仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2012.03.01
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カテゴリ: 宮城
昭和43年11月をもって本吉町教育委員会は町立津谷小学校の山田分校を廃止することとした。ところが分校学区内の住民(当初は6名)が分校存置対策委員会を結成し、44年9月に仙台地裁に行政訴訟を提起した。保護者の子女を小学校に就学させる権利を侵害するとして、(1)分校廃止処分の不存在確認、(2)同処分の無効確認、(3)同処分の取消を求めたものである。

仙台地裁昭和45年4月8日判決。対策委員会は団体としての組織の主要な点を具備しているとみることはできないとして、原告適格を否定し訴えを却下した。

仙台高裁昭和46年3月24日判決。控訴棄却。その骨子は以下。


保護者はその保護する子女を就学させる義務とともに、特定の小学校に子女を就学させるため当該営造物(小学校)を利用する法的利益を有していると解される。従って分校廃止処分のために子女の通学が著しく困難若しくは危険であって、就学が事実上不可能となるような状態が招来される場合には、当該処分が特定の相手方のない処分であるとしても、保護者は法的利益の侵害を理由として、処分の効力を争うについて法的利益を有するものと解するのが相当。
本件の委員会は住民から選出された4名によって構成されている団体であるが、学齢期間にある子女を有する住民ではなく、右法的利益享受の主体たり得ないことが明らか。しかも、構成員が法的利益を有するとしても、委員会が各個人の前記法的利益について法律上管理処分権を有するとか構成員個人のなすべき本件処分の効力を争う訴訟につき任意的訴訟担当が認められるとする法律上の根拠はみあたらない。してみると、委員会は(処分の不存在、無効もしくは取消を求めるにつき)団体固有の法律上の利益を有しないものであり、原告適格を欠く。



最高裁昭和48年10月12日判決。上告棄却。

結局この裁判は、原告である対策委員会(控訴審では4名、上告審1名)の原告適格が焦点であり、法人格のない社団(民事訴訟法)と言えるか、法律上の利益(行政事件訴訟法)の有無、が争点であったようだ。
(参考 官邸ホームページ資料、石川繁『宮城県の教育裁判』(宝文堂、2003年))





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最終更新日  2012.03.04 16:52:25
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