品が豊富に展示されているので視野が広がる。どうしても印象派前後の好きな作品ばかり見てしまうが、時代はどんどん進み、新しい潮流が流れている。感覚が古くならないよう様々な作品を観て刺激を受けたい。 巨大な作品 ずっとここにある 通路から見る美術館 池の噴水の向こうに美術館 一通り見て回った後は外の庭園をそぞろ歩きした。雨は完全に上がりすごく蒸し暑くなってきたので、木陰を探して歩いた。小径には私の為に植えてくれたと言わんばかりに私の好きな花が沢山咲いていて心から癒された。この庭園の造園者は誰か知らないけど、とても素晴らしいといつも感じている。 大賀ハスが艶やか 半夏生がある。さすが! もう吾亦紅も咲いていて驚き 女郎花 桔梗 ヤマユリが園内随所に咲き乱れて
2021年07月07日
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六月最後の日30日水曜日、仕事は休みだが朝から曇り空でいつ雨が落ちてきても不思議ではない空模様。イマイチ気分がスッキリせず、出かける所もなくしたいこともなく、淀んだ気分だった。でもこのままいても何も良い事はなく、後悔するだけだからと考えを巡らせ、市川市の東山魁夷館を訪ねてみることを思いついた。これなら雨が降っても支障はない。京成線に乗って中山駅まで行き、あとはとぼとぼと歩く。中山法華経寺の境内に入って堂宇を巡っていき、池の先を出ると市街地になってしばらくすると到着した。洒落た案内表示があって方向音痴の私でも迷うことなく行けた。記念館は建物そのものから素敵だった。魁夷の人間形成、芸術の方向性両面に影響を与えた留学の地、 ドイツに 想をえた八角形の塔のある西洋風のとても洒落た建物だった。入り口には魁夷の言葉やブルーのエンブレムのような旗が出迎えてくれた。 市川市東山魁夷記念館 歩み入る者にやすらぎを 去り行く人に しあわせを 魁夷館内に入るとすぐモーツアルトのピアノ協奏曲第23番2楽章のあの心に染み入る旋律が流れていた。魁夷がこれを聴いて白い馬が心に浮かび上がってきたというあの名曲である。すっかり気持ちが落ち着き、澄んだ心になって絵や解説を見て回った、展示は1階と2階に分かれていて、大作はないが名作が揃っていた。千葉県の鹿野山の山並みを描いて世に認められた「残照」「道」が展示されていたし、東山芸術がどのようにして形成されていったのか人間東山の一生がパネルで分かりやすく展示されていた。常に自分をみつめ、修行僧のような生き方は静謐な絵を生み出し、沢山の人に感銘を与えている。静かな湖に月の光が湖面を照らす彼の絵は心そのものの気がして、私はすごく好きだし共感する。八角形の素敵な休憩室で蔵書を見ることもできた。一通り観賞した後は「魁夷の森」に降り立ってドイツトウヒや白樺の小道を歩いてみた。一面緑に覆われて彩りはなかったが何とも言えず感じのよい小さな森だった。 八角形の休憩室 画集や刊行された本を見ることができる 魁夷の森魁夷の森を見ながらくつろげるカフェレストランがあったので、雨が気にはなったものの中庭に席を取ってゆっくりランチして寛いだ。雑多な日常と街の喧騒を離れて精神世界を探すことができる別世界だった。 魁夷の森からカフェレストランを望む 魁夷の森を見ながらランチ
2021年07月01日
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戸隠山登山がお天気敗退で早く下山し、神告げ温泉で温泉に入り戸隠蕎麦を食べて長野駅に午後2時に到着。早朝2時起床だったのでかなり眠かったが、長野県立美術館と東山魁夷館を訪ねた。県立美術館は善光寺の北口にあり、リニューアルされたばかりで近代的な建物だった。付属する魁夷館とは空中回廊で結ばれていて、どちらも自然と調和した魅力的な美術館だった。 長野県立美術館 東山魁夷館 二つをつなぐ空中回廊 回廊の下は水が流れている時間に制限があるので東山魁夷館に先に入った。一言でいうと非常に素晴らしく感銘を受けた。彼の沢山の作品が展示されていて、これまで見たことのある作品も初めての作品も心に訴えかける力を持っていた。空間が広々としていてとても落ち着いた気持ちになって観賞できた。 展示室(HPより) リニューアル時のパンフレット彼の絵がどのようにして描かれたかを時代を区切って解説するDVDがあったのでそれを見た。これまでろくに知らなかった魁夷の人生を知ることができ、彼の絵を見るときに感じていた精神性がどこから来るものなのか少し解明できた。中でも画面に白い馬が登場するようになったいきさつには大いに心を刺激された。モーツアルトのピアノ協奏曲第23番を聴きながら絵筆を進めていた時、ふっと心の中に白い馬が浮かんできたというのである。そしてその白い馬は彼自身であり、風景の中に存在する魁夷の魂の象徴として白馬が登場してくるのである。このモーツアルトのピアノ協奏曲と絵の結びつきは天の啓示のように思われた。改めてモーツアルトはすごいと思った。 白い馬 シリーズ 信濃の自然を題材にした作品が多い すごく満ち足りた気持ちで美術館を後にした。また訪ねたいと思った。(画像はDVDです)
2021年06月27日
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6月9日水曜日に映画「HOKUSAI」を観てすごく感銘を受け、気持ちを鼓舞された私は午後、その興奮が冷めやらぬ間に両国のすみだ北斎美術館を訪ねた。両国は娘が住んでいるため、あちこちよく行ってるのにここだけは行ったことがないという迂闊さだった。両国駅東口から10分ほと歩くと超モダンな建物が見えてくる。すみだ北斎美術館だ。著名な建築家妹島和代さんによる設計で、この辺りに北斎が住んでいたのでそのゆかりの地に建てられた。折から真夏のような日差しの中に美術館前の公園は子ども達の遊ぶ姿に溢れ、それが美術館のスリットに写り混んでいた。映画の半券を持っていたので入館料が20%オフだった。 妹島和代設計 すみだ北斎美術館 スリットの向こうは公園 四方にスリットが入っていて外の世界とつながっている美術館の4階に北斎の作品が展示されていた。綿密な解説があり、彼の歩んだ道が良く理解できた。彼は墨田区のこの辺りに生まれ、生涯の長い期間に渡ってこの下町に居住した。大の引っ越し魔だったがそれは家の中を片付ける暇がもったいないので引っ越したらしい。家の中も書き損じの紙とか丸めて投げ捨てても無頓着で雑然としていたようだ。そこまでして寸暇を惜しんで絵を描き続けたのだ。一生涯に3万点の作品を残している。また人生50年の時代に90歳まで生きている。旅が好きであちこちを旅し、晩年には小布施に住んでいたが、江戸から小布施は120キロ、それを徒歩で80歳代の老人が何度も往復している。交通が便利な現代でも私の住む千葉から小布施は遠く、一度行ったらもう行っていない私のことを考えれば、北斎という人物の凄さが伺える。膨大な展示物から彼の多岐に渡る分野の才能を感じた。ヨーロッパの美術や音楽に多大な影響を与えた真の美の巨人・北斎を再発見した。 エントランスの凱風快晴 しりあがりサン北斎サンの展示
