ふつうの生活 ふつうのパラダイス

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2007年05月09日
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カテゴリ: まんが




家族を置いて家を出て以来音信不通だった父の訃報。母もまた、家を出てしまい、三人の姉妹は祖母に育てられる。訪れた父の葬式で出会う、母の違う妹。この出会いから物語は始まる。

吉田秋生は、まるで男性のような気性のこざっぱりした女性作家である。この名前から男女どちらかなのかわからないので、迷わされる。まして、最近は、『バナナフィッシュ』『YASHA』のような、すこぶるシビアで大人っぽい作品が多かったのでなおさらである。

で、今までの作品のイメージとは、かなり変えた、ごくふつうの二十代の三姉妹と、その異母妹との同居の日常を描いた、まるでちょっとした小説のような物語だった。そして、それにもかかわらず漫画独特のギャクもちょっとはいった面白さ。漫画を読みながら、声を上げて笑ったのは、久しぶりである。

ただ、今までのシビアで大人っぽい絵柄から、今回は、読者の対象が年齢的にさがっているからなのか、あるいは、シビアな絵では話と物語の雰囲気が重く暗くなりそうなのか、あえて、今までの吉田秋生とはちがう、目の大きな少女漫画らしいかわいらしいキャラクターが描かれていて、ちょっと危なげである。やたら大きな目の登場人物とは対照的に、背景は徹底的に写実的にリアルにかきこんであって、人物の描き方とのバランスがうっかりすると、おかしくなりそうな、そんな絶妙のバランスがなんとか、うまく、チンプにならずに、まとめられている。それがかえっていいのだけれど。時々描かれるシビアな描写と、コミカルなかわいい絵柄のギャグやジョークがいかにも吉田秋生らしくて、たのしい。

けれど、物語の内容自体は実はかなりきつい。それが心に重くかかるというよりは、すんなり入り込んできて、そして、いいこといってるなあと感心させられたり、する。こんな人物は、何処にでもいそうで、実はちょっといないかもと思う。すごくしっかりした長女と末の妹。ちょっとお茶らけた次女と三女の配分が面白い。

やっぱり吉田秋生は、いいなあ。












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最終更新日  2007年05月09日 12時35分27秒
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