[Stockholm syndrome]...be no-w-here

2022.07.25
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カテゴリ: 宝塚
謎その3…怪盗ダアトは誰か?

ダアトの正体について推理した時、被疑者は3人いた。
順番に見て行こう。

被疑者1…レグルス・バートル(瀬央ゆりあ)

私立探偵で、主人公ルーチェの親友。
普通なら考えられないが、若い頃に観た映画の中に「怪盗の正体が、彼を追う私立探偵だった」というものがあった。
つまり一人二役を演じていた訳だ。

余談になるが、実は世界で最初の探偵と言われるフランソワ・ヴィドック(1775~1857年)は、元々は犯罪者だった。
殺人以外のあらゆる犯罪に手を染めていたヴィドックは何度も逮捕されるが、投獄と脱獄を繰り返す内に「犯罪は割に合わない」と悟り、足を洗う。
そして、新たに就いた職業が、何と警察官だった。
裏社会や犯罪手口に精通していたヴィドックは次々に手柄を立て、最終的にはフランス国家警察のパリ地区犯罪捜査局の初代局長にまで出世する。
そして、パリ警察を退職後に開いたのが、世界初の探偵事務所だったという訳だ。

主人公の親友が弱小探偵事務所を営みながら、裏では怪盗として暗躍する。
話としては面白いのではないか。
更に、主要キャストの中で彼だけが恒星(レグルス)を名前に持っている事も気になった。
小柳奈穂子が何の意図も無くそんな事をするとは思えない。
何か秘密があるのだろう。

とは言え、やはり本作は飽くまでも「ミステリー仕立てのラブコメディー」。
そこまで深刻な内容になるとは考え難い。
という事で、レグルスは被疑者から外した。



被疑者2…ロナン・ヴェリタス・オンブル(極美慎)

フランス語で「影」を意味する姓を持つ最重要人物。
「光」を名前を持つ主人公ルーチェと好対照をなすだけでなく、それを演じるのがバウ公演の初主演を決めて勢いに乗る極美慎というのも、容疑の目を向けられ易い理由だろう。
しかし、それだけに逆に僕は、彼は怪盗ダアトではないような気がした。

理由は3つ。
確かにオンブル(影)はルーチェ(光)と好対照をなすが、オンブルは姓であって個人の名ではない。
(オンブルを姓に持つ登場人物は他にもおり、決定打に欠ける)
次に、ヴェリタスが「真理」というラテン語の意味を持つ一方、ファーストネームのロナンには何の意味も関連性も見付けられなかった。
最後に、「一角獣の聖杯」と「カペル」が用意周到に隠されているのに比べ、名前が「影」だから彼が怪盗ダアトだという着想は、あまりに単純過ぎではないか。

これらの理由から、僕は「オンブル=影=ダアト」は小柳奈穂子が仕掛けたトラップだろうと判断して(笑)、被疑者から外した。
最終的に、ロナンは事件解決のため、或いはアンジェリークを巡る三角関係など、何らかの形でルーチェのライバル役として登場するのだろう…、という結論に落ち着いた。



被疑者3…セシル・ピーター・ウェルズ(天華えま)

多くの役名がジェンヌ達の芸名に因んで付けられている本作にあって、最も違和感があったのがこの役名だった。
普通、天華えまという芸名から付けるなら、「天」を意味するフランス語の「シエル(Ciel)」が一番良いと誰でも思うはずだ。
しかし、実際は「盲目」が語源となる「セシル(Cecil)」という役名が与えられている。
他にシエルという役名のキャラクターがいるなら話は別だが、これは明らかにおかしい。
音の響きからしてもセシルとシエルは似ており、無理にセシルにする理由が見当たらない。

ならば逆に、そこまでしてでも役名を「セシル」にしなければいけない理由が小柳にはあった、と考える事はできないか…。
その発想から、怪盗ダアトとの関連性を探る事にした。

怪盗ダアトの名前の由来が「生命の樹(セフィロトの樹)」にある事は言うまでもないが、調べた限りこの樹自体に特に関連性は無さそうである。
前々作で登場したケテルやコクマも「生命の樹(セフィロトの樹)」に由来した役名ながら、物語に重要な役割を担っていたようには見えない。
本作のダアトとマルクトも、飽くまで名前を借用しただけと考えるのが妥当だろう。

ただし、ダアトが「アビス(深淵)」の中にあり目には見えない存在である事は、怪盗という役柄に重ねてあるように思われる。
「アビス(Abyss)」とは奈落や混沌、底知れぬ闇を意味している。
僕が、オンブル(影)よりもセシル(盲目)の方がダアトの正体に相応しいと考える理由もここにある。
光の無い場所には、影も存在しないからだ。
盲目の方が、闇のイメージにより近いだろう。

次に、ミドルネームの「ピーター」に注目してみよう。
ピーターという名前から先ず思い浮かぶのは、イエス・キリストの弟子で初代ローマ教皇でもあるペテロだろう。
彼を象徴するアトリビュートとして代表的なものが、「天国の鍵」である。
(アトリビュートとは、西洋美術において伝説上・歴史上の人物または神話上の神と関連付けられた持ち物で、その持ち主が誰かを特定する役割を果たす)
この「天国の鍵」はバチカン市国の市国旗にも描かれ、様々なバリエーションがあるのだが、基本的には2本1組で、鍵山が十字架の形になっている。



さて、ここで質問。
【めぐり会いは再び】の公演中、こんな形の鍵をどこかで目にした記憶は無いだろうか…。



ポスター画像で一緒に写る天球儀にヒントが隠されているのなら、この鍵も何かを示唆するためのアイテムと捉えるのは不思議な事ではない。
また、鍵はフランス語で「clé (clefとも)」と書き、「ciel(天国)」と共に「Cecil」の綴りの中にあるのだ。

最後に姓のウェルズだが、これに関しては特にこれと言った関連性は見付けられなかった。
ただ、英国にピーター・ウェルズというチェスのグランドマスターが実在する事は気になった。
本作には、王(キング)や司教(ビショップ)、トーレス(ルーク=塔の形をしている)などチェスの駒を思わせるキャラクターが複数いるからだ。
(王都であれば、他にも「騎士(ナイト)」や「女王(クイーン)」が出て来そうな気がする)
場合によっては、宙組【シャーロック・ホームズ】の切り裂きジャックのように、怪盗ダアトは複数犯という可能性もある。

また、キリスト教ペテロの本名が「シモン」である事は、有沙瞳が演じるティア・シモニーを連想させ、何かしらの関係性があるのかも知れない。
(「ペテロ」とは「岩」という意味のあだ名である)



と、ここまでが人物相関図が発表されるまでに僕が推理した事だ。
次回は、相関図を基に進めた新たな推理をお送りしたい。





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Last updated  2022.07.25 19:53:36


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