2021年06月11日
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11月28日朝から雨がしとしと降っている。職場に着くと校門脇の花壇に菊がこんもりと丸く咲き誇っているその上に傘がさしかけてある。思わず凄い!!と声を出してしまった。何というアイデアだろう。この雨に叩かれると花が傷んでしまうし色も落ちる。きっとこの前庭を管理しているボランティアの皆さんの発案だろう。花を愛する人の気持ちを感じた。 雨の日 晴れの日 白とピンクのミックス菊
2020年11月28日
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10月31日ドレスデン半日観光の日、大急ぎで美術館を回った。時間が限られていたのでガイドを雇ってロスタイムのないよう手際よく見て回った。 美術館入り口最も有名なところではフェルメールの大きな作品「やりて婆あ」だ。 フェルメール 遣りて婆あそれ以外にも有名な作品が沢山あり、ガイドも次々と案内し次々と説明してくれた。 美しいビーナス 聖母子 宗教画が多かったが、貴族の肖像画も。 バベルの塔急いでみて回ったので絵画のタイトルなどあまり覚えられずもったいなかった。
2018年11月12日
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11月8日仕事が休みだったのでかねてより観たいと熱望していたルオー展に思い切って出かけた。パナソニック汐留ミュージアムという初めての場所で、知っているつもりの新橋で下車したら全く方向が掴めず四苦八苦、疲れてしまって結局はタクシーで行った。新橋駅から410円!!。要するに近いのに道がみつけられなかったのだ!!平日にもかかわらず美術館はかなりの人が入っていた。作品が作品だけにざわめきや話し声は全くなく、みんな無言で観て回っていた。 パンフレットの絵 サラ 聖心 キリスト 入り口すぐに「ミセレーレ」連作が展示されていて、ルオーの神髄を見た。この作品は白黒の銅版画で人の生きていく苦しみ、悲しみを描き、それを救うのは愛であるというテーマが流れている。凝縮した表現に魅せられた。次はキリストの顔だけを描いた聖顔シリーズが登場した。これは更に強烈な印象を与えた。絵の前に立つとキリストの大きな目がじっと私を見つめてくる。彼と1対1で向かい合い、彼に見つめられて何とも表現できない気持ちになった。自分の心の奥深くを見つめられている気がした。 聖顔(絵葉書を写したものです)ルオーはトリノの聖蓋布に写し込まれたキリストの顔を土台に聖顔を何作も描いているが、そもそも磔刑で亡くなったキリストの顔を包んだ布に本人の顔が写しだされているということ自体、信仰心のない私には信じられない。悲しいような励ますような戸惑うようないろいろな表情に捉えられる。他にはベロニカという作品がすごく美しく慈愛に満ちた表情で際立っていた。ベロニカはキリストが十字架を背負ってゴルゴタの丘をうめきながら登っていた時、彼に汗をぬぐう布を出した女性だとされる。 ベロニカルオー後期の作品はキリストと民衆の幸せな風景が描き出されていて、色調も温かいものだった。 ステンドグラス 盛り花 キリスト像(これら3つの作品は写真撮影が許可されていたので、実物を写したものです。)ルオーは宗教画家である。日々悩みながらも刹那的にいい加減に生きている私に彼は生きることの本質を見せてくれたような気がした。どんなに悲しく辛い生活の中でも愛があれば生きていける!!。なのに私には愛がない!!。
2018年11月08日
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ヨガスクールの帰りは新宿駅サザンテラスに立ち寄ってほっと一息つくのが習慣になっている。昨日もサザンテラスに寄ってみたら、これまで無かった花のオブジェが目立っていた。早速近寄ってみると生の花ではなく人工の花を沢山組み合わせて造形してあった。 細部タイトルは「Heart of Flowers」ハートのシルエットを彷彿させる3つの円柱で構成され、花や葉、木々など植物のいろいろな表情をとらえて、あらゆる角度から楽しめる作品になっている。素材はバラ、カーネーション、アジサイなどが判別できた。デザインはニコライ・バーグマン。彼はデンマーク出身のフラワーアーティストでスカンジナビアンスタイルのセンスと細部にこだわる日本の感性を融合させたデザインとカラーグラデーションが印象的なフラワーアーティストで、日本でもいくつもショップを展開している。関わる人によって花は様々な顔を見せ、表現も多様だ。花を見たおかげで気分が良くなり、ヨガで疲れた体もちょっと元気が出た。
2018年03月02日
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金沢21世紀美術館もずっと行ってみたいと思い続けていた美術館である。金沢城から歩いていける距離にあるのが嬉しい。既に沢山の人が美術館の外や中で動いていた。この美術館は円形で透明かつカジュアルでとても親しみ易かった。通常の格調高く作品に触れることはまず禁止の美術館とは異なり、館内を通り抜けることもできるし、入口も多いし、作品の椅子に腰かけることもでき、美術館といういかめしい垣根を取っ払った雰囲気が新しい。現代作品がメインだがとにかく意表をつく面白い作品が多くて童心に返って楽しんだ。作品を見て真面目になったり身構えたりするのではなく、寛いで心を開放させる力があった。美術館の設計者はSANAAという男女二人のユニットで、私はその男性建築デザイナー・西沢立衛さんが好きだ。小豆島でもその作品に触れて感激した。金沢21世紀美術館外観 屋外の作品 色の重なりで風景の色も変化する 外はクラゲ、中には別の模様が浮き出ている 蓄音機みたいなオブジェが随所に プールの下にいる人を上から見る 甲虫を集めた作品
2017年07月29日
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1月10日初出勤。退勤後、今年から新しく始めた習い事に行った。60歳で定年退職後、登山一筋できたが、体力も衰えてくるのでこれからは体力が無くてもできる趣味を何かひとつ持ちたいと考えていた折、押し花の展覧会を観に行ったらその会を主宰する女性が近くで教室を開いていると知り、体験入学を申し込んでいたのだった。今日がその日である。ワクワクしながら出かけた。参加者は5人、私以外全員が一目で70歳代とわかる女性3人に男性1人だった。私だけが初めてで皆さんは慣れた方ばかりだった。今日は既にできている押し花を使って葉書に押し花を貼る入門課題に取り組んだ。 皆さんの作業 私の作業花を選んでデザインを決め、レイアウトし、それを葉書に乗せていくなど手順がいくつもあり、先生の指導に従って取り組んだ。押し花が小さいしデリケートなのでそれを切ったりレイアウトしたりするのはピンセットを使ったが、細かい作業でなかなか簡単にはできなかった。でも次第に慣れてきて集中してできた。乾燥させた花の色がとても美しく観ているだけでも癒された。頑張って5枚を制作した。初めてにしては上出来だ!!。 本日の作品 葉書5枚何とかできそうな気がしたので最後に正式入門を申し込んだ。月2回1回が2時間という負担のないお稽古なので気分転換に丁度良いし、何よりも花が好きなので楽しみが増えそうで嬉しい。
