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手塚治虫

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2024.02.14
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カテゴリ: 手塚治虫


​手塚治虫は『ばるぼら』(昭和48年)のラストに、漫画家で本の収集家でもある「松本麗児」なる人物を登場させ、芸術というものの正体について語らせている。松本麗児はもちろん、松本零士がモデルだ。松本零士は、実際に古い漫画本のコレクターで、手塚自身も持っていない初期作品を所有していた。矢口高雄も『ボクの手塚治虫』を執筆するにあたって松本零士の手塚治虫コレクションを見せてもらいに出向き、対談している様子を同書の中で描いている。


ボクの手塚治虫【電子書籍】[ 矢口高雄 ]

『ばるぼら』では、レオナルドの「モナリザ」が日本に来たとき、初日に2万人もの人が一目鑑賞しようと押し寄せたり、ケースにカラースプレーをかける女が現れたりといった狂乱ぶりを、「国をあげてのセンデンに乗ったのだという声もある…」と書いている。

そして、「だが一方、おなじくらいの、いや、もっと古い文明の産物である日本の芸術品が、国でろくな保存もされないままに、訪れる鑑賞者もまばらである」と続く。そのモノローグに描かれているのは、東大寺戒壇院の広目天。

「これらの芸術品の中にはまるでたきぎのようにころがされ、並べられたまま、見返る人間もなく朽ち果てようとしているものもある」の絵はどこかの寺で乱雑に「保管」されている仏像群。

この寺が昭和48年当時のどこを描いたものかはっきり断定はできないが、Mizumizuの昭和50年代前半ぐらいの東大寺三月堂の印象は、これにかなり近いものだった。今はもちろん、ちゃんと管理されているが、昔はあまりにラフというか、てきとーな仏像の置き方で、まるでただの倉庫だと、子供心に驚いたものだ。

今の日本人は仏像の価値を理解している。芸術作品にふさわしい保存・管理が進んでいるし(それによって神秘性が損なわれたものもあるとMizumizuは思っている。たとえば三十三間堂がそれだ)、国宝というハクをつけた仏像の展覧会は非常に人気が高い。

​『ばるぼら』に登場する松本麗児は、 「元来、感動とか情熱とかいうものとは別に、発表の場とかアッピールとかによってそのねうちがきめられちゃんです…」 と語る。​

​さらに、松本麗児は学生時代に最高の芸術だと思っていたものが、年を経た今になると古色蒼然として見える…と続ける。 「だから芸術というものについてもかなり懐疑的なんです」 。​

つい最近、総額2億円超えの「芸術」作品が、6年もの間劣化や盗難のおそれがある状態で保管されていたというニュースが出た。
https://www.ktv.jp/news/feature/230725-bijutuhin/

https://news.yahoo.co.jp/articles/27db41f57f947c02e3f1361b33d0acbbc90423b3
​​(引用)
駐車場に保管されていたのは、約7900点に上る「大阪府20世紀美術コレクション」のうち、鉄製の大型立体作品など105点。黒川弘毅(武蔵野美術大学 名誉教授)と山崎哲郎(彫刻家)による調査で明らかになったのは、ずさんな管理体制だった。
​​​​ ​資料によると、どの作品にも複数の種類の粘着テープ・ステッカーが目立つ位置に直接貼り付けられており、剥がすと粘着剤が付着する状態。また錆も発生していた。この錆は外気吹き出しダクトの位置と関係しており、作品を2017年に咲洲庁舎10階から地下3階に移動させたタイミングで急激に進行したと考えられるという。地下駐車場の湿度・気温は作品にとっては不適切で、外気温湿度の変動が直ちに影響する状態だとしている。(引用終わり)

駐車場で保管…(苦笑)

​これなどは、むしろ、バブル期のアートブームにのって、「たいしたことない」芸術作品にやたらと高い「評価額」をつけて収集したものの、バブルがはじけて巷からマネーが消滅したら見向きもされず、困って放置した…という図に見える。


​​
​評価額が本当なら、「盗難のおそれのある」場所で、今まで盗まれることもなく置かれていたというのがおかしいではないか。誰も欲しがらない、人知れず劣化してしまった「20世紀アート」を修復するのに、今度はいくらかけるのですか? で、それを誰が見ると?

そうかと思えば、ピカソ作品が210億円で落札されたりといった、ニュースもある。
https://jp.reuters.com/life/entertainment/BMSGPDXRDJLGFAMJYLURJPJRWE-2023-11-09/

ピカソは確かに偉大な画家だが、だからといって210億って… バカバカしいにもほどがある。もはやこうしたビッグネームによる絵画は、芸術としての価値がどうかという問題ではなく、投資アイテムとしての価値がどうなのかという問題になってきている様相だ。

松本麗児というキャラクターをとおして、手塚治虫は昭和40年代にすでに、時代によって「価値」の変わる芸術というものの正体を暴いている。

​​ 「多分、今世界中に残っている芸術作品の、おそらく百倍か千倍の量のものがつくられたでしょうね。そのうちの何割かはこわれ、埋められ、焼けてなくなってしまいました。また芸術とみとめられずに、そのまま行方不明になったものもあります。そういうものが何百年もたってから急に最高の芸術品としてみとめられて、もてはやされることもあるし、芸術品と思われたものが急に飽きられて価値がダウンすることもあります」。

モナリザ以上に古い文明の産物でありがなら、長い間見向きもされずにずさんに管理されてきた日本の仏像。
評価額700万円のものもあるというのに、地下駐車場で保管されても盗まれもせず劣化してしまった現代アート。
西洋ビッグネームアーティスト作品のバカげた落札額。

「芸術とはしょせんそういうものですよ」(松本麗児に語らせる手塚)。

​もちろん重層的テーマをもつ手塚の『ばるぼら』は、
斜め上から 芸術の正体を暴いてみせる物語ではない。これは「芸術のデカダニズムと狂気にはさまれた」有名作家が主人公。彼はミューズに魅入られ、自らの正気と命を引きかえに、最後の作品を執念で書き上げる。「しょせんそういうもの」である芸術に殉じた作家の物語だ。​



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最終更新日  2024.02.14 23:42:48


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