仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2010.06.05
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カテゴリ: 宮城
道路の発達した今日、我々は縦横無尽どこも自由に通行できると錯覚している。大河を渡り、峡谷を跨いでいることさえも気づかぬほどだ。しかし、道路網の整備される前は、当然ながら人馬は山や谷に阻まれ、川や湿地に足を止められた。

今朝の河北新報には、登米市内の北上川の渡し舟が今月4日に運行を打ち切ったニュースがあった。豊里町鴇波と津山町柳津本町間をつなぐ渡船で、主に豊里の住民が津山に買物等に出掛ける際に利用した。もとは民営、1931年国営、その後に2町が作った組織が引き継ぎ、05年合併で登米市営に移る。利用者は98年度1557人あったが、09年度は262人まで落ち込み、3日に2日は利用者がない状態。

毎日新聞によると、渡し舟の終了式が4日豊里町側の船着場で行われ、昭和の風景を彩った渡し舟は80年目に姿を消した。19年間渡しを担った5代目船頭さんが今春体調を崩して引退し休業状態になり、後継船頭も見つからないことから住民の承認を受け廃止に踏み切った、という。主に豊里町側の住民が津山町への買い物や塾通いなどに利用、99年度は延べ1563人が乗ったが、09年度は262人に激減。鴇波在住の88歳の方は、75年前柳津の小学校高等科に渡しで通学した、また弟2人が半世紀の間、3代目と4代目の船頭を務め、自分も忙しい時は手伝いをした、と振り返った。


さて、登米の渡しは消えてしまうのだが、ほかに渡船がどこにあったのだろうか。私自身は、槻木大橋ができる前の小山の渡船は話に聞いていたが、他には不勉強にして知らない。

宮城県の渡船を調べてみる。
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■小山(こやま)の渡し(阿武隈川)
 槻木の対岸の亘理町小山地区の名に由来するようだ。陸路は下流の阿武隈橋と上流の東根橋のいずれも大きく迂回することになるため、槻木と対岸の小山(亘理町)及び鳩原(角田市)を結ぶ渡船が古くから利用されてきた。昭和36年には県営渡船となるが、橋梁建設の要望を受けて平成7年7月7日に777mの槻木大橋が開通したことに伴い廃止された。
 県道の一部と位置づけられており、県営唯一の渡船であった。なお、道路法の第2条には、「道路」の定義として、一般交通の用に供する道で、トンネル、橋、 渡船施設 、道路用エレベーター等道路と一体となつてその効用を全うする施設又は工作物及び道路の附属物で当該道路に附属して設けられているものを含む、と規定している。

■樫崎・山田の渡し(北上川)
 石巻市の市道樫崎山田線の渡船区間。樫崎地区と対岸の山田地区を結ぶ。合併前の桃生町では、山田地区は北上川を挟んで飛び地のような形で、河道が変えられた歴史を反映している。1931年に開始。石巻市が山田船場維持組合に運営委託。山田地区は約50人が住み、中学生が対岸の桃生中学校に通学で利用するなど渡船の存在意義は残るものの、市は廃止を検討しているようだ。

■登米市の渡し(北上川)
 登米市柳津町と豊里町を結ぶ。住民の足として日曜日を除いて運航され、一般人も利用できた。今回廃止の報道。
 ところで、肝心の渡しの名称が不明だ。河北も毎日も、記事では固有名詞を記さずに北上川の渡しなどと表現している。地元でもあえてネーミングなしで通用していたのだろうか。或いは片岸側だけの地名を迂闊に出すわけに行かないという深慮か。ネットで検索してみると、ブログなどでは、鴇波渡し、とも、白鳥渡、とも表記されていた。
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なお、宮城県内の北上川には、今回廃止の登米市を含めて2つの渡しが残っていたが、かつて北上川・旧北上川には多くの渡船場があった。ishinomaki-wiki によると、梨の木渡、釜谷渡、元舟場渡、新舟場渡、門脇渡などがあった。明治15年、内海橋が中瀬を挟む両岸に架けられたが、県内の北上川最初の橋である。稲井出身の内海五郎兵衛翁が個人で架橋し、時の松平正直宮城県令が翁を讃えて命名したもので、建設費を賄うための有料橋であった。明治28年に錦桜(きんおう)橋(初代)が、同38年に楓橋(米谷大橋の前身)、大正6年に来神橋(登米大橋の前身)などが、架けられる。更に、昭和8年内海橋(3代目)、昭和34年天王橋、昭和40年代には、神取橋、石巻大橋、柳津大橋(2代目)、開北橋、豊里大橋、飯野川橋などが完成。昭和51年の新北上大橋開通に際しては、釜谷渡が廃止。市内の門脇と湊を結んだ最後の渡船も、昭和63年11月に歴史を閉じた。

■関連する過去の記事  北上川改修の歴史と流路の変遷 (08年2月17日)

毎日の記事によると、県内での北上川の渡し舟は石巻市桃生の市営「樫崎・山田の渡し」だけになるという。





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最終更新日  2010.06.05 19:40:45
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