2017年01月10日
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ウイーンには大小、有名無名たくさんの教会がある。その中で最も大規模かつ有名なシュテファン教会を訪ねた。地図を見ながら迷いつつ、何とか自分たちだけでたどり着けた。まずその巨大さと荘重さに圧倒されてしまった。教会前には二頭立ての馬車が並んで客を待ってたし、モーツアルト時代の装束に身を包んだ男性がいろいろな勧誘をしていたし、教会の入り口には物乞いもいて驚いた。アフリカじゃないんだ、芸術の都ウイーンに物乞い!!。シュテファン大聖堂は高さ107.2メートル、幅34.2メートルで、4つの塔を持ち、最も高いのは136.44メートルの南塔である。屋根には様々な色の瓦で、オーストリア・ハンガリー帝国の双頭の鷲、ウィーン市とオーストリアの紋章が描かれていて大きく目を惹く。高く重厚な尖塔がそびえ、モザイク模様が見事な外観は威嚇的に見えた。内部は高い天井に楕円形の梁が何重にも重なり、キリストの受難や関連のエピソードを描いた絵画が壁を飾りまさに神の世界で壮麗そのもの、パイプオルガンも何基もあった。 シュテファン教会正面 教会内部余りの見事さにため息つきながら内陣を回った。さらに天気が良かったので塔の上まで上がろうということになって、エレベーターに乗った。有料で4人位しか入れない小さなエレベーターで塔の上まで登った。スペインやスイスの大聖堂ではすべて階段を自分の足で何百段も昇ったものだったが。中二階のような場所でエレベーターを降り、更に階段を登って最高地点まで着いた。ウイーン市街の景観が広がっていた。ウイーンの街並み 赤い屋根と尖塔が目立つモザイク模様の壁面が手に取るように近くに見えた。どうやってこんな高い場所に瓦を用いてこの見事なモザイク模様を作ったのだろう。驚いてしまう。更にデザインがモダンで色もクリアで目を惹く。塔のてっぺんからの眺めを堪能したついでに、鐘楼の中をのぞいた。シュテファン大聖堂には13個の鐘があり、最も知名度の高い鐘はプンメリンで、吊り下げられている鐘としてはヨーロッパ第二の大きさという。位置が高いし踏み台も無かったので小さな私には十分には見えなかったが、巨大な鐘が見えて満足した。確かスイスやスペインで見た鐘の仕組みは巨大な木組みだったが、ここは木造ではなかった。一つ心残りだったのはこの大聖堂の地下にカタコンベがあって歴代王侯や司教が眠っているらしいのだが、それを見る時間が無かったことだ。
2016年11月25日
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美術史博物館の2階には有名なカフェがある。何しろ館内が広いし、名作ぞろいで興奮して観たため、疲れてしまい、カフェに寄った。このカフェのある建物もまさに芸術品で優雅で壮麗なものだった。まだ朝早かったので人が少なく、ゆったりと赤いソファに座った。ケーキのウインドウを見るとウイーンの代表的ケーキザッハトルテやモーツアルトトルテなど垂涎の的(?)のケーキが並んでいる。迷ったもののここはまずザッハトルテとウインナコーヒーをオーダーした。 ザッハトルテとウインナコーヒーで優雅に 美味しい!!Kマダムといろいろな話ができた。最初ものすごくハイソな雰囲気の女性だったので私とは人種が違うと遠ざかっていたのだが、実像は気さくで頭の回転がよく、語学も堪能、世界各国を旅しているので何でもよく知っている。打てば響く反応の速さで共感することが多くとても楽しい時間が持てた。 このカフェを上から俯瞰した所 モダンで洒落ている
2016年11月17日
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2日目はかねてよりどうしても観たかった場所の二番目美術史博物館へKマダムと二人で行った。Kさんはビオラで出演する娘さんの母親として応援部隊での参加である。カシミアのマントにすらりとした長身、シミ一つない色白の顔と姿勢の良さで宝塚歌劇団の男役のようなカッコよさである。美術史博物館は美術品の収集において、世界で最も豊かで優れている博物館の一つでデューラー、ルーベンス、ティティアーノの作品や世界で最大のブリューゲルの作品群がコレクションされている。とにかくこの美術史博物館は博物館そのものが芸術品な上、収蔵作品が半端なかった。見ても見てもみきれないほどのコレクションでお目当ての作品がどこにあるのか探検したがわからず、結局スタッフに訪ねてそこに直行した。 美術史博物館外観壮麗な内部装飾に圧倒される教科書や画集で見た名作の数々がなんてことないってさり気無さでいたるところにあった。おまけに撮影が許可されているというか咎められないのでみんな本物の絵の前で写真を撮っている。これにはびっくり仰天したが、次には自分も摂っていた!!。 博物館エントランス 最上質の大理石の階段 ベラスケス 王女マルガリータ フェルメール ブリューゲル 雪中の狩 この怖い作品迫力満点あまりにすごいのでいちいちため息や歓声をあげながら館内を見て回った。これだけの美術品を蒐集できたハプスブルグ家の財力を改めて思い知らされた。
2016年11月16日
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2016年11月12日
