仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2007.03.22
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カテゴリ: 宮城
邪馬台国論争に次ぐ東西の文化論争か(笑)。三重県も、なんでこんなことで噛みつくのか、と最初は感じた。

ごく個人的なセンスの問題だが、食材豊富な宮城は是非宣伝すべきだけれども、それを表現して「美味し」は、あまりピンと来ない。要点は「美味い(うまい)」を上手に凝縮して短くて印象に残るキャッチコピーにはめ込みたかっただけだろう。何も、無理に「美味し」として「国」にかけることもないと思う。変に格調を求めてヘンテコな古語体になっている松任谷由実の「春よ来い」みたいで、好きでない。

そもそも「おいしい」や「旨い」の意味の「うまし」という形容詞が、「シク活用」?させるような古語として存在するのかどうか、また「美(うま)し」と語源的に同じなのかどうか、などは全く解らない。それに、語感や印象が良ければいい、というのがキャッチコピーの宿命であり、命名法の本質だ、というなら、私としてもそれで良い。

だから、もともとキャッチコピーとは、語感と印象を考えつつ、いわばその枠(制約)の中でいかに地域の固有さを訴えられるか、ということなのだろう。印象にだけ残っても、サテどの県だったか、では困るが(TVコマーシャルでも面白いけど結局商品名が記憶に残らない例がある)、やっぱりインパクトや覚えやすさが優先なのだろう。

上で批判したけど、その意味では「美味し」は、わかりやすいコトバだとは言える。とすれば、さほど自由度もない枠の中でキャッチを作るとき、今回のように類似したモノが登場するのは、不可避じゃないか、という気がする。

例えば隣県福島では、地場産品の普及のための地域ブランドとして「 うまし、うつくし 福島逸品 」を制定した。観光キャンペーンとは違うから、三重県もこれには噛みつかないだろうけど。

福島で思い出すのは、「うつくしま、ふくしま。」だが、その昔に企業や自治体のICがはやった時代の産物だ。福島県の友人は、「厳島、広島」とジョークを言っていたが、私もあまり好きではなかった。一説によると、「北海道、デッカイドー」と同じ作者だとも言われ、単なる言葉のゴロの域を出ていない気もする。福島の良さや気風がどこにも出ていない。

その点では、三重県の「美し国」は由緒ある固有の三重の代名詞だ、という思いは多分あるのだろう。どこまで県民に浸透定着しているかは、やっぱり土地が離れているから解らないのだが。

だけど「美し」が三重固有だとは、東日本の住民にとっては、ちょっと考えにくい。我々が先に制定した、という思いは有るのかも知れないが、長い歴史を持ち、あまねく民族に浸透した日本語を、現代の短期的な視眼で、どっちが先だ、と威張っても仕方あるまい。それに、商標権だと言ったって、営利企業同士のように会社の利益を奪い合う構図ではない。どちらも交流人口が増えればいいのだ。

となれば、あとは両知事の政治家としての力量発揮。お手並み拝見だ。

誰かに突き上げを受けているのか、あるいは自ら反発姿勢を得点にすると考えているのか。いや、そこまで深読みするのは、宮城の前知事の手法を分析するみたいで嫌だ。

山本壮一郎知事の時代だが、栃木県が近距離に「宇都宮線」という呼称を要望した際に、たしか「東北(線)」の印象が悪いような言い方をしたために、宮城の山本知事が反発。あわてて栃木の知事(知事ではなかったかも知れない)が釈明に来たことがあった。サントリーの「くまそ」発言のちょっと後の頃だったと思う。若い私は、どちらの件でも、東北人の琴線に触れて大いに義憤を憶えたが、今考えれば、サントリーは別として、栃木県も悪気はなかった。北関東の拠点として宇都宮の格を上げたい一心で、あれこれ理由を並べ立てるときに筆が(口が)滑ったのだ。

だから、釈明に来て、それで和解したように思う。山本知事の東北を思う気持ちを思わせる逸話だ。国鉄解体の際に本社誘致に奔走した想いもあったろう。決して政治的得点などのモチーフで反発したのではないと思う。栃木側で釈明に来たのは、山本氏の地位や発言の重さと愛称実現にかける熱意もあったとは思うが、基本は誠実に説明します、話し合いましょう、ということだ。

いずれも立派な対応だったのではないかと思う。今回の「うまし国」はどう決着させるのだろうか。村井、野呂両知事の言動を注目したい。





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最終更新日  2007.03.22 01:43:57
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