ふつうの生活 ふつうのパラダイス

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2009年07月01日
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カテゴリ: 映画★アニメ


そして、ラストの曲。学校の合唱祭などでよく歌われる曲なんですけど、こんなところで使われるとはね。しかも、歌詞がエヴァンゲリヲンのラストシーンの展開とそっくり。そのもの。

びっくりしました。ここまでぴったりの曲がこんなところにあったなんてね。合唱祭で使われるので、なんだかもう、文部省指定の道徳的な歌のイメージになっちゃってるのだけど、もともとは、ちょっと昔のフォークソンググループが歌っていた、昔の若者の歌なわけで。昔も今も、若者の悩みや痛みや青春の本質ってかわらないのかもしれません。

そして、今の十代二十代の少年少女たちがこれをみたら、この場面でこの曲を聴いたら、どんな気持ちになるのかな。
いやはやわたしもう、このラストシーン感動して泣いてしまいました。
右も左もアニメファンのおじさんで結構混んでいた劇場の中で、涙ぐんだ人はどのくらいいたのでしょうねえ。

お話も画像もすでにリメイクではなくて、ほぼ全編書き直されているように見えました。最近のアニメのスピード感のすごさももちろんなんだけど、画面もめちゃくちゃすごくて面白かったです。

最近はもう、アメリカの映画は、しらけちゃって見る気になれず、このところ、なぜか邦画を見ることがふえましたが、先週といい、今週といい、平日の午前なのに、なぜ映画館は混んでいるのでしょうか。満席とまではいかないけど、いままでは、平日はがらがらな劇場だっのに。日本映画も、人気出てきたのでしょうか。最近いい作品が多いのでしょうか。それとも不況でみんな暇なのかな。今日なんか、私の隣の席のおじさんは、スーツ着てました。営業の仕事の途中で、映画館はいっちっゃてるのでしょうか。いいのかな。

なにしろ、「エヴァンゲリヲン」なので、お客さんの9割以上が、20,30,40代の男性でした。今日は、レディースディだけど、1日の映画デーでもあったからね。

それにしても、この監督は幸せですね。何度も何度も、納得のいくまで、自分の作品を作り直す機会にめぐりあえる映画監督なんて、そんなにいるものではありません。テレビシリーズでは、時間不足、練りこみ不足であきらかに、未消化のままの完結だったし、前回の映画作品も、全体的に醜悪になってしまって、うまく本当のメッセージを描き出せていませんでした。今回は、その醜悪さを大分押さえてきていますが、その分かえって、おきれいな道徳的作品になってしまうかもしれない危うさを感じました。ぎりぎりおさえているのでしようが、人と人が心をつなげていくその真髄を描き出すのは、本当にむずかしいなあっと、思いました。
これを文部省的道徳観で作ったら、観る側はしらけて拒否感の方が上回ってしまうわけだし。

ものすごい急展開の「破」でしたが、次回「Q(急)」は、どんな結末を作りだしてくるのか。めちゃめちゃ楽しみです。

さあ、今度こそ監督は、うまくメッセージを若者に、いえいえ全ての人類に伝えることができるのでしょうか。


そして、今回要所要所にかなり明確に、十字架が描き出されていました。エヴァンゲリヲンは、キリスト教とその宗教観や、エピソード、アイテムなどを基本にしたストーリーだけれど、今回は、新しいキャラクターの女の子マリの登場によって、日本やアジア的な宗教観も入り込んでいたように思います。新キャラの女の子マリの「身を捨てて浮かぶ瀬もあれ」というセリフの、自己犠牲的な精神と発想は、アジアのもの。仏教的世界観ももりこんで、今回の「エヴァンゲリヲン」は、日本という場所を舞台に西洋と東洋の宗教観、精神世界の融合を目指すターニングポイントにいるような気がします。

今アメリカ的な西洋的な価値観も世界支配も疑問視され、まき戻される中で、中国ともインドともちがう、独特の日本の立ち居地は、もともとアジアの中で一番最初に西洋を取り込み、自分の中に融合させた国として、世界の中に有る二つの価値観をうまく融合させていくことのできる微妙なギャザーポイントになりつつあるような、いままさにそんな時代のハザマにいるんじゃないのかと、そんな風に思わさせてくれた映画でした。


新キャラの少女マリも私には、レキジョ、フジョシ、明るいオタク系女の子に近いように見えました。レイや、アスカにくらべると、ずっと現実の女の子のイメージに近いリアル感、本当の意味でのいまどきの女の子という感じがします。レイも、アスカもやはりどこか男性視点で描かれた女の子なんですよね。
アニメを作ってるのが男性なので、どうしても男性の希望で描かれた女の子になっちゃうんだけど、これは、宮崎アニメでもそうなんだけど、
アニメは女の子だってみているし、視聴者により現実世界に目を向けて人と関わって生きていってほしいと思うなら、男性の理想でできた女の子じゃなくて、ほんものの女の子を描き出してほしいですね。
なんだか話しかけにくい女の子のレイでも、やたらきついことを言う女の子のアスカでもなく、もっと本当に現実に生きている女の子をうまくえがきだしてほしいと、思います。
今の女の子はごくごく普通に男の子とおしゃべりするし、男の子と同じものを好きな女の子もいるし、ずっとずっと優しい子もいます。生きていくことへの悩みも人と関わることの悩みも、もちろん男の子たちと同じです。
そのことにきづけさえすれば、たぶん、フィールドはなくなるはずなんだけど。


さて、物語のテーマも監督の思いも、わかっちゃいるけど、こんなこと偉そうに書いてるけど、現実は、ぜんぜん進歩しない自分がやっぱりここに。



自我の覚醒と獲得の物語『新世紀エヴァンゲリオン』の感想は こちら






ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破@映画生活







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最終更新日  2009年07月08日 13時40分15秒
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