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10月30日天気が今イチだったのでハイキングに行く予定を変更して娘と佐倉の川村美術館に行った。とっても久しぶりだ。今回は「レオナール・フジタとモデルたち」という企画展をやっていた。小雨模様だったがかなりの来館者で美術館は賑わっていた。まず常設展をのんびり見て回っていつもの作品たちと顔合わせした。 サイロの形をした川村美術館 フジタの作品ガレイアウトされたポスター 佐藤忠良 「みどり」 エントランス前の大作続いて企画展をじっくり見た。フジタについては正確なことはほとんど知らなかった。日本からフランスに渡り、「乳白色の下地」と呼ばれる独自の画面によってパリで一躍時代の寵児になったレオナール・フジタ(藤田嗣治)は最も成功した日本人芸術家だろう。彼の生い立ちやフランスにおける人間関係、モデルたちとの交流など知らないことばかりが濃密に展示されていてとても興味を惹かれた。その最初の妻が千葉県市原市出身の女教師だったというのも以外で急に彼が身近な人になってきた。たくさんの作品を見た中で発見があった。彼は猫が大好きな画家だということ!!。どの絵にもこの絵にも猫が描かれていたのだ。美しい横たわる裸婦の前には猫も一緒に横たわってるし自画像の懐には猫が入っている。いやあ、大発見だった。私の娘も猫が大好きで二匹の猫を自分の子供のように愛しんでいるが彼女はとても寂しい境遇にいるから理解できる。でもフジタのように友人や恋人・妻・モデルに恵まれ成功した人があんなに猫を愛していたというのは意外だった。 展示を見た後、小雨が降っていたものの植物園を散策した。花は少なく紅葉には早く彩りが少なかったが10月桜がはかなげに咲いていた。ご近所の10月桜が無くなって寂しい思いをしていたところだったので、ここで10月桜が見れたのは嬉しかった。 10月桜
2016年10月30日
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9月22日孫たちの運動会に参加した後は娘と二人で近くの江戸東京博物館に寄った。まずは企画展の「よみがえれ!シーボルトの日本博物館」を観た。特に何の期待もせずに入ったのだが、すごく良かった。シーボルトに関してはオランダお稲やオタクサ、シーボルト事件など通り一篇の表面的なことしか知らなかったので、詳細な展示は感心することばかりだった。特に日本の文化・美術・植物・動物・生活など広いジャンルに渡る多量の収集品には仰天した。こんなものをどうやってヨーロッパまで持ち帰ったのか驚くべき多品目に多種類その上高品質の物ばかりだった。日本人だってここまで目がきくひとはそんなにいないだろう。シーボルトは素晴らしい美意識と探求心の持ち主だったと思った。シーボルト展に感心した後は常設展を観た。こちらは住宅や近代建築や橋、ジオラマなど大規模なものばかりで江戸から明治時代、現代に至るまでの展示があった。見学者が多くて賑やかだった。 寄席の席 歌舞伎 団十郎がカッコいい まとい 神田明神の山車 武具
2016年09月25日
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8月5日猛暑日。朝いちで息も絶え絶えの植物に水やりをし、朝食からスイカを食べた。暑いけど娘と一緒に千葉県立美術館を訪ねて面白い作品でも見て暑気を払うことにした。県立美術館は久しぶりである、桜の大木の中から蝉しぐれが聞こえ、向こう側にはポートタワーの尖塔が夏雲の中にそびえている。この美術館は地味でローカル色が強い。今回も千葉県出身の若い造形家木暮奈津子さんの新聞紙で作った海の不思議な生き物展が催されていた。子供のためのという副題がついていたので、気楽に会場に入ったら、1700点もの作品が並んでいて驚いた。一体一体が異なる形と色、デザインで並ぶと壮観だった。色彩が明るくてスカッとしているし、デザインがユーモラスなのに美しい。これを若い女性一人で創ったんだと思うと、少し草間彌生の世界に通じるものを感じた。この創作意欲は並大抵ではない。圧倒された。タコが占める割合が多かった。確かにタコは様々に変容させるにはいい生き物だろうな。 室内の展示では地元画家浅井 忠の作品や関連作品が多数展示されていた。バルビゾン派が主だったがこれらの絵画は総じて暗いので私はあまり好きではない。戸外には彫刻が置かれていて夏の日をサンサンと浴びていた。この「草枕の旅」という作品の動物が何度見ても個性的で実際の動物のどれに当てはめていいのかわからない。ユーモラスなお目目をした右側と凶暴そうなんだけど取り留めのないデザインの左側の動物、一体何で「草枕の旅」なんてタイトルがついてるんだろう。不思議だ。 木村賢太郎 うごめくトルソー 田中 毅 草枕の旅
2016年08月05日
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ゴールデンウイーク前半、クライミングが目的で小豆島を訪ねた。ところが思いがけない収穫があった。訪ねた街の随所に彫刻の作品が点在していたのだ。瀬戸内アートだ。28日に姫路に前泊し、29日早朝に姫路城を観に大手町通りを歩いていくと通りには彫刻作品が勢ぞろいしていてびっくりしたが超嬉しかった。なんて文化度の高い街なんだと感嘆した。 黒川晃彦 「帽子を被ったら歩いてみよう」 山脇 正邦「聞こえる」 朝倉 響子「二コラ」 大桐 国光「夏帽子の少女」 手塚 登久夫「梟家族,89」 本郷 新「裸婦座像」次にフェリー乗り場に行くとここにも大きな作品があった。 淀井 敏夫さらに小豆島に渡っても彫刻が豊富にあった。何しろ小豆島は大阪城の石垣の石を出したという石の宝庫と聞いた。島のあちこちに石の作品が点在していた。福田港に近い路傍に打ち捨てられたように「トルソ」が佇んでいた。その力強い体幹と重量感に思わず魅入った。誰にも注目されずこんな所に寂れながらも存在するのがすごかった。 高松 清作「トルソ」1975 多くを見る事はかなわなかったが、掘り出し物もあった。翌朝、一人で島を散歩していたら葺田神社の中で何と西沢立衛の「フキタパビリオン」の実物に出会ったのだ。西沢立衛は大好きな建築家だ。これまで写真で作品を見たことはあったが、生の作品に接したのは初めてだったので興奮してしまった。 西沢立衛 「HUKITA PAVILION 生えている木をそのまま作品に活かしている パビリオンの内部 子供の靴が脱ぎ捨ててあって、日常的な遊びの場になっている この曲線が何とも魅力的以前瀬戸内海の直島に渡って様々なアート作品に触れたことがあったが、直島だけでなく瀬戸内のどの島もアートの島なのだ。折から瀬戸内トリエンナーレが開催されていたのだが、春の部は既に終了し、次は夏に開催される。秋か冬にのんびり美術作品を観に来るのもいいなあと思った。
2016年05月04日
