[Stockholm syndrome]...be no-w-here

2021.02.23
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カテゴリ: 宝塚
【ロミオとジュリエット】は、若い頃に映画で観た事があるものの、内容は殆ど覚えていない。
(主人公の2人以外は、俳優の顔すら思い出せない程だ…笑)
今回、星組の舞台を鑑賞して、初めて物語の全体像を掴めた。

最初の感想にも書いたが、本作では様々な対比が描かれている。
例えば、ロミオの人間関係をモンタギュー家とキャピュレット家で分ければ「ロミオ、ベンヴォーリオ、マーキューシオ ⇔ ティボルト」だが、これを性格で分けると「好戦的なマーキューシオとティボルト ⇔ 穏健なロミオとベンヴォーリオ」という別の対比が生まれる。
(ティボルトとマーキューシオの間にも、性格の対比がある)
同様に、両家を性別で見ると「諍いを止めない男達 ⇔ それに心を痛める女達」という対比もあり、単純には「青⇔赤」で色分けできない構図になっている。

また、モンタギュー側の人間関係が「友情」なのに対し、キャピュレット側は「家族」という対比もある。
しかも、「親子」だけでなく「夫妻」「いとこ」「伯父・伯母と甥」「実母と乳母」「借金」と幾つもの人間模様が描かれており、なかなか複雑だ。
こうした対比や描写が登場人物達を引き立たせ、【ロミオとジュリエット】が単なる恋愛物語に終わらない奥行きを与えているのではないか、と感じた。



そんな家庭の事情にティボルトと共に振り回されるのが、天寿光希の演じるキャピュレット卿だ。
モンタギュー卿の前では、惚れ惚れする程の渋さと勇ましさで対峙するが、家庭内では色々と問題を抱え、苦しい胸の内を吐露する場面もある。
そうした対比を、天寿はさすがの演技と歌で魅せた。
モンタギュー卿役の美稀千種と共に、しっかりと舞台を支えてくれている。

また、本作では両夫人役の白妙なつと夢妃杏瑠も印象に残った。
妻として、母としての心情が的確に描かれているからだろう。
限られた場面でも、台詞や歌詞、演出によって登場人物が活きて来る事の好例だ。



キャピュレット夫人と対比するように、別の立場からジュリエットを見守る乳母役の有沙瞳も素晴らしかった。
前作【眩耀の谷】での可愛らしい娘役の印象が強かったので、その真逆の姿に最初は「あれ、本当に有沙瞳…?」と目を凝らしてしまったが(笑)、恰幅の良い肝っ玉母さん風のキャラクターを違和感無く演じていた。
そんな彼女が第1幕『第10場 ヴェローナ街頭』で「産みの親にも分からせたい」と歌う、『あの子はあなたを愛してる』はとても心に響き、個人的には本作の中で最も共感できるキャラクターとなった。
(さすがに47歳ともなると、ロミオとジュリエットの恋愛も親目線で見てしまう…笑)



専科の英真なおきも安定の芝居で、ロレンス神父としてロミオ役の礼真琴を支えた。
2人の掛け合いからは、ロレンス神父に対するロミオの信頼と、英真に対する礼の信頼とが重なって見えた。

彼らベテランが支える舞台の上で、主要キャスト以外の若手も頑張っていた。
特に、男役は髪型も個性的で、台詞は無くとも表情や動きでキャラクターを表現しようという熱意がもの凄く伝わって来た。
彼らの芝居も、A日程とB日程でどう変わるのか、気になる所だ。

どんどん自分をアピールしろ、若人達よ!!
☆*:.。. o(≧∇≦)o .。.:*☆



こうして見ると、【ロミオとジュリエット】は単に恋愛作品としてだけでなく、舞台作品としてもかなり優秀な事が分かる。
それがシェイクスピアによる原作の魅力なのか、ミュージカルの作者ジェラール・プレスギュルヴィックの功績なのかは分からないが、宝塚版では役替わりもあり、ジェンヌ達にとって挑戦の場ともなる。
素晴らしい作品、素晴らしい舞台を観させてもらった。

美稀さんも、めっちゃ格好良かったよぉおおおッ!!
キャーー!! *。・+(*´艸`)+・。*♡


ありがとう!!



さて、感想も一段落つき、書く事も無くなったので、中断していた【哲学と宗教 全史】を読み切ってしまおうと思う。
因みに、本書でも短いながらシェイクスピアの事が紹介されている。

彼の正体は、英国の哲学者フランシス・ベーコンではないか、という説があるそうだ。
(シェイクスピアに関しては謎の部分が多く、複数人による共同ペンネームだという説もある)
また、「シェイクスピアの作品は、どこかで日本の『サザエさん』と相通じる面があり、既存の宗教観や社会常識にとらわれず、赤裸々に人間の喜怒哀楽を表現しています」とも。

なるほど、面白い解釈だ。





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Last updated  2021.02.25 19:24:53


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