仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2007.01.11
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カテゴリ: 雑感
9日(火曜日)の朝は仙台で今季初めて、うっすらの雪化粧だった。すぐにお日様が出て溶けたが、異常な暖冬のさなかだから何か新鮮な感じを受けた。

小さい子どもの頃は単純に地図上で北ほど雪が多いと思っていた。やっぱり東北って雪国なんだ、と。

しかし、当然だが単純に緯度の南北ではない。豪雪地域対策特別措置法に基づき指定される豪雪地帯は、全国の市町村数の3割を占める。東北6県で見ると青森、岩手、秋田、山形は全県域が指定されているが、宮城や福島は山間部だけだ。これに対して、新潟、福井、石川、富山、さらには鳥取県も、県の全域が豪雪地帯に指定されている(国土交通省 資料 )。

太平洋側は冬は晴天が多い。東京や東海地方で、たまの降雪なのに事故が多いのも、そのためだろうか。

そもそも太平洋側の雪は、毎日のように降る日本海側の雪とはメカニズムが全く違うのだそうだ。日本海側の雪は、北西から張り出したシベリア高気圧により、西高東低の気圧配置となって、大陸から冷たい季節風が日本海を渡ってやって来る。日本海は暖流の対馬海流により表面水温が高いから、季節風との温度差が海面の蒸発を促し雪雲を発達させる。この湿気を含んだ雲が季節風に乗って日本海沿岸に上陸し、山脈にぶつかり上昇すると、冷やされて大雪となるのである。

これに対し、太平洋側には、雪を降らせた後の乾いた空っ風が山脈を越えて吹いてくるから、冬は乾燥する。雪が降るのは、シベリア気団のせいではなく、南岸低気圧による。シベリア気団が弱まる2月から3月に東シナ海から本州南岸にかけて発生する前線上の低気圧で、日本上空のジェット気流に流されて東北東に進む。すると北東方面の冷気が低気圧に向かって流れるために雪が降るのだ。低気圧がもたらすため、日本海側に比べて水分が多く重い雪になる。ジェット気流に乗った低気圧の移動は早いから、大雪も1日で止み晴天になる。

そして太平洋側の大雪をもたらした低気圧が東の海上に抜けた後は、西高東低の気圧配置になるから、日本海側の大雪の一因ともなる。そんなわけで、日本海側と太平洋側が同時に大雪になることは少なく、どちらかが降っていればどちらかは晴天なのだ。
(以上、参考:市川健夫監修『日本地図&地理をもっと楽しむ本』三笠書房、2002年)

細長い列島なのに、その脊椎をなす山脈を隔てて、日本海側と太平洋側はかくも別の世界なのだ。それだけ山脈の存在は偉大だ。考えてみれば、我々現代人は、山の「高さ」を軽視しているのではないか。

新幹線で2時間や3時間もすれば東北から東京にも水平移動できる。奥羽山脈もトンネルでスイスイ。仙台と山形の間も、古人の苦難など知るよしもない。カーナビもあれば、ネットで空からの映像も自由にのぞきこめる。世の中狭くなったと便利を謳歌しているが、実のところはせいぜい2次元の狭い料簡じゃないか。

昔の人は地図もろくに見なかっただろう。それでも、地平の視点から山を仰ぎ見ては山を畏れ、山肌の色や雪解けを見て、夜の星を見て、風を感じて、季節を知っただろう。それは、地上の蟻のような視点かも知れないが、逆にそれだけに世界を立体的に、あるがままに理解しようと努めてきただろう。

現代人は、山や空を見上げることが、実のところどれほどあるか。自然や地形を把握し支配し切ったつもりになっているが、半面、自然や地形を畏れ、理解することを忘れていないか。緯度の高低だけで北は雪国だ、なんて機械的な思考に陥っていないか。





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最終更新日  2007.01.11 06:10:24
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