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11月1日東京駅前の三菱1号館美術館にプラド美術館展を見に出かけた。この春にスペインで本物のプラド美術館を訪ねて大興奮し、刺激を受けていたのでもう一度見たいという思いだった。案内に東京駅丸の内南口から350mと記載されていたので気楽に出かけたところ、うまく見つけられなくて時間がかかった。何て方向音痴なんだ!!。更にやっと入ってみると入館者がいっぱい!!。芸術の秋とはいうものの三菱1号館美術館というようなあまり知られてない(勝手に思っているだけ?)に日曜日の朝早くからこんなに人が集まっているということにも驚いた。 三菱1号館美術館 外観 入り口館内は広い部屋は無く、個別の部屋に小さい号数の作品がたくさん展示されていた。スペインで見た作品もあった。ティティアーノの「十字架を担うキリスト」 エル・グレコの「受胎告知」 ルーベンスの「聖人たちに囲まれた聖家族」 ブリューゲルの「花卉」 アントン・ラファエル・メングスの「マリア・ルイサ・デ・パルマ」 ヒロエニムス・ボス「愚者の石の除去」 コレッジョ「十字架降下」など好きな作品がかなりあったので見ごたえがあったし、楽しかった。 同じ女性? 左は今回見たアントン・ラファエル・メングスの「マリア・ルイサ・デ・パルマ」に描かれているたおやかな女性、プラド美術館にはゴヤの「カルロス4世とその家族」という絵画の中でこの同一女性がカルロス4世の妻として絵の中心に描かれている。顔立ちなどは似ているが、右の方の絵は大勢の家族を率いる堂々たる妃でちょっと雰囲気が異なっているのが面白い。 コレッジョ「十字架降下」 ヒエロニムス・ボス「愚者の石の除去」みんなガイダンスレシーバーを耳にして熱心に学習しながら見るのでその絵の前から動かない。人が溜まっていて前に進めない。私は絵や音楽について頭から学習するタイプではないので感性を頼りにどんどん見ていった。さすがは西洋美術の粋を集めたプラド美術館の作品だと思うものばかりだった。心が満たされて豊かになった気がした。
2015年11月01日
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図書館でおもしろい本を見つけた。高階しゅうじ「ニッポン・アートの躍動」でその表紙になっている作品が非常に独創的で目を奪われた。 本の表紙 橋爪彩「Girls Start the Riot」このような独創的かつ意表をつきながらも美しさが溢れる作品が沢山紹介されている。高階さんの解説が分かりやすいうえ、通常はそこまで捉えられないような作品の深層部まで切り込んでいてさすがと思わせた。作品のタイトルもおもしろいものがあって総合的に楽しめた。いい本に出会えた。 上田 暁子 「あふれて入口、あふれて出口」 谷保玲奈 「出るために見る夢」
2015年10月03日
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登山の後に美術館に寄るのが私にとって最高の幸せである。9月15日、時間に余裕があったので穗高の禄山美術館を訪れた。何度も訪ねているので特に目新しいものはないのだが、その空間にいること自体が至福の喜びであり、魂が癒される。山ですり減らした精神的なパワーが徐々に回復してくる。 穗高駅から愛らしい道祖神を見ながらコスモスの咲き乱れるレンガ道を歩いていくと美術館の尖塔が見える。この小さく慎ましく、禄山の美と人間性の凝縮した美術館は心の故郷のように私を迎えてくれる。 美術館正面 脇面彫刻を見、絵画を見、友人達の作品を見て中庭で寛いだ。この中庭の空間が巧まざる配置で素晴らしい。 戸外の作品 「労働者」 中庭受付の学芸員さんとお隣に建つこれも私のお気に入り・穗高中学校の昔の総木造校舎や尾崎喜八の田舎のモーツアルトの詩などについて話できてとても楽しかった。
2015年09月18日
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ハードな岩登りやアルパイン山行の後はすごく充足しているのに一方で何かが不足している気がする。それは何か?はっきり言語化できないけど美に対する憧憬だろう。無意識に美術館に行きたくなってしまうのだ。同じ美でも音楽会ではなく美術館というところが自分の求めているものの本質を示していて意味が深いと思う。音も出さず話もせず無言でただそこに存在するという対象が必要なのだ。ということで息子を誘って佐倉市の川村美術館を訪ねた。いつも静かな美術館なのに休日のせいかいつもより見学者が多くて意外だった。 川村美術館外観 エントランス横 フランク・ステラの巨大な作品 リュネビル 丁度「絵の住処」~作品が暮らす11の部屋~という企画展が始まったばかりだった。新しい企画展と銘打ってはあるけど、要はこの美術館の所蔵する作品を新しいコンセプトで11に分類して展示しているだけのことではある。馴染みの作品が新趣向で構成されていてこれはこれで楽しめた。息子が飽きないで自分なりに楽しんでいたのもよかった。 芝生の向こうにも作品 ヘンリー・ムーア ブロンズの形態のんびりのんびり歩いて作品を観た後は自然散策路をさらにゆったり歩いて草花を見た。この美術館には数十年に渡って年2回は来館している言わばホームミュージアムだからどこにどんな草花が植えられているかは頭に入っている。今日はあじさいロードや下野草の花並みが見事だった。 緑陰の下には 佐藤忠良の 「緑」
2015年06月07日
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狭い路地を幾つも過ぎるとサント・トメ教会に出る。とても小さな教会で門前には民族楽器を演奏している女の子もいる。日盛りの中から教会内部に入ると最初はうす暗い。こんな小さな教会に門外不出の名画で世界三大名画の一つとされている「オルガス伯の埋葬」がある。エル・グレコの最高傑作とされている作品である。ここでまたツアーリーダーからスリにご注意の警告がある。 サント・トメ 教会外観たくさんの人の波を掻き分けやっと画の正面に進んだ。ものすごく大きく背の高い絵画である。中央にオルガス伯が息絶えており、最上段には聖三位一体のイエス・子・マリアがいる。何ともすごい迫力で絵の世界が迫ってくる。息をのんだ。ちなみに世界三大名画とはベラスケスの「夜警」これはオランダで観た。次がプラド美術館で観たばかりの「ラス・メニーナス」そしてこの作品とされている。一説にはこの「オルガス伯の埋葬」の代わりにダ・ビンチの「モナリザ」になってることもあるようだ。各国からきたガイドがそれぞれの言語で説明をしている。宗教的な高尚な内容で不勉強な私にはピンとこないが、オルガス伯のサント・トメ教会に対する功績と死去したときの神の奇跡についての内容である。 ウキペディア より制作年 1586年 - 1588年 素材 油彩 寸法 460 cm × 360 cm (180 in × 140 in) 所蔵 サント・トメ教会(トレド)すごい、エル・グレコはすごい。このスペイン旅行でエル・グレコを再認識した。このような逸話はともかく彼の描くキリスト像はもはや絵画を越えて神そのものを具現化している。神の存在が迫って来る。不思議な気持になっていた。
2015年04月09日
