仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2009.08.29
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カテゴリ: 宮城
河北新報朝刊の記事。角田市出身の双子の兄弟が、大相撲出羽海部屋に入門。秋場所の初土俵の予定という。お父さんが米国人で、高校はモンタナ州に留学。伸長190センチのイケメン兄弟だそうで、活躍が楽しみだ。

ところで、この記事の見出しに強烈な違和感を覚える。

「大相撲 双子のハーフ入門 出羽海部屋 角田出身の斉藤兄弟」

というものだ。「双子のハーフ」と書かれると、戸惑う。双子のうちの一人が入門したということか。half は、半分ないしは相方の意味だから、自然とそう理解しようとしてしまい、当然ながら混乱に陥る。入門しなかったもう1人は別の道を選んだのだろうが、わざわざ何でそこに着目した見出しなのか。

記事を読むと、やっと納得する。この記者は「ハーフ」を混血の子の意味で使っているのだ。そうだったのか。たしかに、両親の国が異なる子のことをハーフと呼ぶけれども、最近はあまり使わないような気がする。ニューハーフなら頻用されているが。

英語圏で暮らしたことがないから自信はないが、混血児を指す日本語としての「ハーフ」と同じような意味で、英米人が half とはあまり言わないのではないだろうか。元来 half とは、対等で分割可能なものが2つセットになっていて、その片方という意味だ。混血児をハーフと呼ぶのは、おそらく half blood に由来するのだろう。たとえばインディアンとの間に生まれた子供は、白人の立場から見れば、半分の血を受け継いだから a half-blood ということになる。混血と言えば中立的な日本語にも聞こえるが、half-blood や half-breed には、本来あるものと区別された雑種という響きがある。

日本人が混血児のことを特定の価値観を交えずにハーフと呼ぶように、ネイティブが half とは呼ばないように思う。自信はないが。

そもそも日本人の場合は、ハーフの語にむしろ憧れをこめていたのではないか。白人との間のハーフとか。通常の日本人かれみれば、顔立ちが引き締まって、背も高く、場合によってはバイリンガルだし、まさしく羨望の存在だ。

いずれにしても、価値観を伴うようなハーフという呼び方は、私は好まない。

河北の記事に戻るが、この記者はよっぽど「ハーフ」が定着した語だと思っているらしく、本文の出だしでも、「米国人の父を持つ二卵性双生児のハーフ、斉藤...さん...」と書いている。記者の思考回路は十分に理解したが、双生児のハーフと言われると、やっぱり兄弟の1人と思ってしまう。

混血児の意味で「ハーフ」をどうしても使いたいのなら、「双子のハーフ」ではなく、「ハーフの双子」と書くべきだろう。そうすれば思考の混乱も招かない。

私なら、混血児という点ではなく、双子という点の方が、報道の価値が高いと思う。双子の兄弟が揃って母国に戻って頑張る、宮城の皆さん応援しましょう、と。河北の記者は「ハーフ」の方に惹かれたのだろう。





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最終更新日  2009.08.29 09:37:27
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