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4月3日夜10時半のカタール航空便で出発。まずドーハまで12時間余。いい加減足が浮腫んだところで乗り継ぎして更に7時間余、やっとマドリッドに到着した。安いツアーなので飛行機代を安くした分、こんなに長時間かかるのだ。カタール航空を使うのは初めてだったけど客席が多少広いし、食事はまずまず、アテンダントの対応も悪くなかった。 派手なドーハ空港 ガウディの建築を思わせる個性的なマドリッド空港マドリッドに到着した頃は相当疲れていたが見学地は念願のプラド美術館!!。頭のねじをまき直して精力的に観た。美術館前にある王立サンへロニモ教会が正に絵はがきに出てくるように端正で美しかった。 スペイン晴れの空に端正な教会の尖塔がくっきりと天を突く美術館は膨大な作品が展示されていて短時間ではとても見切れなかった。エル・グレコの聖三位一体など多数の宗教画、ゴヤの裸のマハに着衣のマハ、ベラスケスのラス・メニーナス、アンジェリコの受胎告知などこれまで教科書や美術書でしかみたことのない名画がずらり並んでいてもう興奮してしまった。 プラド美術館入り口 側面 これまでエル・グレコの作品など単なる宗教画だと思っていたが、それは小さな写真しか観てなかったからだ。実物は巨大な作品で迫力があり、神に対する畏敬の念や信仰心が強烈に宿っている。もう圧倒された。絵画を越えた精神性に満ちている。ガイドによる全体説明が終わってからもエル・グレコ始めいろいろな作品を走りながら観た。3時間程度で観るのがもったいなかった。ホントに73歳過ぎてハードな登山が無理になったら再び訪れたいと強く念じた。いやあ、実に素晴らしい美術館だ。
2015年04月06日
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藤野の日連アルプスをハイキングした後は八王子の東京富士美術館を訪ねた。八王子駅からバスで20分弱創価大の正門まえに重厚な美術館が建っていた。創価学会の池田大作会長が創立者で経済的に潤沢なのだろう、最新の施設設備にコレクションも贅沢だった。とにかくすごい!! 東京富士美術館入口 ロビー企画展は「とことんみせます!富士美の浮世絵」という企画展をやっていて、本当にとことんという表現がッpげさで無いコレクションが揃っていて仰天した。北斎の富士、広重の五十三次、風景画、美人画、役者絵がこれでもかというほど勢ぞろい!!圧倒的な作品数だった。 浮世絵展 入口でも浮世絵にあまり関心がない私は常設展示のほうが感性に馴染むので、浮世絵をざっくり見て西洋古典絵画をじっくり見た。マイヨールヤロダンの彫刻もいくつかあってよかった。 牧口記念館
2015年03月26日
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精神や感性が縮んできたような気がして久々に佐倉の川村美術館に出かけた。「スサノヲの到来」~いのち・いかり・いのり~という企画展をやっていてスサノオという名前に惹かれたのだ。到着した時、丁度ギャラリートークが始まるところだったので参加した。レシーバーをつけ、学芸員の説明を聞きながら全会場を回った。30人位の人が参加していて、熱心にノートを取る人もいて感心した。スサノヲは荒ぶる自然神というイメージが強いが、うたの神でもあり、文化創造神としての一面もあり、自然と人双方にかかわる神だという。この展覧会は縄文時代から現代にいたるおよそ5千年に渡って現れたスサノヲ的な表象をたどることによって日本人の深層に迫るというもので、1F以外の展示室すべてがその展示に切り換えられている大規模なものだった。スサノヲをルーツとしてその発展や関連作品が膨大に展示され、そのどれもが美しいとか綺麗などの通常の美術作品とはかけ離れていた。その中で目を惹いたのは若林 奮の振動尺1ー4、佐々木誠の木彫、金井南龍の異界のエネルギーに満ちた宗教的な作品、神能面「大蛇」だった。特に「大蛇」という面には驚愕して何度も見た。能面の鬼系面のルーツになっているような面で、その大きさ、怖さ、迫力、額に目が八つもある際立ったデザインに圧倒された。芸術性を剥いでむき出しのプリミティブな荒々しさが突出していた。 若林 勇 振動尺I-IV 佐々木誠 《夜久毛多都》 狩野時信 素戔嗚神(部分 中山琴主 八雲琴 金井 南龍 牛頭天王半跏像心地よいという気持にはなれなかったが日本人なら誰もが知っているスサノヲがこんなにも後生に影響を与えている大きな存在なんだということを知った。
2015年02月23日
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保育所から帰宅するその足で森下駅から清澄白河まで歩き、更に歩いて東京都現代美術館を訪れた。丁度開館20周年記念MOTコレクション特別企画「コンタクツ」Contactsが企画されていたのでそれを観た。全く知らない美術家ばかりだったが、作品はけっこう妥当で納得がいくものが多く、よくある「これが芸術作品?!」と絶句するようなものは無かった。中でも宮島達男の赤色発光ダイオード、集積回路、電気コード。基板、変圧器を使った作品が面白く、テーマがわかりやすかった。暗闇で赤い光が静かに明滅を続け、次々と点滅し、止まり、再び点滅する。発光ダイオードによって光が数を刻み、明滅する数字は生まれては死んでいく生命を象徴しているという。「それは変わり続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」。これが彼の作品の底にあるテーマでとても共感できた。瀬戸内海の直島でも同じような発想の作品を観たことがある。 赤色発光ダイオードが永遠に点滅する現代美術は日常生活に埋没してアルツクライマーになっている惚けた頭と感性を刺激してくれた。肺が新鮮な空気を取り込むように頭にも新鮮な発想が必要だ。 ポモドーロ ジャイロスコープ ヤノベケンジ ロッキング・マンモス パン・マルタ 裂けた球体
2014年12月10日
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劔岳の帰り、松本に着いた時間に余裕があったので、松本市立美術館に立ち寄って草間彌生常設展などを観てきた。かぼちゃ、水玉、増幅する網目など最初は衝撃的だった作品がもう私の日常風景のように馴染んできた。展示作品に変化がないのが少し残念だったが、1個だけ「信濃の灯火」が「傷みのシャンデリア」に変わっていて新鮮だった。シャンデリアが鏡に反射して夢幻に光り輝く壮大な作品だった。 戸外の作品 草間 彌生 幻の華 松本讃歌(草間の作品ではない) 傷みのシャンデリア 消滅する自己 水玉模様のコーラ
2014年09月07日
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清泉寮から清里駅に戻り、歩いて清里現代美術館を訪ねた。現代アートはけっこう見てきて慣れているはずだったが、ここの美術館の作品には頭が混乱した。日本国内では他に例がないコレクションと記載されていたが正にその通りだった。ここの作品を見てしまうとこれまで見てきた現代アート、例えばポラック、ロスコ、草間彌生、 リー・ウーファンなどがクラシックに思えてしまった。 清里現代美術館 本館 別館と外の作品知らない芸術家ばかりだった。戦後最大の芸術家と称されるヨーゼフ・ボイスの作品、アーノルフ・ライナー、そして1960年代に世界規模で展開された芸術運動"フルクサス"関連の作品などを中心に、20世紀最高の前衛作曲家であるジョン・ケージの作品や資料が展示され、床に座って寛ぎ、目と耳で鑑賞を楽しむことができるようになっていた。ジョン・ケージは前衛音楽家だと思っていたが音楽分野を超えた芸術活動を展開していた人とは全く知らなかった。マルセル・ジュシャンの作品が豊富でジュシャンはピカソと類似のスタイルだと思っていた私は全く認識不足だった。 ジョン・ケージの美術作品のような楽譜 本館でいろいろ解説して下さった男性と別館の男性がとてもよく似ている気がしたが、この美術館は私設で兄弟4人が運営しているとのことだった。一般受けしない現代美術館の経営は大変だろうなあと感じつつ清里駅に戻った。
2014年05月26日
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5月18日、これまで数知れず小海線に乗ったけど途中下車してゆったりしたことはほとんどなかった。今回は日程的に余裕があるので小海線沿線の旅をしようと決心した。最初は甲斐小泉にある平山郁夫シルクロード美術館を訪ねた。ここだけは一度訪ねたことがある。ハイブリッドワンマンカーの可愛い電車に乗って小渕沢の次の駅に降りた。 小海線甲斐小泉駅 平山郁夫シルクロード美術館 ラクダ広場はっきり言って平山画伯の作品を見ることより、ガンダーラの仏像に会いに行くのがねらいである。どうしてガンダーラ仏に惹かれるのか分からないがとにかく好きなのである。ギリシャとアジアが融合したハンサムなお顔と筋肉がきちんとついてウエストがくびれている体に惹かれるのだろう。 弥勒菩薩交脚像 2-3世紀 ガンダーラ 仏陀坐像3-4世紀 ガンダーラ 仏陀立像 2-3世紀 スワート こういう仏像に魅入る時、時間が停止して異次元の世界にいるような気分に陥る。岩登り等荒ぶる魂をかかえて冒険している自分は身を潜めて、芸術に惹かれ身を捧げた自分の魂の根源に立ち返る気がする。
2014年05月19日
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三浦アルプスハイキングが昼過ぎに終わったので、葉山にある神奈川県立近代美術館葉山に寄った。この美術館は鎌倉八幡宮境内に鎌倉館があり、そこは見たが葉山までは追えなくて一度みたいと思いつつ行ったことがなかったので、丁度良い機会になった。京急線新逗子駅からバスで18分、海辺をバックにモダンな美術館が建っている。ここは企画展だけで今回は柳瀬正夢(やなせまさむ)展を開催中だった。全く知らない画家だったが、出身が愛媛県というので親しみが湧いた。更に昭和20年没で私が産まれる遥か前の時代に活躍した人にも関わらずキュビズムの様な作品があるし、漫画、俳句など多岐にわたるジャンルで精力的な活動を展開していて、その作品数や膨大な数でそれにも驚いた。 5月の朝と朝飯前の私 更に驚いたのはこの画家はプロレタリア運動を推進する画家だったことで、たくさんの機関誌の表紙や集会のポスターを制作している。「赤旗」以前の絵はほとんど彼の作品だったという。 美術館の外にも作品が展示してあり、そぞろ歩きして楽しんだ。海が静かに広がり、規則的にうち寄せる潮騒の音がとても心地よかった。潮騒を聞きながら美術館を巡るなんてめったにない幸せだ。豊かな環境でゆったり作品を見て心の垢を少し落とせたような気がした。 富樫 一 ハーモニー 2 保田 春彦 地平の幕舎
2014年03月23日
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図書館で婦人公論を手にしたらあざやかな目を惹く水玉のドレスと赤毛のアンのような髪の毛の草間彌生さんの姿を発見。すごいインパクトだ。 改めてよく観察すると表情は童女のようで汚れがなく、とにかく肌が綺麗なのには驚く。シミが全くない!!。芸術的存在感が大きいので姿形も大柄のような印象があるが、どちらかというと痩せて小柄かな。この体で巨大なアメリカ人の中に入って前衛パフォーマンスを繰り広げてきたなんて様々な意味で凄い人だ。1分1秒を惜しみ、夜も眠らず作品を作り続けたいという草間さんの戦闘的な創作意欲に圧倒された。草間さんは最近四国の道後温泉のホテルに道後オンセナートと言う温泉とアートを融合させた作品を作ったみたい。ホテルの限定一室が草間作品で埋め尽くされているという。自分の故郷にそんな素敵な作品ができたんだから、一度里帰りしてそのオンセナートに宿泊し、彼女の作品の空間に身をおいて一緒に眠ってみたいものだ。
2014年02月19日
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蔦屋書店で草間彌生の本がたくさんあるコーナーをやっと見つけた。その中で次の3冊、「やっぱり好きだ!草間彌生」「草間彌生たたかう」「クサマトリックス」 をただ読みし、「水玉の履歴書」を買った。 これらの本を読んで作品を観て益々彼女の凄さ・尋常じゃなさを感じた。三日三晩不眠不休不食で制作に没頭し、救急車で運ばれたとか常人ではないことばかりが書かれている。そして緻密かつ創造性豊かな作品の数々とパフォーマンス!!驚異的である。どういう魂を持っていればあのような発想が湧いてきて、どんな体力があれば膨大な時間を費やしてあの作品が出来るのだろう。いや、筋肉の体力ではなくそうせざるを得ない何かが精神を突き動かしているのだ。言わば魂の叫びだろう。非常に不思議な印象を受けたのは若い時代の彼女の写真は信州の田舎から出てきた素朴な娘という感じでちょっと樹木希林に似ている。でも年を取るに従って童女のような風貌の中に強固な意志がほとばしり出る瞳が突出している。ますます草間ワールドにはまってしまった。
2014年01月08日
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松本でまた市民美術館を訪ね、再び草間彌生の作品と対面した。1回目ほどの衝撃はなくなり、作品が自分に馴染んで違和感がなくなっている気がした。図書室で彼女の作品集を見た。これは再び衝撃的だった。その作品の緻密さ、あくどさ、際どさ、特に膨大な作品数に圧倒された。どうやったらこれだけの作品を生み出せるのか?普通じゃあり得ない数だった。彼女は統合失調症でやはりその病との戦いがそうさせたのだろうとしか考えつかなかった。エントランス付近に彼女の作品でコカコーラ自販機や家族などがディスプレーされており、周囲の閑静な日本的風景の中で際だって自己主張していた。
2013年10月31日
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10月9日から北アルプス方面に出かけた。徳本峠越えをするには1日歩くため松本市に前泊した。そこでまず以前から気がかりだった草間彌生の作品が常設展示されている松本市立美術館を訪ねた。予想以上、期待以上の作品ばかりで瀬戸内海の直島で黄色や赤のカボチャしか見たことのなかった私には衝撃的だった。これまで見たことのないカテゴリーの作品が多く、絶句・沈黙そしてうめいた。こんな表現法があったのか!!。こんな手間暇のかかる作品を生み出したエネルギーはどこから湧いてくるのか?驚きと疑問だらけだった。統合失調症を抱えながら懸命に幻覚・幻聴と戦い、それらを乗り越えながら生きて来た草間彌生の他に類のない作品とじかに対峙して脳天に辛子をまぶされた感じだった。中でも鏡を使った巨大な作品、ソフトスカルプチャーの作品など何度も何度も見た。どうやったらこんな着想が湧くのだろう?無限に続く世界、消滅する私・・・・。滅多にみない手法で制作されているがその表現するものは深淵だ。撮影禁止なので作品をアップできないのが何とも残念、 エントランスにある大きな作品 幻の華 ご存じ黄色のかぼちゃ 信濃の灯火 彌生バス信濃の灯火とタイトルされたこの作品は鏡を使った作品で、この風景(?)が果てしなくまるで永遠に続くように広がっています。市内には彌生の専売特許ともいえる水玉模様のバスが走っていて、さすが松本市、岳都・学都だけでなくユーモアもありますよね。。
2013年10月10日
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今週は毎日遠出して忙しかった。今日やっと久しぶりに自分の時間が持てたので、佐倉の川村美術館を訪ねて1日寛いだ。美術館では常設展以外に「色彩のラプソディー」~コレクション♪リコレクションVOL2~という企画展をしていた。フランク・ステラ・ルーム、エーリッヒ・ブラゥアー、絵画の時間という三つのパートから構成されていたが、どれも素晴らしかった。特に35年間にわたるフランク・ステラの作品が一同に集められていて見所満載、大きく立体的作品が多かったので圧倒的迫力だった。 ステラの大型作品「絵画の時間」という企画は「線」に視点を置いて作品が集められていた。これまでバラバラに見た作品が「線」という視点で登場していたのがとても面白かった。
2013年09月14日
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筆あとの魅力~点・線・面~印象派から抽象絵画までと銘打った展覧会に行った。ブリジストン美術館のコレクション展である。ここはJR東京駅八重洲中央口から直進、徒歩5分で行けるため、私のような方向音痴の田舎者にはとても有り難く、昨秋「ドビュシーーその音楽と美術」展をみて以来、川村美術館につぐお気に入り美術館になっている。平日だったがそこそこの訪問者がいた。ほとんどが私のような立場すなわち退職者風である。第1室から第10室まであり、広すぎない部屋にテーマ毎に作品がまとまっていた。メインは第2室の「筆あとの魅力」The Power of Brush である。ゴーガン、シニャック、クレー、ミロ、カンジンスキー、佐伯祐三、岡 鹿之助、青木 繁などの作品が展示されていた。点・線・面に特化した解説が付けられていたので真面目に読んでしまって、後で後悔した。知的理解から入ると感性はしぼんでしまう。 エントランスのポスター ブールデル 風の中のベートーベンパウル・クレーの絵がすごく今の自分の心情にぴったりだった。 ルノワール『すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」
2013年02月25日
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フェルメールの重要かつ人気ある二つの作品が来日していて、どちらも今日17日で展示が終了する。東京都美術館では【特別展】リニューアルオープン記念「マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝」が6月から「真珠の耳飾りの少女」を公開。 真珠の耳飾りの少女 真珠の首飾りの少女一方国立西洋美術館ではベルリン国立美術館展「学べるヨーロッパ美術の400年」が「首飾りの少女」を公開している。 私は9月5日に耳飾りの少女を、9月8日に首飾りの少女を見にいった。どちらも大混雑、特に耳飾りの方はチケットを買う段階から延々と並び、入場に50分、以後自由に移動できない混雑の中であれこれ名作を見、やっと耳飾りの少女に対面した。最前列で少女を凝視しながらも「止まらないで下さい」という係員の声に従わざるを得ない。幸いにも二列目でゆっくり味わって見ることができた。青いターバンと大きな瞳が印象的でとても魅力的だった。学べルリンも混雑していたが待ち時間なしで入場できた。しかし日本の真面目に学ぶ人たちで1作1作混んでいて自由に進めず、やはり少女の前では黒山の人だかり、しかしきちんと見れた。人物が小さいし、横向きだし、主役は少女というより光だと思った。とても疲れた。しかし長年本物を見たいと思っていた作品をたくさん見ることができ、満足した。このところ私はやたらとアートづいている。タイトルの山への情熱・音楽への愛を 々 アートへの愛 にしたほうが内容とあってると突っ込まれそうである。
2012年09月17日
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海辺にそった山道をシャトルバスで揺られ、農協前というバス停で降りた。ここは木村地区で家プロジェクトが展開している。家プロジェクトははしょって言えば、古民家の特性を生かしながら、それぞれのアーティストが現代作品に改築したものである。あちこちに散在しているので一通り観るのに時間と体力を要した。最も奇抜(?!)だったのは安藤忠夫建築の「南寺」、中に入るのに8人限定、中は完璧なまでの闇、手を壁に伝わせ不安に思いながらそろそろと手探りで進み、台に掛ける。そこで漆黒の闇を見つめること数分、うっすらと目の前に何かが現れてきたのだった。ジェームス・タレルの光を使った作品で地中美術館でも観た。安藤とタレルのコラボである。 南寺 角屋 角屋は民家の広間が無数の☆が輝いて目を惹いた。ここも暗闇なので水の中に☆が浮かんでいるような美しさだった。 護王神社 製塩業で栄えた石橋家石段を何十段も上り詰めた先にあった護王神社は地上から観ると特に何もない。しかし懐中電灯をつけて暗く狭い通路を歩くと地下室に降り、本殿と石室を結ぶガラスの階段を観ることができた。遠目にガラスなのか、氷(!)なのかわからないのでこっそり近寄って触ってみたら冷たくなかったのでガラスとわかった。 はいしゃ はいしゃの中に突如現れる自由の女神はいしやという作品もおもしろかった。民家の中すべてがアートになっている。しかしここはいわゆる普通のモダンアートで親しみ易かった。
2012年09月10日
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